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別れ話の結末は…

「せんせい〜、振られちゃいました〜!!!」



小学校教員の私の元に、1人の幼稚園教員の若い先生が駆け込んできた。

うちの学校は幼稚園や保育園と併設になっており、
勤務時間もそれぞれ違う。

なので、私はすでに勤務時間、
彼女は今から勤務が始まるという早朝のことだった。

学校には早くから来ている数名の児童が遊んでいた。
私のクラスの子も、多くはないが、登校し始めており、
思い思いに遊んでいるところ…。


そこに「お別れ報告」をしにやってきたのだ。


私もなんのことが分からず「えっ!?」「えっ!!?」
しか言っていたなかったような…気がする。


「すっごい大好きな彼だったんです。」
「でも最近、なんだかおかしいなぁって思っていて…」
「でも誕生日にディズニーにも行ったんですよ!」
「すっごく楽しくて、いっぱい写真も撮って…」


そう言うと、写真を見せ始める。


…どこからどう見ても仲良しの二人の写真。
確かにこれは驚くなぁと内心では思いながらも
彼女の話を聞いていた。



だが!!
聞いていたのは私だけじゃなかった〜!!!!

そう、私は勤務時間…だから当然子供達が近くにいる。
毎日私にくっついて歩いているような子どもが
私の後ろに何食わぬ顔でその話を聞いていたのだ。


そうは言っても、まだ1年生。
特になんのことだかも分からず、
「先生〜なんのお話してたの〜?」
なんて返してくるもんだから、



「ちょっと難しい話をしてたんだ〜。〇〇ちゃんは元気に遊んできていいよ〜!」

なぁんて話して、その子はその場を後にしていった。


二人でホッとする。
危ない危ない…。

ただでさえ振られて傷ついているのに
「振られたの?」なんて言われてしまったら、
きっと彼女はさらに凹んでしまうだろう。


しかしこの結末は驚きの展開を迎える。


「せんせい〜!私が別れた話、クラス保護者全員知ってます〜!!」


うそ〜!!なんで??
そう、その一緒にくっついていた子は下に弟がおり、
幼稚園に在籍していたのだ〜(泣)

察するにその子は母親にこの状況を説明したのであろう…。
『ねえ、別れた!って〇〇先生言ってたよ〜。なんのことかな??』
『え!〇〇先生振られちゃったの!?』
『これはびっくり!みんなに教えてあげよう〜!』

多分こんな調子と推測する…。
そしてLINEグループに回っていったに違いない。

さらなる驚きはそれを聞いた別の保護者が
別れた本人にそれを言っちゃうところ!



…あぁ油断した。
今では彼女はその心の痛みも吹き飛ばして
仕事に頑張っている。うん、えらいぞ。


大事な話をする時の教訓だな。





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