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イベントレポートDISK-Over Session vol.8 『1972年レコード大賞完全再現ナイト』(12月13日(火)開催)

日本の12月、大晦日と言えばレコード大賞。

12月のDISK-Over Sessionは今年の最後を飾るにふさわしく『1972年レコード大賞完全再現ナイト』と題し、スージー鈴木さん自前の秘蔵レコードと秘蔵映像を駆使して、50年前の大晦日の帝国劇場を完全再現。受賞曲を「美爆音」で楽しみました。

まずはセットリストから。

・また逢う日まで 尾崎紀世彦 
    1971年日本レコード大賞
・芽ばえ 麻丘めぐみ 最優秀新人賞
・太陽がくれた季節 青い三角定規 新人賞
・男の子 女の子 郷ひろみ 新人賞
・返事はいらない 荒井由実
    最優秀リアル新人賞(!?)
・ハチのムサシは死んだのさ
    平田隆夫とセルスターズ 編曲賞
・どうにもとまらない 山本リンダ 作曲賞
・瀬戸の花嫁 小柳ルミ子 歌唱賞
・夜汽車の女 五木ひろし 歌唱賞
・許されない愛 沢田研二 歌唱賞
・あの鐘を鳴らすのはあなた 和田アキ子
    最優秀歌唱賞
・喝采 ちあきなおみ 日本レコード大賞

アンコール
・ちあきなおみ ON STAGE(1973年 渋谷公会堂)
   より     バラードB~喝采


どうですか、このメンバー!

当時の音源を「美爆音」で聴いてみて、改めて素晴らしすぎるボーカルに圧倒されました。そして、どの曲もバンドが物凄くカッコいい!(伴奏という言葉は使いたくないのです)

吹奏楽部出身の私は、ホーンセクションが活躍する曲に目がないのですが、嬉しいことに、この日聴いた曲はどれも管楽器がバリバリ聞こえる曲で、耳も心も喜びっぱなしの2時間でした。

さて。
ここで、セットリストの中から私、チカチカ・バンビーナが注目した4曲(4組)を取り上げたいと思います。

夜汽車の女  五木ひろし

恥ずかしながら、今回のイベントの準備段階で初めてこの曲を聴いたのですが、最初に聞いた瞬間、衝撃を受けました。“ポップス演歌”と言われていた五木ひろしさんのこの曲、スージーさんは「プログレだ!」とコメントされていました。とにかくベースの動きが激しいんです。私は、ソウルだなという印象も受けました。イントロ冒頭の“シバダバダ”(?)というコーラス。そして大好物のホーンセクション!

最も印象的なのはAメロ「暗い道 遠い道」でフレーズが終わり、すぐ派手なホーンセクションが入る。この構成が独特で、インパクトがあります。ソウルフルな演奏と、五木ひろしさんの正統派演歌のボーカル。奇跡の組み合わせが生み出した一曲です。

返事はいらない  荒井由実 
                                   ~最優秀“リアル”新人賞~

冒頭のセットリストにある「最優秀リアル新人賞」。

「こんな賞あったっけ?」と思われましたよね。それもそのはず、この「最優秀リアル新人賞」は、1972年デビューのアーティストの中からスージーさんが「この人に最優秀賞新人賞を!」と設けた、DISK-Over Sessionオリジナル賞です。

並居る候補者の中から選ばれたのは、「返事はいらない」を歌った荒井由実。この日聴いたのはスージーさん自前のドーナツ盤のバージョン。これは貴重でした!

アルバム「ひこうき雲」に入っているバージョンよりもテンポがゆっくりで、バンドも荒削りな感じ。でも明らかにそれまでの歌謡曲とは異なる、いわゆる「ニューミュージック」。
のちの日本の音楽シーンに多大なる影響を与えることとなったユーミン。1972年は、JPOPの礎を築いたユーミンがデビューした記念すべき年だったのです。

あの鐘を鳴らすのはあなた  和田アキ子

和田アキ子さんの圧倒的な声量と歌唱力。これに尽きます。メロディーの音数が少ない曲だからこそボーカルの力量が問われるのです。

20代の頃、私は友人の結婚披露宴で、友達3人と歌の余興を頼まれたことがありました。今考えると恐ろしいのですが、この曲を候補に入れていたのです。選曲のために、いざカラオケボックスで歌ってみると、この曲の良さが完全に失われてしまい、耐えかねてワンコーラスで中止しました。「この曲って、絶対に和田アキ子じゃないとアカンねんな・・・。」と全員で同じセリフを呟いたことを鮮明に憶えています。よくもまぁこの曲にチャレンジしようとしたものです。

サビの華やかなバンド演奏・コーラスをも上回る声量の和田アキ子さんのボーカルにただただ圧倒されながら、そんなことを思い出していました。

喝采  ちあきなおみ

今回のイベントのメインは、やはりこの曲。ちあきなおみさんと言えば、唯一無二の声。ビブラートをかけて朗々と歌い上げるスタイルではないけれど、芯があって、聴衆の心に刺さります。特に、この曲の語りかけるようなボーカルに感情を揺さぶられるのです。

この日は、シングル盤とライブ盤「ちあきなおみ ON STAGE(1973年 渋谷公会堂)」の喝采を聴きました。ライブ盤でとても印象的なのは、「動き始めた汽車に ひとり飛び乗った」の部分のちあきなおみさんの表現です。この曲の一番のピークで、声のボリュームも上がっているし音域も高くなって、このテンションのままサビを歌い切りたくなるであろうところを「ひとり飛び乗っ」で止まり、少し間をおいて「た」は弱々しく歌う。これがとてもエモーショナルで「あの時、汽車に飛び乗ってしまった・・・」という後悔のような気持ちに聞こえます。

一方シングル盤ではオルガンの音がとても効果的に使われています。特にイントロから歌に入る直前で、ストリングスの残響にオルガンの音だけが聞こえることで、この曲の舞台である教会をイメージさせられます。
まさに日本歌謡史に残る名曲です。

「喝采」1972年日本レコード大賞の楯

今でも誰もが口ずさめる名曲揃いだった1972年のレコード大賞。スージーさんがこの年のレコード大賞を好き過ぎるとおっしゃるのも納得です。歌謡曲が一番華やかだったと同時に、ニューミュージック、シンガーソングライターが日本の音楽シーンをリードする時代との交差点であったとも言えるのではないでしょうか。

最後に、「DISK-Over Session」シリーズ、第9回は、「ディープ・パープル『ライヴ・イン・ジャパン』&レッド・ツェッペリン『永遠の詩~狂熱のライヴ』のレコード盤大音量聴き比べナイト。南青山BAROOMが誇る最高級音響装置を通して、クリアな大音量で聴き比べます。お楽しみに。


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