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イベントレポート スージー鈴木のレコード研究室Vol.21「服部靖幸フリッパーズ~あの1989年夏を懐かしむナイト」(9月10日(火)開催)

「俺達は他のバンドとは違うんだぞ。もっと上に行くんだぞっていう感じがするんですよね。それが89年型ロック。」(スージー鈴木)

真夏のような太陽が照り付ける9月10日、レコ研は皆さんを1989年の夏にお連れしました。今回のメインアーティストはスージーさんがこよなく愛するユニコーン、岡村靖幸そしてフリッパーズ・ギター。

この3組、一見何の共通点も無いように見えますが、重なり合うところがあったのです。
美爆音で楽曲を聴きながらスージーさんが熱く語った、レコ研・1989年の夏を懐かしむナイトを振り返ります。

今回の衣装のテーマは「89年の南女(甲南女子大学)の女子大生」

まずはセットリストから。

■第一部
・大迷惑/UNICORN
・おかしな2人/UNICORN
・服部/UNICORN
・17歳/森高千里
・GLORIA/ZIGGY
・約束の橋/佐野元春
・さようならパステルズ・バッヂ/フリッパーズ・ギター
・カメラ!カメラ!カメラ!/フリッパーズ・ギター
・恋とマシンガン/フリッパーズ・ギター

■第二部
・AL-MAUJ/中森明菜
・Cherie/チェッカーズ
・私の家は山の向こう/テレサ・テン
・いじわる/岡村靖幸
・スターな男/UNICORN

■チカチカの部屋(エンディング)
CIRCUIT of RAINBOW/杏里

「GLORIA」と言えばドラマ『同・級・生』!当時、会社帰りに友人と飲むというシチュエーションに憧れ、このドラマにどハマりしました。

それでは特に印象に残った2曲を紹介します。

いじわる/岡村靖幸/作詞・作曲:岡村靖幸、編曲:岡村靖幸・西平彰

曲を聴いていると「英語?」と思ってしまうのですが、歌詞を見ると「エロい」を通り越して「卑猥」という言葉がぴったりな(?)内容。
しかし!サウンドはめちゃくちゃファンキーで、特にギターのカッティングがかっこいい。

ここに岡村靖幸の「英語っぽい」ボーカルが乗ってすごくグルーヴィーになってしまうところが何とも言えない!特にAメロ。「ユカは」は「you gotta」のようにも聞こえます。

単語同士を繋げて発音に強弱をつけたり、曖昧に発音して、日本語の歌詞を英語が持つリズムに忠実にはめ込むと、日本語が英語のように聞こえ、こんなにもグルーヴ感が出ることに驚愕。

恋とマシンガン/フリッパーズ・ギター/作詞・作曲:Double K.O. Corp.

ドラマ『予備校ブギ』や日産・マーチのCMでお馴染みのナンバー。この曲のMVはパリで撮影されており、途中あの有名ブランド「agnès b.」のビルの屋上でのシーンも登場します。初めてこの曲を聴いた時、ジャズっぽくて、なんてお洒落なんだろうと思いました。当時、ジャズの雰囲気をここまで前面に押し出した曲を、若いアーティストが歌う(演奏する)ということはとても新鮮だったと思います。今聴いてもすごく洗練されています。

俺達は他のバンドとは違うんだぞ、もっと上に行くんだぞっていう感じ。それが89年型ロック。(スージー鈴木)

ロックなスージーさんがなぜ、お洒落代表とも言える渋谷系が好きなのか。
2年前、私が初めてレコ研にアシスタントとして出演した時からずっと聞きたかった質問を、やっとこの日ぶつけることができました。

チカチカ:スージーさんってロックの人ですよね。一方で、フリッパーズ・ギターとかピチカートファイヴのような、いわゆる渋谷系ってロックとは違う路線でしょ?なのにどうしてスージーさんは渋谷系が好きなのかなってずっと思ってて。
スージーさん:やっと音楽イベントっぽくなってきましたね(笑)。
会場:爆笑
スージーさん:ロックなんですよ。だけどこの3組(奥田民生、岡村靖幸、フリッパーズ・ギター)って従来の熱い “オー、イェー!” という様な、いわゆる「ザ・ロック」をちょっと茶化してるように感じるんですよ。
チカチカ:と言いますと?
スージーさん:従来の熱い、縦ノリのバンドとも違って、ジェームス・ブラウンとかプリンスの音楽を取り入れたり、「恋とマシンガン」のようなスウィング調の曲も作ってしまう。「俺達は他のバンドとは違うんだぞ。もっと上に行くんだぞ!」っていうものを感じるんです。
チカチカ:「恋とマシンガン」はとてもJazzyですよね。
スージーさん:これが89年型ロック。この流れが5年後に渋谷系になるんです。

スージーさん:あとね。私、この3組と同世代なんです。同じ頃に生まれて、同じように昔の音楽を聴いて。なのに私とはセンスも才能も全然違う(笑)。それがちょっと悔しいんですよ。
チカチカ:ジェラシーですね。
スージーさん:あと、80年代の従来型ロックに対して、ちょっとスカしてる感じが好き。

2年越しでやっと謎が解けた今回のレコ研。スージーさんファンの中には、きっと同じ疑問を持たれていた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

「自分達がインスパイアされた昔の音楽を基に、“あぁ、ああいう音楽がやりたいんだろうな” っていうのが分かるんですよ。」とスージーさん。

スージーさんがユニコーン(奥田民生)、岡村靖幸、フリッパーズ・ギターを愛する理由。それは「ジェラシーとシンパシー」なのかもしれません。

コール&レスポンス「そんなのデートに決まってるでしょ!」

最後に、次回のスージー鈴木のレコード研究室 Vol.22は12月10日(火)開催。「1986年紅白歌合戦再現ナイト」!松田聖子『瑠璃色の地球』と小泉今日子『夜明けのMEW』という名曲ラッシュ、2年連続レコ大・中森明菜貫禄の『DESIRE』、艶やか過ぎるテレサ・テン『時の流れに身をまかせ』、荻野目洋子と斉藤由貴が初出場という紅組に、少年隊は「仮面ライダー!」ならぬ『仮面舞踏会』、小林旭『熱き心に』にチェッカーズ『Song for U.S.A.』の白組。そして時代はロックへと向かう。BOOWYにJ.BOY、レベッカは早稲田祭で伝説のシークレットライブ、『My Revolution』に『Cafe Bohemia』『POCKET MUSIC』、そして桑田佳祐プロデュース、伝説の『メリー・クリスマス・ショー』などなど。年末恒例のレコ研・完全再現シリーズ、是非お越しくださいませ。

おまけ
チカチカ選曲の本編終了後の会場BGMセットリスト

今回は1989年の作品から選曲しました。

・All Around The World/Lisa Stansfield
・Express Yourself/Madonna
・Everything/Jody Watley
・Boogie-Woogie Lonesome High-Heel/今井美樹
・SAILING/渡辺貞夫



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