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岡田一実 『篠原梵の百句』

ふらんす堂の百句シリーズより。

篠原梵の句は新鮮で面白い。そして岡田一実さんの鑑賞がいい。梵の句を的確に読み解いている。そして文章がとても美しい。百個ある鑑賞文のすべてが素晴らしくて驚く。

自分もいつかこんな鑑賞文が書けたらと憧れる。

ドアにわれ青葉と映り廻りけり  『皿』

 硝子張りの回転ドアを通る状景であろう。硝子が鏡のようになり、自分の像と茂りの色濃き青葉が一緒に映る。そして、それが廻る。
 「廻しけり」ではなく〈廻りけり〉とした措辞が、作中主体である〈われ〉の主体性を差し引いた表現になっている。ドライな眼差しと共に、コントロールの及ばないまま〈われ〉が連れていかれるような、仄かな不穏さも読者に感じされる。都会的でモダンな表現である。「丸ノ内界隈 二五句」。

岡田一実『篠原梵の百句』6−7頁


篠原梵は句集の名前がいい。第一句集が『皿』、第二句集が『雨』。ちなみに『皿』は愛媛の山「皿ヶ嶺」の名を由来とするらしい。(梵は山好き。)


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