第12回俳句四季新人賞を読む
俳句四季新人賞の関灯之介さんの「暗き河」、非常になめらかで傷のない連作と思いました。審査座談会の内容や候補者の句も面白く、俳句の賞マニア(?)として面白く拝読しました。
自分は応募していなかったのでバチェラーを見るようにただただ楽しんで見れたのかもしれません。
とくに好きな句。
あたたかや仁王に花形の乳首 関灯之介
靴履くにしばし片足夕涼し 同
露に露触れて大きくなりにけり 同
(第12回俳句四季新人賞「暗き河」より)
馬珂貝のうらもあらつてゐる日暮 加藤幸龍
(奨励賞「父の筆」より)
髪留にまとめられある歌留多かな 中西亮太
首下げて人の日傘に入りけり 同
(奨励賞「あゐいろどき」より)
また今年から選考座談会で、一席の作品だけでなく、二席、三席の作品も取り上げられているのがいいと思いました。そのなかで魅力的な句も紹介されていました。
「涅槃図の上半分が淋しかり 山口遼也」について「淋しかり」が文法的な誤りとして選考の場ではマイナスになるとの指摘があったり(虚子の句にもある、昔はそんなにうるさく言われなかったとの発言もあり)、「善き人のあちこちにゐるお茶の花 中西亮太」について「お茶の花」への注意があったりしました。
12月号の予選通過作家競詠も楽しみにしています。
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