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小川軽舟 『名句水先案内』

2020年4月号から2022年3月号までの角川『俳句』の連載が一冊になったもの。大好きな連載が書籍化して嬉しい。

取り上げられている例句がいい。そして小川軽舟さんの解説がいい。

鑑賞文のお手本にしたいのはもちろん、必ず添えられている作者の情報(師系、作風、経歴)を読むのも楽しい。

ひとりの人間がこんなにもたくさんの俳句(句集)を読み、俳人を理解しているのかと驚いた。しかも俳句以外の教養もすごいことが伝わってくる。

「六月」の章の句より好きな句を挙げる。(鑑賞文が素晴らしいので句だけ挙げても意味がないのだけれど。)

五月雨や掃けば飛びたつ畳の蛾  村上鞆彦
あぢさゐはすべて残像ではないか  山口優夢
アマリリスあしたあたしは雨でも行く  池田澄子
緑蔭や声よき鳥は籠の鳥  山根真矢
みづうみを渡りし雨や夏茶碗  野中亮介
かの若き貧血僧に野いちごを  安井浩司
晩年は下駄履きでくる鯰かな  柿本多映
いま汲みし水にさざなみ黒揚羽  今井豊
払ひたる手の甲に蠅当りけり  中本真人
南風吹くカレーライスに海と陸  櫂未知子


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