蒼海20号 好きな句
2018年にスタートした「蒼海」が5周年を迎え、第20号が刊行されました。
麗かや丘のかたちのカンパーニュ 堀本裕樹
竹皮を脱ぎつつ少し色気あり 堀本裕樹
招待作品はNHK俳句ご出演でも話題の斉藤志歩さん。
汗湧きぬインターホンにほほゑめば 斉藤志歩
サングラス棚を回して選びけり 斉藤志歩
以下、会員の句より好きなものを。
なまはげの若き喉や酒干して つしまいくこ
凧あげの父を追ふ子や母も追ふ 曲風彦
金泥経めく宵闇の枯芒 小谷由果
久闊を叙する人をる火事見かな 中村想吉
再生の留守電咳きに咳くばかり 板坂壽一
彫刻のやうなカーテン冬館 土屋幸代
教師みな喫煙はやし残る雪 塚本櫻魚
数の子の薄皮ほどにものさびし 窪田千滴
初髪の短きも良し真珠挿す 西木理永
木枯や脚をおろせぬ馬の像 牛尾冬吾
痩せたるが豊かなる尾の狐ゆく 楠木文鳥
風呂場より受験せぬ子の大笑ひ 白山土鳩
巻き鍵の巻き戻るごと咳込みぬ 杉澤さやか
花びらのやうに島浮く四温かな 早田駒斗
ビル打つてなほ舞ひ上る木の葉かな 福田健太
抽象画めきて解けゆく氷柱かな 福田小桃
歓声も左回りやスケート場 森沢悠子
バーテンと語らふバレンタインの日 矢崎二酔
極月の軍艦巻が流れ来る 国代鶏侍
火柱の中のホルモン年忘 犬星星人
胸中に若木植うるや日記買ふ 加藤ナオミ
昇降機製菓四つの光りあふ 福嶋すず菜
米寿から卒寿へ代わる初電話 浅見忠仁
にんにくの口へマフラーして終電 嶋田奈緒
ブロッコリー父に施設のことを明日 瀬名賀慎
花アロエ一号線のレストラン 中村たま実
酔ふ前にかけてみたよと初電話 濱ノ霞
漂流に気づかぬふりの宝船 三橋五七
双六の終はらぬ部屋の狭さかな 税田百余
狼は電気風車の森を往く プロイス百代
ほかにもたくさん紹介したい句がありました。
あと、堀本主宰の新刊(エッセイ集)が好評発売中です。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?