浅川芳直句集 『夜景の奥』
浅川芳直さんの第一句集。浅川さんは平成4年生まれ。西山睦さんによる序文には、浅川さんが俳句をはじめたのは5歳のとき、とある。実作者としてはもちろん、論客としてもさまざまなところでご活躍されている。
わたしは大学時代の4年間仙台に住んでいたので、句集『夜景の奥』から感じる仙台の空気感、大学の空気感がとても懐かしく、こころがうきうきとした。
好きな句を10句。
約束はいつも待つ側春隣
給食の麦飯の皿かく軽し
四面書架哲学教授昼寝覚
光りつつ飛雪は額に消えにけり
春昼の酔うてもムツオにはなれぬ
論文へ註ひとつ足す夏の暁
雪となる夜景の奥の雪の山
山ひとつ昭和の団地木の芽張る
鳥帰る窓辺に小さき魔法瓶
ハイビーム枯木つぎつぎ去りにけり