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lazy_planet
秋草 2024年8月号
山口昭男主宰の結社誌「秋草」は、結社誌がたくさん置いてある場所の代表である俳句文学館にも、ゆいの森あらかわにも置いてありません(すこし前のわたし調べ)。
ずっと「読みたい……!」と思っていたところに、この度、8月号をご恵贈いただきました。ありがとうございました。
連載や読みものの企画が充実していて驚きました。
以下、とくに心惹かれた句です。
蟻歩く貧しき寺でありにけり 山口昭男
拭くやうに水底ありく山椒魚 松田晴貴
湯沸しの青き種火や遠浮巣 土井一子
御時間と席を立ちたる牡丹かな 藤井万里
マトリョシカ次々仕舞ふ暑さかな 野名紅里
聴衆に傘語り部に夏帽子 水上ゆめ
左手は草に触れたるハンモック 栗原和子
草笛やバス停に小屋ありし頃 山口遼也
格子戸の影は格子や兜虫 橋本小たか
沢蟹のなつかしき色してゐたる 対中いずみ
草いきれくしやと凹みし煙草箱 小鳥遊五月
畳より青き尺蠖虫であり 村上瑠璃甫
はつきりと網目のわかる網戸かな 高橋真美
ハンマーで砕く豚骨青嵐 常原拓
もとの名は松下電器レモン咲く 舘野まひろ
一つ餌に鳥の争ふ立夏かな 三浦英雄
葉桜や大きな息の腥さし 三輪小春
橡咲いてテニスボールの毛羽立ちて 犬星星人