セクト・ポクリット「コンゲツノハイク」【2022年11月】 12句選
皮むけば色おとなしき葡萄かな 山口昭男(「秋草」)
落としたる音の大きく秋扇 鬼頭孝幸(「秋草」)
歯科医師の日焼の貌が至近距離 河原地英武(「伊吹嶺」)
恥部臀部洗ふ他人の手秋灯下 岩根 甲(「閏」)
風よりも音を生みけり扇風機 白井飛露(「銀漢」)
打水や外つ国の客まだかいな 飯田祐子(「櫟」)
椅子に寝るサンダルの子や夜間外来 平嶋さやか(「澤」)
蟬時雨写経の墨のねばりけり 藤澤憼子(「鷹俳句会」)
薔薇園を執事のやうに歩きけり 佐々木博子(「滝」)
唇に触るる金継ぎ涼新た 曽我晶子(「天穹」)
皿割つて少し涼しくなりにけり 小久保佳世子(「街」)
浜昼顔兄の遺品に母子手帳 西澤みず季(「街」)