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小泉和貴子句集 『あやとり』

小泉和貴子さんは1958年神戸生まれ。1990年に「青」に入会、しかし1991年に「青」が終刊。そして30年の時を経て2020年に「秋草」に入会し俳句を再開されたそうです。

生活のなかから生まれた素直な句群に心惹かれました。また、装丁が本当に美しく、鍬田和見さんの挿絵も繊細で温かみがあります。

心に残る句集をご恵贈いただき、ありがとうございました。

とくに好きな12句。

浴衣着て気恥づかしさのあるはあり
つつかけで出て台風の来る準備
これがまた明日の朝には煮凝りて
かさだかき雛の箱持ち心浮く
大正の泡とぢこめし金魚玉
田の煙ゆるまず丹波時雨かな
来年もこの独楽打つと言うて去り
口閉ぢて小さく丸くなる海鼠
縄跳のもはや縄とは言へぬ音
遠くともそばにある如桃の花
死ぬまでは生きると決めて花の下
いちはつを子規の目で見る日の来たる

小泉和貴子 『あやとり』


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