西川火尖句集　『サーチライト』

西川火尖さんの第一句集『サーチライト』は、第11回北斗賞の受賞で発行されたものです。

ご本人から直接購入したのですが、購入者特典として、北斗賞受賞作「公開鍵」150句の原稿もついていました。

実はわたしも第11回北斗賞に応募していました。わたしは運良く佳作に滑り込んだのですが、佳作と大賞とのあいだにあるものを考える上で、この受賞作全部見せという特典はとてもありがたかったです。（雑誌『俳句界』誌上では自薦30句のみの掲載。）

表現したいものが明確で、力のこもった句集。刺激を受けました。

とくに好きな句を。

穭田を粒子の粗い友が来る

認証に差し出す瞳冬旱

花を買ふ我が賞与でも買へる花を

非正規は非正規父となる冬も

妻の兄とは冬鷗見たつきり

立つたまま化粧の終はる冬の虹

風花や何も覚えぬ犬の顔

はらぺこあおむしは覚くんだと読み聞かす

色鳥や妻をテーブルから降ろす

蕨餅食へよ泣きながら食ふなよ