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能村登四郎全句集⑧ 『天上華』
能村登四郎の第8句集『天上華』は、昭和59年、登四郎73歳のときに出版されました。収録句数は469句。第7句集『冬の音楽』から3年での出版です。
昭和56年に水原秋櫻子の死があり、登四郎は「馬酔木」同人を辞退しました。さらに昭和58年に妻を喪いました。登四郎よりも7歳若かったとのこと。
この『天上華』で登四郎は蛇笏賞を受賞しました。
いままでの登四郎の句集の中でいちばん好きな句が多い句集でした。
薄目せる山も混りて山眠る
秋祭終り用済みの老人たち
蕊が蕊舐めて雨中の曼珠沙華
酉の市手ぶら同士の又逢へる
天上に師も弟子もゐて寒昴
聖夜にてぎんぎらぎんの音地獄
きららなす白粥の膜露はしり
削るほど紅さす板や十二月
雪吊の松よりも縄香りけり
たらの芽や男の傷は一文字
まぐはひに似て形代の重ねあり
朴ちりし後妻が咲く天上華
喪の家として秋風も裏おもて
駘蕩や舌にあそんで貝の紐
竹皮を脱ぐや僧衣も脱ぎすてに