株式会社merchu (以下、merchu) が兵庫県知事選挙において行った戦略的広報活動についての法的評価

1. 公職選挙法(選挙運動に関する規制)

2. 政治資金規正法(寄附行為や収支報告に関する規制)

のいずれかに抵触する可能性があるかどうかの検討です。

I.  公職選挙法違反の可能性

•選挙運動に関する業務委託

選挙運動は原則としてボランティアで行われるべきとされ、選挙運動に関して報酬を支払うことは「買収」と見なされる可能性があります。

・判断基準:業務委託の範囲が、純粋な広告業務(例えばポスター制作や配布、SNS の広告運用)に留まる場合は違反とはならない可能性があります。

しかし、merchu が候補者の意図に基づき主体的に選挙運動を支援していた場合、選挙運動への報酬と見なされる恐れがあります。

II. 政治資金規正法違反の可能性

•寄附行為の禁止

一般企業であるmerchu が、無償または著しく低価格で選挙運動に関連するサービスを提供した場合、これは寄附行為とみなされる可能性があります。

・判断基準:適正な対価を受け取っていない場合、政治資金規正法に抵触する可能性があります。一方で、適正な契約と報酬が存在すれば寄附とはみなされません。

III. 法的評価のポイント

・適用される法律の違い

・公職選挙法は選挙運動そのものを規制するもので、活動内容や報酬の性質に着目します。

・政治資金規正法は、選挙運動のための金銭や物品の流れを規制するもので、寄附行為に着目します。

・重複する可能性

もしmerchu の活動が「無償提供で寄附に該当し、かつ選挙運動そのものに関与」していた場合、両方の法律に違反する可能性があります。

IV.結論

現時点では、merchu の具体的な活動内容、契約の詳細、対価の有無が不明確であるため断定はできません。ただし、以下の点が確認されると法的問題が生じる可能性が高いです:

1. 適正な対価を伴わない場合→政治資金規正法違反

2. 業務委託の範囲が選挙運動そのものに関与する場合→公職選挙法違反

いずれにせよ、詳細な調査が必要な事例であると考えられます。

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