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【アドバイザリーボード紹介】生成AIの研究開発で知見を発揮・高柳 浩さん

※2024年2月の東証グロース市場において時価総額が最下位だった当社が下克上を目指す挑戦記です。ぜひフォローして下さい。

こんにちは。株式会社地域新聞社(2164)のコーポレートコミュニケーション室の五十嵐(いからし)です。
 
地域新聞社では、今後の事業を確実に実行するために、各分野のスペシャリストによるアドバイザリーボードの組成を計画しています。

アドバイザリーボードの組成構想についてはこちら▼

今回、アドバイザリーボードのメンバーとしてご紹介するのは、公立はこだて大学客員教授/一般社団法人社会システムデザインセンター事務局長の高柳浩さん。AIの研究分野において深い知見と人脈をお持ちの方です。
 
地域新聞社のアセットとAIを掛け合わせた時に、どんな未来が実現する可能性があるのか…。高柳さんのお話に、きっと多くの人がワクワクするはずです!


高柳 浩さん プロフィール


博士(工学)。公立はこだて未来大学客員教授・産学連携コーディネータ
一般社団法人社会システムデザインセンター事務局長
他、ベンチャー企業の役員を兼任
専門分野はAI,視覚情報処理。AIを利活用した新規事業のための技術開発・支援などに従事

AI技術の利活用で新規事業を支援

五十嵐)高柳さんは、自治体や企業に対してAIの利活用を推進し、新規事業の支援などをされているそうですね。
 
高柳さん)はい。現在所属している一般社団法人社会システムデザインセンター(SSDC)は、新しい事業の創造によって社会システムの変革を起こし、より良い日本にしていくという視点で、AI・IoT・ロボによる社会問題解決の仕組みづくりを主に行っている機関です。カッコよく言うと、「研究の成果を実践し、社会に還元する事業を推進する」ことを目的にしています。

五十嵐)高柳さんは、その中でもAIの知見からSSDCに関わっておられるのですよね。高柳さんがAIの分野に進まれたきっかけなどはあったのですか?
 
高柳さん)もともとは大学で脳の研究をしていました。錯視(目の錯覚。同じ長さの2本の線が補助線によって異なる長さに見えるなど)のように、脳というのはインプットしたものをそのまま認識しているわけではないんです。そうした物理現象と知覚現象のギャップを通して、「どうやって人は物を見たり、考えたりしているのか」という脳の認知モデルを研究したのがはじまりでした。
 
五十嵐)そこからAIの分野に?
 
高柳さん)ちょうどその頃、「ニューラルネットワーク」という脳の動きを模倣した人工知能の研究が進んでいました。それが今でいう「AI」ですね。その方面に興味が出て研究をスタートした、という流れです。
 
五十嵐)脳の研究とAIの研究は重なる部分があるのですか?
 
高柳さん)重なる部分と重ならない部分がありますね。
AIエンジニアの技術ってあくまで目的を達成するための道具です。僕が研究していたのは、「人の脳はどういう振る舞いをするか」という部分だったので少し違う。ただ、その脳の研究モデルは「ニューラルネットワーク」の開発に生かせる部分ももちろんあります。

AIの力で地域新聞社の情報資産の価値を倍増

五十嵐)現在では、ご自身の研究だけでなく事業化にも注力されているとか。
 
高柳さん)AIは目的を持ってうまく利活用できればとても素晴らしいもの。けれども、研究者だけでサービス化に漕ぎつけるのは、難しいのが現状です。
そこで具体的な案件に沿ってAIが活用できるよう、共同研究をしたり、研究者・技術者と自治体・企業の間を取り持ったりするのが、僕の主な役割です。
例えば、医療系ベンチャー企業なら健康診断データからAIを用いて将来の疾病予測を試算する、などですね。

貴重なプライベートショット。海辺のキャンプ場にて

五十嵐)その延長で、当社とご縁を頂けたのでしょうか?
 
高柳さん)細谷さんと知り合ったのは一年ほど前ですね。当時はまだ細谷さんはエー・ディー・ワークスに所属されていて、同社でAIに関する講演会を実施したのがきっかけです。細谷さんが地域新聞社に移られたタイミングで、また連絡をもらって「協力してほしい」とお声がけいただきました。
 
地域新聞社の大きな資産として地域に密着したエンドユーザーのデータがありますよね。AIを利活用することで、今仮に「10」の価値があるデータが「100」ないし「1000」の価値まで底上げできる。そのための技術やアイデアの方針についてアドバイスがほしい、という相談でした。
お話を聞いてすぐに了承しましたよ。
 
五十嵐)引き受けていただけて、とてもありがたいです。
ですが、当社のどんなところに可能性を感じてもらえたのでしょうか…?
 
高柳さん)御社では、これまでユーザーデータをマーケティングなどに使われていたと思うのですが、視点を変えればもっと大きいことができると思いました。
すっかりおなじみとなった「チャットGPT」をはじめ、テキスト生成AIサービスの多くに「大規模言語モデル(LLM)」という技術が応用されています。「LLM」は大量のテキストデータから学習して処理する技術ですが、ここには一般的な情報しかないわけですよ。
そして、最近注目されている「RAG」という技術によって、比較的簡単に独自の「LLM」を作ることが可能となりました。
 
これは、地域新聞社が持っている千葉県の住民の活動情報や発信内容、千葉県の情報や市町村の暮らしの情報を合わせてデータベースに入れることによって、地域新聞社独自の「LLM」を作ることができるということです。
 
「千葉に住む30代の女性が好むもの」を、世界中のデータから導き出すのと、地域情報から導き出すのとでは、全く精度が変わってきますよね。
自治体が持っていないデータを御社が持っていて、逆に御社が持っていないデータを自治体が持っています。うまく連携できれば、地域に密着した情報インフラの会社にもなれてしまいます。
 

五十嵐)興味深いです。逆にこれまで一般的なデータしかなかったのは技術的な面が理由だったのでしょうか。
 
高柳さん)ひとつ考えられるのは、ローカルに特化して使おうとは誰も思っていなかったのでは。まずはアウトプットを多様化するために、大量のデータを入れることが前提にあった。
そうして今や、多少の間違いがあっても使える状態にまで技術が進みました。だからこそ、次のステップとしてローカル情報に特化することが可能になったと考えられるでしょう。

端的に言うと「大学生くらいの知能レベルに育ったから、ローカル情報の整理が可能になった」わけです。

データ活用で広がるさまざまな可能性

五十嵐)今まさに、次のステップに進む時期を迎えたということですね。当社でその技術を活用した場合、どんなことができそうですか?
 
高柳さん)まず考えられるのは、ペルソナ設定ですよね。データベースにAIを掛け合わせることで、御社のユーザー属性を導き出せます。
自治体と連携することで可能性も広がります。例えば「3年後にこの地域では子どもがこれだけ増える」「この地域はシニア世代が●%増加する」などの予測データを提示できるので、生成AIを相手に簡単にシミュレーションができてしまう。

起業支援にもつながりそうです。「パン屋さんを開きたいけど、この場所はどうかな?」という疑問に対して、「ここは競合が多いから別のエリアがいい」など、AIを使うことで最適な立地や業種の予測ができれば、良いアドバイザーになれます。

これらが確立すれば、ツールをパッケージ化して他社に提供することもできますよね。
もちろん、持っているデータの質や量、内容にもよるので全て実現できるということではありませんが。
 
五十嵐)これまで全くそのような発想がなかったので目からうろこが落ちました。毎週のフリーペーパーの発行で培ったデータが、さまざまな可能性につながるのですね。

高柳さん)ただし、AIは「正しい」「悪い」という判断はできませんから、学習データに偏りがあると偏った結果が出てきます。
作業が楽になった分、生成AIが出した結果が適切かどうかは人間の判断が必要です。今後はそこがもっと厳しくなりますよ。

よくAI技術によって職業がなくなるなんて言われていますが、そんなことはなくて雑用とか雑多なことがなくなるだけです。それをどう利活用してクリエイティブな仕事に時間をかけられるか、というところが重要になるはずです。
 
五十嵐)ちなみに、高柳さんの目標とは?
 
高柳さん)土木なら土木、経済なら経済の専門家が、研究の成果や知見をもっとダイレクトに世の中の仕組みに生かせるような、そんな都市を作りたいな、と昔から考えてはいます。ちょっと夢のような話ですが(笑)。
 
五十嵐)すごく面白そうです! 今後はどんな風に当社と関わってくださるのでしょうか。
 
高柳さん)今お話ししたアイデアをご提案することはもちろん、実現するためのアドバイスやエンジニアのご紹介などもできますよ。
 
五十嵐)ぜひ、定期的なディスカッションの場を設けて具体化していきたいと思います。今後ともよろしくお願いします!
 

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