【アドバイザリーボード紹介】戦略ディスクロージャーのスペシャリスト・宮下修さん
※2024年2月の東証グロース市場において時価総額が最下位だった当社が下克上を目指す挑戦記です。ぜひフォローして下さい。
こんにちは。
株式会社地域新聞社(2164)のコーポレートコミュニケーション室の五十嵐(いからし)です。
地域新聞社では、今後の事業を確実に実行するために、各分野のスペシャリストによるアドバイザリーボードの組成を計画しています。
アドバイザリーボードの組成構想についてはこちら▼
このたびアドバイザリーボードのメンバーの一人に、戦略ディスクロージャーを担う人材としてジェイ・フェニックス・リサーチ株式会社代表取締役CFAの宮下修さんに参画いただくことになりました。
今回のnoteでは、宮下さんのこれまでの経歴や理念の紹介に加え、今後当社にどのように関わっていくのかをインタビュー形式でお届けします。
宮下修さん プロフィール
宮下修(みやした・おさむ)
ジェイ・フェニックス・リサーチ株式会社代表取締役
早稲田大学政治経済学部卒
ロンドン大学CITY校 Bayes Business School, MBA in Finance (イギリス)
コンスタンツ大学経済統計学部修士課程(ドイツ)
地域新聞社に期待することは?
五十嵐)金融の道一筋に歩まれてこられた宮下さん、現在のお仕事をひとことで言うと?
宮下さん)ざっくりと言うと「金融のプロもそうでない方も分かり合える世界を作る」ことを仕事にしています。
金融の世界ってほとんどの方にとってなじみのないものだと思うんです。そこを解消するためのコミュニケーションを支援しています。
五十嵐)具体的にはどのようなことをされていますか?
宮下さん)上場企業に対して企業価値の創造・向上をサポートしたり、アナリストレポートの作成を通して投資家のみなさまへ情報を発信したりしています。これらが何につながるかというと、「幸せ」ですね。
「幸せ」は、個人(会社)、社会(実物市場)、金融市場の3つの立場から考えられます。
金融は金融で、社会は社会でそれぞれに動機や目的があります。でも何が幸せか、という点では通じ合うところがあります。そこを手掛かりに、各分野の専門家が話す言葉を分かりやすく翻訳して伝えることが大切だと考えています。
五十嵐)ちなみに、宮下さんは弊社代表の細谷と15年ほどのお付き合いと聞きました。アドバイザリーボードを打診された時の率直な感想を教えてください。
宮下さん)お話をいただいて、すぐに御社の実績などを調べましたが10分で「イケる」と思いましたよ。
五十嵐)それはどんな点で?
宮下さん)粗利率が高いところです。粗利と販管費がほぼ同じだったところを見て、これはいいなって。粗利率が高いということは極めて高い付加価値を創っているという証拠ですから。
しかも、御社は商品を右から左に流すようなビジネスモデルではなく、ゼロから価値を創っていますよね。そのパワーはすごいな、と一瞬で思いました。
そして、毎週のフリーペーパー発行で「地域のストーリーを描いている」点も魅力的でした。
ストーリーは会社にとって将来の価値なんです。
今現在の会社の価値は財務情報を見れば分かるじゃないですか。これから勝負のキモとなるのは非財務情報=ストーリーです。
そのストーリーを描く力があるかどうか、これは企業にとって重要です。
将来を見る力が人間を幸せにしてくれますからね。
五十嵐)そういうアセットを持っている、と。
宮下さん)ストーリーテラーとしての能力が高いですよね。
後に説明する「GCC9BOX ™」は、10年先の未来を描くような仕様になっていますが、御社の作成内容を見てもそれは感じます。やはり、「地域社会にあたたかなつながりを創りたい」という根幹の部分をしっかりとお持ちだからでしょう。
五十嵐)逆にこれまで、株価が東証グロース市場で最下位だった点についてはいかがでしょうか?
宮下さん)うーん。何とも言えませんが「木を見て森を見ず」状態だったのかもしれません。
目の前のことにとらわれて「森をどう育てるのか」という視点が足りなかったんじゃないかな。
金融のゴールは「幸せ」
五十嵐)先ほど、目指すところが、多くの人の「幸せ」とおっしゃっていましたが、金融と聞くと何となくドライなイメージがあったので意外でした。
宮下さん)僕は、今も昔も金融の価値をどうやって計測するのか、ひたすら勉強して理論を研究して実践して…とやってきました。でも15年くらい前からだんだんと「もっと多くの方に理解してもらえたらいいな」と思い始めたんです。
というのも、金融についてアドバイスする際に難解な理論を振りかざしても「なんのこっちゃ」みたいな反応が大半なわけです。
それではまずいと、ある大企業にアドバイスをさせていただいた時に、3万人の従業員全員が理解できるよう工夫しました。
それは難しい金融理論を「安心」「つながり」「成長」の3要素で翻訳すること。
そうしたら、3万人全員が理解してくれました。
五十嵐)すごいことですね。
宮下さん)すごいことです!
これを世の中に広めたいと思って、試行錯誤しながら完成させたのがGCC9BOX ™というツールです。
宮下さん)これは、企業価値を「成長(Growth)」「つながり(Connection)」「信頼(Confidence)」という「幸せ軸(動機&評価軸)」と「社員・企業」「実物市場」「金融市場」の「社会における主体の意思決定&行動軸」の3×3の軸に分けて幅広い視野に気を配りながら分析するものです。
「幸せ軸(動機&評価軸)」は、いわゆるマズローの欲求段階説(自己超越欲求・自己実現欲求、尊厳欲求、社会的欲求、安全欲求・生理的欲求)をベースにしています。
「社員・企業」「実物市場」「金融市場」の中で、「成長(Growth)」「つながり(Connection)」「信頼(Confidence)」を、以下の表に示すように、それぞれになじみのある言葉に置き換えて分析を行います。
もともとは「安心」という言葉を使っていましたが、取引という概念まで含めると「信頼」という言葉がより重要だと考えて、この言葉に変更しました。
各ボックスの項目に当てはめて考えることで、企業価値をどう創造するのかを誰でも簡単に幅広い視野で網羅し、分析できます。
真面目な人ほど、どうしても目先の事が気になって「木を見て森を見ず」になりがちですが、これを使うとどうやったって森が見えちゃう。強制的に大局観が身に付く仕組みです。
もっと本質のことを言えば「社会全体に気を配って価値創造を考える」仕組みとも言えます。
気配りできる人は、人から愛されますし、仕事もできますよね。そうした視点はグローバル化が進む中で非常に重要になっています。
五十嵐)気配りということですが、なんとなく今の日本って、世界の発展に取り残されてしまって、結構まずい状況なのでは…と感じている方も多いのかもしれません。それらも気配りが足りないことに関係しているのでしょうか?
宮下さん)価値創造を行うためには、グローバルな気配りが必須になっています。
GCC9BOX ™は、人間の幸せと、金融という世界的に普遍的な要素に漏れなく気を配る、いわば「グローバル気配りツール」です。
五十嵐)幸せを軸に考えるということですね。もう少し詳しく掘り下げていただけますか?
宮下さん)「幸せ」は、大まかにいえば、「生理的・安全欲求」「社会的・尊厳欲求」「自己実現・自己超越欲求」の3つから構成されています。
これらは先ほどの「信頼」「つながり」「成長」の3つにまとめることができるのです。
この3要素は個人や社会の動機や行動、その評価を理解する上で非常に重要です。
「幸せ」の3要素を「社員・企業」「実物市場」「金融市場」のそれぞれの軸における行動や評価に分けて考えていきます。
「社員・企業」で考えると、
・「成長(Growth)」は社員や会社が目指す「価値観・世界観」
・「つながり(Connection)」は「戦略(重視する経営資源の社内のつながり)」
・「信頼(Confidence)」は「財務安定性」
(上記赤枠)
「実物市場」で考えると
・「成長(Growth)」は「提供価値・成長性」
・「つながり(Connection)」は「ビジネスモデル(社内外の経営資源のつながり)」
・「信頼(Confidence)」は「社会貢献性(SDGsなど)」
(上記青枠)
「金融市場」の金融用語で考えると
・「成長(Growth)」は「売上高」の成長
・「つながり(Connection)」は「資本収益性(投下資本利益率「ROIC」など)」
・「信頼(Confidence)」は、「資本コスト(WACC)」
(上記緑枠)
と、それぞれ言い換えることができます。
そして金融理論に精通したプロの投資家が、会社の売上高、資本収益性、資本コストの長期展望を評価して株を売り買いし、その結果「株価」が形成されています。
なお、東証がいま、「資本コストと株価を意識した経営」に対応するように、上場企業に要請しています。その内容を分析すると、長期的な展望や資本コスト、株価の3つ。整合性をもって結びつけて説明している企業が市場でより高い評価を受けていることが、弊社の実証分析で判明しています。
GCC9BOX™はまさにこの3つを、整合性をもって結びつけて説明するフレームワークとしては最適ではないかと思っています。御社がこのフレームワークで開示を積極化すれば、それだけでおそらく実証分析から言えば10%ぐらいは株価がかさ上げされる可能性が高いと言えます。
ジェイ・フェニックス・リサーチでは、3×3の広い視野で深く気を配って、「社員・企業」「実物市場」「金融市場」の動きを分析。企業価値創造が、多くの人の幸せの向上にどのように貢献しているかについての理解を深めようと日々模索しています。
そして、その分析を基に情報発信することで、本質的な価値創造に結びついた株価の価格形成に貢献したいと思っています。
五十嵐)私もこのツールで自社事業を分析していて、投資家の方々がどういった視点で会社を見ているのかをイメージできましたし、その中でもどのポイントを特に重視しているのかを、すぐに理解することができました。意外にシンプルと言いますか、売上高・ROIC・WACCの3つの指標にほぼ集約されることが分かり、頭の中がかなりクリアになったことが印象的でした。
一緒に金融の価値観を変えていけたら
五十嵐)今後、宮下さんはどんな風に地域新聞社に関わっていただけるのでしょうか?
宮下さん)先ほどの例で言えば、森を設計するための模範的なデザイン力をお伝えしていきます。
森を見て、時空を広げて、気配りして、みんなが幸せになる方法を考える。
もしもGCC9BOX ™を御社の社員全員が作れるようになれたら、株価にもいい影響があると思いますよ。
五十嵐)大学生や大学院生にも指導をされているそうですね。
宮下さん)これまで説明してきたGCCの理論を軸に、6年ほど前から、大学生・大学院生による国内唯一のグローバル金融大会「CFA協会リサーチ・チャレンジ」において出場大学のメンターも担っています。
昨年は筑波大学大学院チームのメンターを務め、日本大会優勝に導きました。その後のアジア太平洋小地区大会では、トップ3に入ることができました。これはGCCの理論が世界の投資家から高く評価された証拠ではないかと考えています。
宮下さん)また、手前みそですが、弊社では数多くの学生インターンが働いていますが、皆さん、大手銀行の投資銀行部門や、大手企業の経営企画部または財務部門など、就職難易度の高い職種やなかなか新卒が配属されない部署にどんどん就職されるので、GCCを学んだ方の社会人としての評価が非常に高いと実感しています。
高校三年生でも十分理解できるぐらい分かりやすく教える教育・研修プログラムが弊社にはあります。これをいつか日本の高校に広めたいと思っています。
五十嵐)弊社でもGCCについての研修をやりたいですね。
宮下さん)世界共通の言語は、プログラミング言語と英語と金融用語だと一般的にいわれています。
この中で一番簡単に身に付くものって何だと思いますか? 金融用語ですよ。
だって、まずはWACC、ROIC、売上高の3点を理解していればOKですから。
日本ではまだまだ金融ってなんとなくいいイメージがありませんが、地域新聞社の皆さんでその価値観を変えていけたらいいですよね。
さらに、御社と一緒に他の企業さんに向けて発信するような動きも期待しています。
「金融は幸せの要素なんだよ」という考えを一緒に広げていきましょう!
五十嵐)よろしくお願いします!