唯一の救い〜それをも失う〜
私には唯一の救いがあった。
近所に住む同級生の男の子。
男の子3人と私は何故か気が合い
一緒に登下校するようになった。
男の子3人のうち2人は母親同士も仲良くなり
お姉さんのお下がりをくれたり
お出かけに連れて行ってくれたり
うちの子が遊びたがっているから
愛ちゃん借りてもいい?
と声をかけてくれたりと
度々私を家から出してくれていた。
仲のいい親の手前
出かけるのを禁止されたり
怒られたりすることはなかった。
いつまでも4人仲良しだと思っていた。
ずっといっしょにいるんだと思っていた。
妹の面倒がうまくいかず怒られても
もう理由も覚えていないが
殴られ、蹴られ
役に立たない手はいらないと
手を押さえつけ包丁を突きつけられたり
お風呂に妹と父親と入っていて
妹の顔に水を飛ばして泣かせてしまい
真冬の雪が積もる中
外に放り投げられたりしても
彼らとそのお母さんがいると
明日はきっと楽しい日になる。
彼らのお母さんの
温かい笑顔が待っていると
とにかく支えで
とにかく大切な存在だった。
小学校4年生の5月
クラス分けで同じクラスになれ
もっと楽しい毎日になれると思っていた矢先
唐突に母から伝えられた事実。
夏休み入ったら転校するから
家も引っ越す。
新しい家になるからね。
何も言えなかった。
夜寝る時に布団の中で
ひたすら泣いた。
友達と離れる事
彼らと離れる事
彼らのお母さんと離れる事
嫌だ。離れたくない。
新しい家への興味も
新しい家へのワクワク感も
何一つ無かった。
ただひたすら離れたくないという
救いを失いたくない
悲しい気持ちでいっぱいだった。
暫くご飯が食べられなくなり
落ち込む私に母は
うじうじしてんじゃねーよ
そんなに気に食わねーんならてめぇ一人でここに住めや
と怒る。
このままじゃ捨てられる。
捨てられたら生きていけない。
無理矢理にでも元気にならなきゃ。
必死に元気に振る舞い
明るく振る舞い
新しい友達がいっぱい増えるかもしれないと
自分の考えをポジティブに持っていった。
さようなら
ありがとうございました
沢山お世話になりました
大好きでした。