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おいしいとはどういうことか。
最近もっとも心に響いた1冊の本を紹介します。
『おいしいとはどういうことか』
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京都で最も予約が取りにくい日本料理店「草喰なかひがし」の店主、
中東久雄さんの著書です。
おいしいとはどういうことか。
この問いかけをみて、私のおいしい記憶がよみがえりました。
私の中で「おいしい」というのは、おなかもこころも満たされることでした。
それってつまりどういうこと?というのを、中東さんがひも解いてくださったので、ネタバレになりますが、私がかいつまんで紹介します。
「おいしい」とは体が喜ぶこと
体が欲していたものを食べたときに、「おいしい!」って心の底から思いますよね。
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山の上で食べたおにぎりが最高だったなあ。
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ことみさんちで食べたあったかい手作りご飯のおいしさったら!!
人間の体は正直だ。
「株式会社ほんまもん」の営むいなか塾で、代表の奥出さんが、こんなことをおっしゃっていました。
「例えばラーメンとか、添加物の多いものを食べた時は、脳に刺激がいって、すぐにうまい!思う。逆に、味噌汁食べてすぐにうまい!とは思わへんやろ?でも、あぁ、おいしいなぁって。体がそう感じるんや」
まさに、真理。
「おいしい」とは生きたもんを食べること
生きたもの。それは何も、動物だけのことではありません。
畑にいきいきと根を張る野菜も、立派に生きています。
私たちは、そんな生き物の命をいただくことで、生きられるのです。
つまり、自然によって生かされているのです。
しかし、便利なものに囲まれている現代の暮らしのなかで、
本当の意味で「いただきます」と言えている人はどれだけいるでしょうか。
畑から野菜を引っこ抜く瞬間、生きた鶏を絞める瞬間を思い描ける人が、どれだけいるでしょうか。
ここで、中東さんの言葉をお借りします。
縄文の人々は、食べることが仕事だったはずです。食べ物は自然界から得られるものしかなかった。自然によりそうことが、生きることだったのです。
その時代の記憶が、自然のものを口にした瞬間、 甦るのやと思います。
そういうものを食べたとき、人間は体の底から、生きていると感じます。
生きたもんを食べないと、駄目なんです。生きたものを食べていないと、ほんとうの生きる力は生まれない。だんだん自分がほんとうに生きているのかいないのか、わからなくなってしまうんやないか。そんな風に私は思うのです。
あぁ。聞いたことあるなあ。
これもまた京都の久多で、岡山の西粟倉村で、
奥出さんとさやさんから教わったことです。
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はじめて生き物の命を奪う瞬間をみて、思わず目をそむけたくなった。
でも、食べるって、生きるってそういうことなんだと。
「いただきます」って、全部おいしくいただきました。
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さっきまで畑に生えてたニラ!
ニラってこんな普通に生えてるんだ。と衝撃でした笑
そして、朝からかまどで炊いたごはん。
お焦げが美味しいねんなぁ笑
こういう、生きたもんを食べる経験をさせてもらえて、本当に幸せでした。
「おいしい」とは家庭の料理
料理人の中東さんが理想の料理だというのが、それぞれの家庭料理。
またまた素敵すぎる中東さんのお言葉をお借りします。
なにより、おいしいものを食べさせたいという思いの強さが違います。家族の健康を考え、少しでもおいしいものを食べてもらって、みんなが元気に幸せに生きられるようにという思いを込めて、皆さん料理をしてはると思うのです。
もう、泣けますね。
なんだかんだいって、1番美味しいのは母の料理です。
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私の誕生日ディナー。
春巻きにとうもろこしにトマトにばあちゃんの煮物に、
私の好きなものばっかり、、😭💓
でも、いつもそれぞれがいろんな食材を持ち寄ってくれる伊根の生産者さんたちとのご飯や、
自分たちで育てたものばかりで成り立つ十勝の農家さんちでのご飯、
牧場で働いた後に牧場のお母さんが作ってくれるご飯、
どれも同じくらいおいしい。
「おいしいものを食べさせてあげたい」という想いが、1番の味付けなんです。
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大好きなせいこさんの手料理を頬張る私!
最後に
おいしいとは、こういうことか。
だから、おなかもこころも満たされたのか。
この本を読んで、すごく腹落ちしました。
本当はこの本について、おいしいごはんについて、語りたいことは山ほどあるのですが、
一旦このへんにしといて。
私たちは毎日、3食の食事をします。
そのごはん、本当に「おいしい」ですか?
現代の暮らしのなかで、毎食は難しくても、
心から「おいしいな」「生きてるな」と感じられる食事を、
ちょっとずつ増やしていけたらと思います。