Hank Levyの曲が演奏して楽しい🎺10brass楽しいよ
ふと気づくと、ビッグバンドジャズを演奏すること干支2周目に突入しました。ビッグバンドジャズの中でも特にHank Levy(ハンク・レヴィー)が作った曲はいつ演奏しても楽しいのです。
『Hank Levy』だけだとピンとこないかもですが、スタン・ケントン楽団やドン・エリス楽団のコンポーザーなので、Stan Kenton、Don Ellisやその周辺の人の譜面でよく見かけるお名前かと思います。
作曲家Hank Levyといえば変拍子!ですが、もうひとつ大きな特徴として10brassの編成があります。
10brass構成の譜面がなぜ面白いのか、演奏者側の主観100%の概要解説です💁🏻
(他の人はどう思ってるのか、私も知りたいし、読みたい聞きたい。)
自分は単音しか出せない管楽器なので、不思議な響きを味わえるのが面白い。
Hank Levyの曲は10brassで不思議な響きを作るのが大きな特徴です。
(10brass(Ten Brass):トランペット5管、トロンボーン5管からなる10本の金管楽器編成の意)
バンド全体では5Trp - 5Trb - AATTB Sax - GBPDの19名が基本となります。
譜面を見ると隣同士で2度違いの音があり「めっちゃぶつかるじゃん!吹きづらいのでは?」と思いきや、音を出すとあら不思議。なぜかバランスが取れるのです。
「5番ってリードのオクターブ下を吹いてるだけでは?🤷🏻10本も金管楽器いる??🤷🏻」と思うじゃない?
いやいや、必要なんですよ💁🏻
しかも、どのパートも満遍なく、演奏して面白いんですよ!!!💪🏻
ということで、
ビッグバンドジャズに詳しい人でも中々ニッチな世界 10brass。ざっくり役割分担の内訳を書いてみました🙌🏻ざっくりです。
1️⃣ Trumpet1(リード トランペット)
Lead(先導)する人、ハイノート職人、バッキングは休憩してよい、体力温存せよと作曲者に配慮される。
※なお配慮されても音は高い。
譜面のページ数が少なくなりがち。
主旋律担当で、ラストノートのかっこよさでも観客の心をダイレクトに掴む人。
これだけ書くとリードいいな〜って思うじゃん?
いや〜難しいよ〜1音1音がハイカロリーだな〜と思って聴いてます。
2️⃣ Trumpet2(セカンド トランペット)
Swingではテーマやソリスト枠ですが10brassではサブリードの人です。割とハイノートも出てきます。
ソロ裏のバッキングでリードトランペットが休んでる時はリードになることが多いです。ハイノートを担いつつ、リードの3度か5度のハモりを担当する、これまた難しいパートです。
3️⃣ Trumpet3(サード トランペット)
Swingでは音域的に吹きやすいパートのイメージですが、10brassではたまにリードです。何ならファーガソンパート(ハイノートトランペッター)が割り振られてます。
3番以降はハモりにテンション(7th、9th、11th、13th(#5?)あたり)がちらほら出てきて、音取りが難しくなります。何なら隣の人と2度違いで吹くとかある。
あとはオブリガート的な役割ではリードになります。なので3番といいつつ仕事内容的にリードの要素が必要です。
4️⃣ Trumpet4(フォース トランペット)
Swingではリードのオクターブ下を吹いたり音域的に吹きやすいイメージですが、10brassでは職人パートになります。5番と一緒にテーマを吹くのも4番の役割です。
3番と同様にハモりではテンションを担う確率が高いので音取りが難しくなります。かと思うとリードのオクターブ下を吹いたり。
またハイノートは来ないですが、サックスみたいな細かいパッセージがやってきます。そして休みはほとんどありません。役割の切り替えをしつつ常に吹き続けるとても器用な職人パート、それが4番トランペットです。
5️⃣ Trumpet5(フィフス トランペット)
「(コンポーザー目線で)5番トランペットって何するの???」と思うじゃない?💁🏻
私は10brassで5番トランペットが一番美味しいと思ってます。4番と同様に職人パートになります。またテーマ・ソリストパートでもあります。Optionalではなく、明確に役割が与えられています。
セクションで吹く時はリードのオクターブ下で厚みをもって支えるか、テンションを吹くか、五線譜の下の低音をしっかりと吹く担当です。ここらへんの低音が出てくるフレーズは大体美味しい。
またサックスみたいな細かいパッセージもやってきます。
譜面によってはリードトロンボーンのさらに高い音(extraトロンボーン)として、トロンボーンセクションと一緒に、フリューゲルホルンで吹く役割もあります。楽しい☺️
(エクストラトロンボーンは私が勝手に名付けてます。スタバのホイップみたいにポンっと乗っかる、増し増しなニュアンスです。音の積み的には"乗っかる"ですが、バランスはダブルリードがしっくりきました。)
曲ごとに5thの役割は異なるので見極めて、セクションでは職人を担いつつ、ソリストでは前に出る、役割を切り替えながら吹くのが5thトランペットです。
このように4beatのswingや吹奏楽の譜面と比べると、かなり役割が異なります。こういう世界もあるのです。
ここまでがトランペットのセクション内での役割でした💁🏻トロンボーン隊の役割解説はちょいあっさりめ。
6️⃣ Trombone1(リード トロンボーン)
紛うことなきリードで歌う担当。いつも五線譜の上、遥か彼方に存在する。五線譜とは。
何ならリードトランペットとハイノートバトルしてる時もあり「トロンボーンってどこまで高い音出るの???」と思ってます。そしてソロやテーマも担う。ニュアンスを決める役割の人です。
7️⃣ Trombone2(セカンド トロンボーン)
こちらも五線譜の遥か上空、高そうな音域でリードの3度か5度のハモりを担当する、これまた難しそうなパートです。リードトロンボーンが歌う役割なら、セカンドトロンボーンは躍動感を担うリーダーです。ハモりつつ、リードとは別の動きをしてサードトロンボーンと共に音楽に推進力を持たせる役割の人です。
8️⃣ Trombone3(サード トロンボーン)
10brassの豊かな音の響き、深みはここが担ってると思ってる。職人パート。ハモりが大体テンションで音取りがめっちゃ難しい印象。一瞬チラッと入るテンションがおしゃれで難しい。センスの匠。
あとリズム感もめっちゃ必要!!!!全音符で伸ばしてる時にちょっと動きを入れてリズムに躍動感を持たせる役割を担うのがこのパート。
音域は五線譜付近にいますが、割り振られた難しい音をどのバランスで入れるかの塩梅が職人技です。
9️⃣ Trombone4(フォース トロンボーン)
4番・5番はバストロンボーンになります。
トロンボーン隊4人でハーモニーを作る時の最低音を担うこともあれば、バストロンボーン2人でbassの役割を担うときも。リズム感もめっちゃ必要で、役割も曲中でどんどん切り替わっていく。とても器用で、シーンが切り替わる時に推進力を生み出す職人パートです。
サードと同様に10brassの豊かな音の響き、深みはここが担ってると思ってる。ハモりがこれまたテンションで出てくる確率が高く音取りが難しそうな印象です。
🔟 Trombone5(フィフス トロンボーン/バストロンボーン)
10brassで一番低い音担当。曲によってはTubaになる。こちらはベースライン専任です。
トロンボーン隊4人を支えたり、バリトンサックスやベースと一緒にベースラインを担当したりする。シーンが切り替わる時の大事な低音一発でグッと掴む職人パートです。かっこいいのです。
何よりもトロンボーン隊はトランペット隊と異なり、リードトロンボーンが必ずしも主旋律を吹いてるわけではないので、ハーモニーのテンションが難しそうな印象です。実際どうなのかは分からないのですが。
内声でかつ隣の人と2度でぶつかることが多く、1人欠けると大変バランスが取りにくそうだな〜と思っていつも聴いてます。スッと吹いてるように見えるけど!
1人欠けると激むずだけど5人で固まると安定して良い響きになるから、これまた不思議。
ここまでがトロンボーンのセクション内での役割でした。
各々でリードできるプレイヤーが揃って、初めて成立するのが10brass
同じパート内でも、2〜3つの別の動きが同時に走ることがあるので、各々リードできるプレイヤーが揃っていて初めて成立するのが10brassです。
各々主体性を持って演奏するタイミングがある。みんなリードの要素を持ちつつ、セクションやソリストへ役割を切り替えていく。
だから面白い。同じ曲を繰り返し演奏しても、パートを交換すると違った面白さや発見があるのも10brassの魅力です。
面白い10brassの響きが聴けるライブ、ありますよ💁🏻ぜひ聞きに来てね🙋🏻
聴きにきてくれる皆様、こんな感じで作られてる音楽です💁🏻お楽しみに〜🌞
こんな感じで演奏しました🙋🏻