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使いながら時間を重ねる

金継ぎには、金だけでなく、銀や錫や漆など、いろいろな仕上げがあります。
 
中でも、銀仕上げは純銀を使うので、シルバーのアクセサリーと同じように、経年変化をします。
環境によって、黄色味がかったり、褐色になったり、黒ずんだり。
 ※銀丸粉は、シルバー磨きクロスを使って、ご自分で再び輝きを取り戻すことができます。
銀消し粉は、すぐにはがれてしまうので、クロスを使うことはできません。
 
器によっては、磨き立てのシルバーはまぶしすぎて、なんだか浮いてしまうことがありますが、
あえて、経年でどんどんなじんでいくのを計算して、仕上げをすることがあります。
レザーやジーンズやシルバー製品など、使い込む良さを知っているお客様は、むしろそれを
楽しみに、銀仕上げをご希望されることがあります。
 
また、漆仕上げの色味の中で、「白漆」というものがあります。
白、といっても、もともとの漆の茶色が影響して、ベージュの風合いになります。
特に、いそいで硬化させると、肌色~薄茶色に近い色味になり、とても「白」漆とは思えません。
ですが、硬化した後、紫外線にあたることで、もともとの漆の茶色が退色して、だんだん白味が出てきたりします。
 
朱や茶色などの漆仕上げの上に、白などの色味を入れていない透明度の高い漆を飴のように重ねる、「溜塗り」という方法を使うと、1年ほどかけて、漆の色が退色し、透明度が増し、下の朱や茶色の漆が透けて見えてきて、とろりとした美しさが生まれます。
 
漆、本物の素材、蒔絵の技法を使うことで、修繕箇所が、ともに時間を重ねるのを楽しむことも
できます。

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