子供の頃、変質者から金を奪う手口が子供達の間で横行した話
最近物騒な話が相次いでいるので、私が子供の頃に実家の近所で発生した事件について書き記そうと思います。
今も昔も公園という場所には往々にして子供へのいたずらを目的とした変質者が出没するものです。私の実家の近所には、秋田県内でもそこそこ桜の名所として知られている公園があり、私が小学生だった頃はいつ行っても観光客や遊具で遊ぶ地域の子供達で賑わい、特に花見シーズンや紅葉シーズンは大変な人出でした。
しかしそんな場所は変質者にとっては格好の狩り場。そのため毎シーズン痴漢や窃盗、露出狂など様々なトラブルが発生し、私の通う小学校にも町内の警察署から頻繁に注意のお知らせが来ていました。
そんなある年の花見シーズン、普段からバカで知られていたある男子が、公園で中年男性に「500円あげるからおじさんと一緒に行こう」と”声かけ”されたことがありました。ところがこいつ、あろうことか「本当に500円けるなが(くれるのか)?なら今ここで500円出してみれ(出してみろ)!」と挑発。そしてバカ正直にその中年男性が500円を出した瞬間にそれを奪取して全力で走り去るという手口に成功しました。翌日それを学校で披露したところ他の児童にもバカ受け。80年代当時の、それも秋田県のクソ田舎の農村の小学生にとって500円は大金です。あっと言う間にその手口は学年を超えて拡散し、翌日より彼の真似をして変質者から500円を巻き上げる児童が続出。遂には学校の朝礼で校長が「いくら相手が変質者でも人からお金を奪うのは泥棒と同じです。やらないようにしましょう。」と説教するに至りました。
今考えると、奪われ続けてもなおバカ正直に500円を出し続けた変質者の方が子供よりもよっぽどピュアだったんじゃないかと思います。ちなみにその500円の大半は公園の近所にあった駄菓子屋でビックリマンチョコに化けました。変質者の500円が地域の駄菓子屋に落ちるとは、金は本当に天下の回りものだと実感します。なお、残念ながら私はその変質者に遭遇することはできませんでした。500円強奪に成功したのが小学1~3年生の男子のみだったので、おそらく変質者は小学校低学年の男児にしか興味のないペドフィリアだったのでしょう。
この500円変質者は1シーズンのみ現れ、その後姿を見せることはなくなりました。というか、この事件があった後、それまで何度か目撃されていた露出狂や痴漢もパタリと出てこなくなりました。もしかしたら秋田県の変質者業界で「あの公園にいるガキ共はヤバい」と情報共有されてしまったのかもしれません。