ムカつく私
本当はものすごくムカついてる、腹が立ってる、煮えくり返ってる。
自由奔放な兄、自分が一番と思ってる家族、外のストレスをぶつけるあの人、「あなたなら」「あなただから」っていうその人、押し付ける君、すべてを委ねるあなた。私はATMじゃない、AIじゃない、サンドバックじゃない、出来できないこと知らないことだらけのただの凡人。
けど「うちの妹っていい妹だから」「お母さんって最高だよ」「非の打ち所がないもんね」ってみんなが言うから、私は何も言えなくてニコって笑う。涼しい顔で目の前に転がった誰かの難題を一つ一つ片付ける。本当は手足バタバタで切羽詰まってるのに。
何も言えないんじゃない、分かってる。本当は、誰かのせいでこんなにドタバタ人生を生きてるんじゃない。
人のせいじゃない、ただ私自身がステキだと思う「理想の人」を演じてるんだ。正義の味方で、凛として、器用で、頭脳明晰な。映画の主人公みたいな格好いい大人。本当の自分は、心の中が真っ黒で、何でもかんでも誰かのせいにして、嫌なこといっぱい思ってるのに。
溢れだしそうなそれら、負の感情をまるっと覆い隠して、蓋をして、とびっきりステキな優しい格好いい人を演じてるんだ。人から好かれたいとか、嫌われたくないからとか、そんな単純な理由じゃなく演じてる。
ただ、憧れの人理想の人を演じてたら本当の私も本物になれるかなって。
本当の自分にはそんな器も無いくせに、理想だけ叶えてようとしてるんだ。中身は全く未熟で心が追いつかないから、苛立ってムカついてるんだ、自分自身に。
本当は、腹が立ってるとか、ムカついてるとか、そう言うことをはっきり言いたい時だってある。けど、それを口に出してしまったら、大切な人たちががっかりするし心配する。何より自分が一番がっかりする。心配なんてされたくないけど、切羽詰まってる時だってたくさんある。
「何でもできるよね」っていうけど、出来るようにもがいてもがいて、必死に頑張ったからできただけだ。みんなが提示してくるゴールがはっきりしてるから、死に物狂いで目指してるんだ。「偉いね」「凄いね」って言われたい訳じゃない。そんな取ってつけたような言葉がほしくてやってるんじゃない。感謝されたいんじゃない。「うん、できた」って納得したいだけ。
全力で甘えてもいい場所、マルッと骨抜きになっても構わない場所を、時々心が求めてるけど、それを口には出さない。
そんな自分にまたムカついてる自分がいる、58年生きてて未だに無限ループ。ホントに呆れる、ムカつく私。
それでも、理想の人、素敵な人、憧れの人を演じられる自分が好き。ムカつきながらも頑張って、できちゃう自分が好き。
人生の最期のときまでに、本当の自分と理想の自分が同じだったら嬉しいな。
#私は私のここがすき
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