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<全3回>「究極の酒器作り~井戸・青磁編~」体験レポート(その1)

1.2019年11月10日(日)13:30~17:00 手びねりによる成形
 
神楽坂の「ふしきの」主催の「究極の酒器作り~井戸・青磁編~」と銘打たれた陶芸イベントに参加!陶胎漆器で有名な菱田賢治さんのアトリエで酒器作りの体験ができるという贅沢!日本酒の名店で、器にもこだわりのある「ふしきの」だからこその素晴らしい企画。
2019年夏にも実施されていたが、生憎、予定が合わず参加が叶わなかったので、今回こそはと喜び勇んで参加。
 
伊豆熱川駅は都内からだとなかなかの距離。私は大船から「特急踊り子号」で向かった。この日はお天気が良く、車窓からの海の眺めも楽しめ、遠足気分。お弁当を買って乗るべきだったと反省したので、次回こそは。(反省の背景としては、伊豆熱川駅周辺にはかなり何もない感じであったことを追記いたします…。)
 
閑話休題。伊豆熱川駅に菱田さんご自身が車でお迎えにいらしてくれた。私は一緒に参加した友人の車で、菱田さんの車の後に続いて菱田さんの工房へ。参加者は全部で6名。そのうち3名は夏にも参加された方々で2度目の参加。うらやましい!
 

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素敵なお庭に面したご自宅とアトリエで、とても良い雰囲気。早速アトリエで菱田さんからざっくりとした流れのご説明。高名な陶芸家さん…ということで、勝手に気難しそうな職人さんを想像していたけれども、実際の菱田さんはとても気さくでフレンドリーな方で、終始、楽しく作業を進められました!

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この日は井戸と青磁、2種類の土をご用意いただくという贅沢な趣向。まずは白い土の井戸。基本的な成形や高台の作り方の他、井戸の特性である「かいらぎ」(Wikipediaによると、刀剣の柄に巻くエイの皮を「梅花皮(かいらぎ)」と言い、その表面に似ていることから「かいらぎ」と呼ばれるらしい)をきれいに出す作り方などもご指南いただく。

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本当は事前にいろいろ頭の中で考えていたデザインがあったのだけれども、いざ、土を目の前にすると、自分でそれを成形できる気がしなかったので早々に諦め、シンプルなぐい呑みと片口を作るぞ、と目標を変更。
6名それぞれが、時にはあれこれわーわー言いながら、時には黙々と。それぞれ自分の器づくりに専念。菱田さんが一人ずつの進捗を見ながら細かくアドバイスしてくださる(なんて贅沢!!)。

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初心者としては、高台づくりが難しかった!井戸は本体の土をヘラで削って作る「ケズリ高台」。青磁は、釉薬がドロドロでかけづらいので、高台部分をしっかり掴んでかけられるよう(この釉薬のあたりはまだ次回の作業なので、具体的なイメージはついていない…)、円い輪を別につくっておき、あとで本体につけた「ツケ高台」。特にケズリ高台は、思い切って削る方が良いらしいのだが、素人としてはコワくてついつい弱気な削りになってしまう…。菱田さんは「もっと攻めていきましょう!」と明るく仰るのだが、どのあたりまで攻めたものか、削りすぎて台無しにしてしまうのではないか…と臆病になってしまうのだ。きっと良い作品を作るには、この「もっと攻めて!」という姿勢が大事なんだろうなぁ、と思いつつ、ビクビクと高台を削っていました…。
また、「ツケ高台」の場合も、どれくらいの高台が良い案配なんだろう…と、こちらもビクビクしながら…。これから器の高台を見る度に、この気持ちを思い出しそう。

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この日は「酒器づくり」と銘打たれていたものの、湯飲みを作りたいという人々がおり、湯飲みは紐作りで成形していた。私も片口は紐作りで挑戦。手動のろくろ台を使うのだけれども、これがなかなか難しい。縄文時代の人々もこんな気持ちだったであろうか?と思いながら、なんとか片口らしきサイズの土台を作る。肝心の注ぎ口部分は、かなり菱田さんにお世話になり、みるみると片口らしい形になった。自分で成形していて、不格好だなぁ…と思っていても、菱田さんが少し手を加えてくださるだけで、「あれ?」というくらい、雰囲気が変わり、「けっこういいんじゃない?」と思えてくる!やはりプロの手は魔法の手だ。
基本的に私たちに対しては明るくフレンドリーな菱田さんだけれども、器に相対している時の眼差しは真剣で、プロの厳しさも垣間見えました。

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初心者の作る器、技術も時間も限られているので、それほど個性は出ないのではないかと思っていたけれども、菱田さんはそれぞれの個性を見極めた上でアドバイスや手を加えてくださっていたので、出来上がりはかなり異なる結果になっていたのもおもしろかった。

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お天気が良かったので、はじめに成形したものはいい具合に乾いて削りに入れたものの、やはり11月。あっという間に日が落ちてきて、後半の器はなかなか乾かず難儀した。
 
陶芸はあまり触りすぎない方が良い、という話も聞き、あれこれ捏ねくり回したい(見れば見るほど修正してくなる…)気持ちと葛藤しつつ、私はわりとあっさり成形を終えた。井戸のぐい呑みを2つ。青磁のぐい呑みを2つと片口を1つ。合計5つの器を作り、終了。ともかく出来上がりが楽しみ!!

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2度目の参加の方々は、やはり初回組よりはずっと慣れていて、ご自分のイメージでいろいろな形を成形しておられた。私も今回の反省をもとに、もう一度いろいろチャレンジしたいなぁ~。(以下の写真の美しい作品は「ふしきの」御店主のもの。さすが美しい…。)

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<全3回>「究極の酒器作り~井戸・青磁編~」体験レポート(その2)へ続く

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