花火はどこでやるんだ問題
帰省もない、プールもない、お祭りもない。
ないない尽くしのコロナ禍の夏休み。
我が家では、家から10分の実家に長男アユムンだけでお泊まり、というミニマムな冒険をセッティングしましたが、それにしても連れていけるイベントがないので、時間を持て余します。
そうだ、花火をやろう。
夏休みっぽい気分になるじゃない?
じいじばあばと一緒に近所のホームセンターへ花火を買いに行ったところ、広い棚がなんと空っぽ。売り切れでした。
みんな、考えることは同じなのね。
☆花火はどこでやればいいんだ問題
ところで、花火ってどこでやればいいの?
知り合いに、市の公園課で働いていた人がいたので、「公園で花火をやってもいいんですか?」と聞いたことがあります。
すると「うーん。それ、オレに聞いちゃう?」と、困惑した答え。
そのココロは。
法令的に、公園で花火はNGだそうです。
「でもさ〜」と、その人は言葉をつなぎます。
「子どもの小さい花火でしょ? 目くじら立てて、ダメだ!なんて、本当はオレらも言いたくないよね。火の始末と騒音に気をつけて、迷惑かけずに楽しんでくれる範囲なら、実際にはわざわざ注意しないな。近所の人からの通報があれば、別だけど」とのこと。
へ〜、そういうモノなのか、とワタシは思いました。
「オレら公務員に『公園で花火やって良いですか?』って聞かないで。真っ正面から聞かれると『ダメです』としか答えられないから。でも、ダメって本当は言いたくないんだよ。だからさ、聞かずに、こっそり、やっちゃってほしい」と、まとめてくれました。
ちなみに、海岸の砂浜も公園と一緒で火気厳禁(県の管理下だそうです)。
合法的に花火が許されるのは、キャンプ場か、所有者の許可がある広い私有地だそうです。ドラえもんに出てくる空き地みたいなヤツ。
そんな私有地、ないんだってば・・・。
☆ギンナンも花火と同じらしい
この、公務員さん的には「聞かずにこっそりやってほしい」というパターンは意外といろいろあるそうで、興味深いお話でした。
ひとつ例をあげると、「公園のギンナン拾い」。
「公園に落ちているギンナンを拾ってもいいですか」と聞かれれば、「ダメです」と答えるのが、正解だそうです。公園の銀杏の木、そしてギンナンの実は市の所有物なので、個人が拾って持って帰るのは厳密に言えば窃盗罪だからです。
しかし、実際には。
「ギンナン拾いを禁止にしてもさ、いいことはひとつもないんだよ」とのこと。
落ちたギンナンはニオイがするので、放置しておくと近所の人からクレームが入ります。なので、市民の人が拾わない場合は清掃業務員さんが回収し、ギンナンはゴミとして捨てることになる、とのこと。もちろん、清掃業務員さんには税金で報酬が支払われます。
税金がかかり、ギンナンもムダになってしまう。
それなら市民の人が拾ってホクホク食べてくれるほうがゼッタイにいいじゃん、法的にはNGだから声に出して言えないけども、というお話でした。
☆ごめんね、と謝るお巡りさん
ということで、じいじばあば&アユムンは近所の公園でこっそり花火を楽しんだらしいのですが。
予想外にも、お巡りさん登場。あちゃー。
10分ほど前に同じ公園で花火をしていた若者たちが騒がしかったらしく、ご近所さんから通報を受けたので見回りに来た、とのこと。
「本当は僕たちも言いたくないんだけど、通報があったから仕方ないんだ。ゴメンね。一応、公園で花火はダメってことになってるから」。
小学生のアユムンに、お巡りさんはゴメンねゴメンね、と謝りながら注意をして、「バイバイ!」と帰っていったそうな。優しい人だったみたいです。
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迷惑をかけることは許されない。
法令違反を通報することは、市民の権利。
もっともではあるけど、最近の風潮は、なかなか息苦しいというか。
ちょっと立ち止まって、みんなが許容し合って愉しく過ごせる道を探ることも、本当は大事なんじゃないかな、と思うのでした。