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妹が生まれて、良かったかい?
夕方、遊びに来てくれたおじいちゃんが、アユムン兄さんに聞いている。
「どうや、妹が生まれて、よかったか!?」
この質問を聞いて、キッチンで「うわあああ」と思ったのは、ハハのワタシ。
ひとりっこ長男が兄になるというのは、一大事らしい。いっちゃんが生まれてから3ヶ月というもの、さみしがったり可愛がったりスネてみたり、すっかり揺れるハートとなった小学2年生のアユムン兄さん。
ムスコの心を落ち着かせようと、あまやかしたり、しかってみたり、まさにハハ業は試行錯誤の毎日であり。
それを、それを。おじいちゃんよ。
「デリカシー」という言葉を生涯理解しないであろうKYな心意気をこんなところで発揮してくれるとは。
聞きたくても聞けなかったことを、ズバッと切り込んでくれるじゃないですか。
「よかったよう!」とアユムンさん。
え、そうなの?
「だって、いっちゃんが生まれてから、おいしいものばっかりだよ」
「なんやそれ」
「ウナギを2回食べたでしょ。ケーキなんて3回食べたよ」
「ああ、そうやなあ」
「兄妹が多いと、誕生日のケーキも毎年多くなるんだよ」
「なんや、食べ物ばっかりやなあ~」
「また食べたい~。ウナギ~!」
ひゃはは~、とのんきに笑うアユムン&おじいちゃんの会話にじーんとムネが熱くなるハハひとり。
ウナギとケーキは、お七夜とお宮参りのお祝いのことだと思われる。
本気で「おいしいものが食べられてよかった」と思っているというよりも、おじいちゃんを相手にふざけた回答をしてみたのかもなあ、というくらいには、アユムン兄さんはムジャキな幼児時代から少し遠くまで歩いて来ている。
でも、よかった。
たとえ冗談だとしても、「妹がうまれて、よかったよう」という言葉は、ハハとして、この上なくうれしい。
アユムン兄さんの葛藤を知っているだけに、なおさら。
すごく、うれしい。
アユムンといっちゃん。
ふたりが、この先ずっと、かけがえのない「兄妹」でありますように。
家族みんなでおいしいものを食べられるように、ハハはがんばるとしますか。