子育てハハの「自分の時間がない」考
ピカピカの社会人1年生だった20年前。ワタシは、子育て中のお母さんたちが「自分の時間がない」とおっしゃるのが、謎でした。何もわかってなかったな〜という反省と、「今思うと、一理あるな」という再発見の話です。
☆「いいわねえ、自分の時間があって」
20年前、タウン誌の編集の仕事をしていた新卒ピカピカ時代の話。
子育てサークルのお母さんたちに取材をさせていただき、ありがとうございました、文章がまとまりましたらご連絡しますね、と撤収モードに入ったタイミングで、ひとりのお母さんに「いいわねえ、自分の時間がいっぱいあって・・・」と声を掛けてもらいました。
周りを見ると、お母さんたち全員がウンウンとうなずいています。
いやー、そうですねー、ハハハ・・・と、取材者としても社会人としても経験値が最低レベルなワタシは、なんとなく笑うのみ。
「いいわねえ」の言葉に、何やら切実な響きは感じつつも、何も返せずにその場を後にしました。
☆実家暮らし&会社員の「自分の時間」って?
取材現場から会社に帰るクルマを運転しながら、23歳のワタシは考えていました。
「自分の時間」って、言われてもなー。
仕事中だから、今は自分の時間っていうか、会社の時間だし。
これから帰って原稿を書かなきゃだから、帰るのは7〜8時過ぎ。
で、帰るって言っても、実家暮らしだから、自分の家じゃなくて親の家なわけだし。
それに比べて、今日お会いしたお母さんたちは、誰かに雇われているわけじゃないから、いつも「自分の時間」。
しかも、自分の選んだ夫さん、自分で産んだお子さんと一緒に、正真正銘の自分の家に住んでいるわけで。
親元から会社に通ってる毎日の私なんかより、お母さんたちの方が、よっぽど「自分の時間」って胸張って言える気がするけどな〜・・・子育てでいろいろと忙しいんだろうけどさ・・・なーんて、不思議に思っていたのでした。
☆ひとり目育児で思い知る
かなりのバカだな・・・何も解ってなかったな・・・と当時の自分を思い出して憤慨したのは、10年前のワタシ。
初めての育児で、「ハハはいろいろと忙しい」の具体的な現実に直面した頃です。
深夜まで読書したり、テレビを見たり、ゆったり半身浴をしてみたり、休日の朝に10時まで寝たり、友達とフラフラとカフェ巡りをしたり、あるいは納得がいくまで残業したり・・・独身時代には有り余っていた「自分の時間」がハハとなった瞬間から消滅したことに愕然とし、あの当時のお母さんたちに心の底から詫びたい、と思いました。
あーもう、バカバカバカ。
ていうか、あんなに「自分の時間は、独身の今だけの特権だよ」と警告してくれたのに、ホントに何も解ってなかったなあ。
☆ふたり目育児で一周回って
しかし、一周回って、今。
今度は「新卒のワタシの考えも、一理あるな」と思うようになりました。
9歳と2歳の子育てで忙しいのに変わりはありませんが、精神的に図太くなったからか、お茶を飲んだり本を読んだりという「自分の時間」は、細々と確保しています。
そうなってくると、「自分の夫と、自分の子ども達と一緒に、自分の家に住んでるなら、それって100%自分の時間だよね」という新米社会人のワタシの理論を思い出して、妙に励まされる心境になってきました。
そうそう、あの時から20年間、若さとか自由は手放したかもしれないけど、婚活したりローンを組んだりなんだかんだ努力して、今は自分の力で生活してるじゃない? それって、実はすごくない?
最近の週末は、掃除と作り置きと2歳児の相手だけでアッという間に暮れていきますが、「まあ、それでも自分の時間100%だから」と思えば、空しさから遠ざかることができます。
「子育てしてるからエラい」とか、逆に「自分で望んで産んだんだから文句言うな」とか、そういうわけじゃなくて。
子どもと家事に振り回されているようでいて、ちゃんと自分の人生を歩いてるから大丈夫・・・自信持って行きましょ、ということです。
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20年前のあの時、笑ってごまかすんじゃなくて、「ワタシはお母さんたちがうらやましいですよ」と誠実に伝えてみれば良かったのかもしれません。
話を掘り下げるチャンスだったのに、惜しいことしたなあ。