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双極性障害の私の恋~ミュージシャン慎太郎編
これは、私が1度目の離婚をしてなかなか恋愛ができないでいるときの話だ。
彼の名は慎太郎(仮名)。私と同郷の年上男性で、東京都内でミュージシャン活動をしている。
知り合ったのは、私がボランティア活動をしている中で繋がったミュージシャンの友達に私と同郷のミュージシャンがいると紹介されて行ったライブのひとつ。
ミュージシャンには気をつけろという話があったが、私のボランティアで繋がったミュージシャンの友達は、アコースティックの音色が綺麗で元気がもらえる音楽を奏でていたから、そんな危険な香りはしなかったので、他の人たちに対してもガードが緩かったのかもしれない。
離婚後でまともな恋愛ができるほど、自信がなかった当時の私には、音楽の場は、自然と涙が溢れて癒しとなり、勇気がもらえる時間だったと言える。平日の夜のライブでは、お客の入りも少ない時もあり、慎太郎のライブでは、私だけしかいない日もあったくらいだ。でも、たまにある大き目のステージでは、女性陣に黄色い声を浴びている姿を見ると、とってもカッコ良く見えてしまう。慎太郎から声を掛けられるのに時間はかからなかった。
その日は、他に出演していたミュージシャンの男、啓太(仮名)に声をかけられた。啓太は、グイグイ来る男だった。それを見ていた慎太郎は「あいつは気をつけろ。いつも女の子をお持ち帰りするんだ。」と私にささやいた。その時は、それが口説き文句だとも知らず、優しいなと思ってしまった私がいる。
啓太は、ライブが終わると勢いに任せて、遅くまでやっている飲み屋に私を連れていった。断る勇気がなかった私だったけど、慎太郎に忠告されていたので、お持ち帰りされてなるものか、と何とか啓太の押しを跳ね除けて家路についた。
「帰れた?」慎太郎からのメッセージが届く。
「はい、今、タクシーで帰るところです。しつこかったけど、慎太郎さんに聞いていたから。ありがとうございました。」
慎太郎から返信があった。「今から、家、行っても良い?外だと誰が見ているか分からないからさ。行っちゃだめかな?今日、啓太と帰ったからさ、俺、心配で。顔だけ見たら、すぐ帰るから。」「今からですか?本当に?いいですよ。」
寂しさもあったし、曲がりなりにもミュージシャンという肩書きの男性に好かれるというのは、まんざらでもなかったのかもしれない。私は慎太郎が家に来るのを待っていた。
私はきっちりしたい性格だったので、聞いてみた。
「ミュージシャンってもてますよね?」
「そうかもしれないけど、実際はそんなことないぜ。」
「彼女さんはいないんですか?女の子の家とか来ちゃって大丈夫なんですか?」私はストレートに聞いた。
「俺、彼女いないよ。」
「嘘でしょ?笑」
「いや、嘘ついてないよ。少し前に別れたんだ。俺の彼女になりたいの?」
「彼女になりたいとか分からないけど…こうして会うなら、ちゃんとしたいですよ。」
「じゃ、いいじゃん彼女になれば?離婚したばっかりで、傷心なんだろ?だったら、いいんじゃね?甘えたってさ。俺は、君のことが好きだよ。」
「…」
「とにかく、またライブあるからおいでよ。Chihiroが来てくれたら、俺、頑張って歌えるからさ。今日は帰るよ。」
本当に少しの時間だったけど、慎太郎は「好き」という言葉を残して帰っていった。
それから数回、彼女ポジション的な感覚でライブに行くことになる。
ライブが始まる前に慎太郎と会話したり、他のミュージシャンに「俺の女だから手を出すなよ」的なオーラを出したり。ちょっと私も浮かれてしまった。でもそれは長くは続かなかった。
数週間経ったある日のライブにて。隣に来たマネージャーの女性が慎太郎と仲良く話している私の顔を見るなり、泣いて出て行ってしまったのだ。慎太郎と話していた私は追いかけることが出来なかった。
マネージャーの百合さん(仮名)とは、何度か普通に仲良く会話したことがある。とても上品で綺麗な顔立ち、スラっとした細身で仕事もできるだろう。そして強さを秘めている印象の女性だった。決して脆かったり、精神的に不安定な女性という印象はなかったため、違和感を感じた。
その日、また慎太郎がライブ後に家に来た。私は気になっていたので、慎太郎に聞いてみた。
「ねえ、百合さん、大丈夫だったかな?今日、泣いてたけど。理由何か知ってるの?…私何かしたのかな?」
「…ごめん」
「え?何が?」
「俺、言ってないことがある。」
「俺、彼女はいないけど、婚約者がいるんだ。」
私は言葉を失った。同時にすべてを察した。
百合さんは慎太郎の婚約者で、慎太郎と私のことに気づき、今日は私の顔を見て泣いてしまったのだ。
「マネージャーの百合。彼女が俺の婚約者なんだ。で、彼女に借金もしている。だから、俺は彼女の人生を背負わなければならないと思っているんだ。」
「ミュージシャンって職業柄、収入が安定しないし、イベントとかをするときはまとまった金がいる。その度に、定職を持つ彼女がお金を工面してくれていて、俺は頭が上がらない。好きとか好きじゃないとかよく分からないけど、とにかくこれだけ迷惑をかけている以上、彼女の人生を背負わなければならないんだ。」
「それでもChihiroのことは好きだし、もっと一緒に居たいと思っている。…ダメかな?」
私は呆れてモノが言えなくなってしまった。またダメ男に引っかかってしまったのだ。いくら寂しいからと言っても、彼女がいる人、ましてや婚約者がいる人と、付き合いたいとは思わない。離婚したばかりで、しかも浮気、不倫をされて別れた私が相手がいる男性に惹かれるとでも思ったのか?自分にも腹が立ってきた。
「いや、無理でしょ。」
「・・・俺さ、嘘は言ってないじゃん。彼女はいないんだよ。婚約者はいるけど。・・・お前さ、不幸になるよ。」
その後も何か言っていたと思うけど、正直覚えていない。呆れてモノが言えなかった。
百合さんにも申し訳ない気持ちでいっぱいだったし、でも私が謝ったところで気持ちが晴れるとも思えなかった。とにかく、私は慎太郎という男とキッパリ別れて、次の恋を探すことにした。
<次の恋へ続く>
こんな私でも今は素敵な夫に恵まれて、幸せな結婚生活を過ごし、生き生きと生きています。
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