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ライフストーリーインタビューの魅力

ライフストーリーインタビューとは

ライフストーリーインタビューとは、語り手と聞き手の共同作業で、語り手の歩んできたライフをインタビューからひも解き、未来の物語へと繋げていくもの。過去の選択について、その背景にあった社会やコミュニティのモデルストーリーからの影響を含めて分析をしたりもします。当事者の語りによって社会課題を浮き彫りにする、社会学の一分野でもあります。私は非営利型株式会社Polaris主催の講座「半分幸せの考察」でライフストーリーインタビューについて学び、話し手・語り手の両方を経験しました。そして今は、同社の学び事業、自由七科の研究員として活動しています。

ライフストーリーインタビューの流れ

ライフストーリーインタビューは下記の手順で行います。

1.事前アンケート(略歴などを聞く簡単なもの)
2.インタビュー実施
3.インタビュー分析
4.分析結果のフィードバック

具体的には分析は逐語録を起こし、言い淀みや沈黙、身振り手振りなど非言語な部分にも着目したりします。それをどのように分析するかはインタビュアー次第です。

ライフストーリーインタビューを経験して

私も共に学んだ仲間にライフストーリーインタビューをやってもらいました。私は第一子出産を機に仕事を辞めたのですが、働いていた頃を振り返ってみると、やり残したことがたくさんあったことに気づきました。また再び働くにあたって、なんだかそれが障壁になっている気がして、そのあたりのことを取り留めなく話しました。この取り留めなく、というのがポイントで、自分で捉えられない、どう扱えばいいかわからない、そんな思いを受け止めてもらえるのがライフストーリーインタビューの魅力の一つだと思います。

話してみると、不思議とやり残したという思いを手放すことができたんですね。「なんだそんなこと」って思えた。できなかったこともあるけど、今でも自分の中に残ってるものもいっぱいある。インタビュー後はそっちに気持ちを向けることができた。

語った後は、ゼミの仲間が語りを分析してくれました。ないものよりも今持ってるものに目を向けよう。そんな思いに背中を押してくれるようなもので、自分では気づいていなかった発見もいっぱいありました。

一方で、聞き手にとっては、分析の時間がハイライトな感じがします。分析によって当事者とは違う視点が入ることで新しい物語が生まれる。物語を紡いでいる時間は、語り手を通して自分と対話する時間でもあるのです。それがとても楽しい。ちなみに分析者によって視点もアウトプットも異なるので複数人に見てもらうのは面白い体験でした。

ライフストーリーインタビューの魅力

改めて、ライフストーリーインタビューの魅力を考えてみると、自分で物語を紡いでいく手触り感に引きつけられるのかなと思う。よくゼミ仲間で、分析のアウトプットを「これは作品だよね!」って話をするのだけど、本当に物語というアートをつくっているような感覚があります。

インタビューなので言葉を使うのだけど、むしろ語られた言葉から抜け落ちていったものをすくいとる作業に面白さがある。言葉になる前の形のないもの。言葉にしようとすると見えなくなってしまう思い。そうしたものを聞き手と語り手で探る作業。それもアウトプットとしては言葉になってしまうのだけど、なんかもっとこう非言語な手触りとか感触を共有しているような思いがする。

語り手として話すことを考えているときも、聞き手として語りを分析するときも、心という湖に耳をそばだてて、深く深く潜っていく、そんなイメージを私は持っています。

こうした魅力とは別に、社会学としてのライフストーリーインタビューにはまた別の側面があります。それについてはまた今度書きたいと思います。

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