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コロナ禍の奔流にあって考えること

緊急事態宣言が5月31日まで延長になりましたね。僕たちも4月8日から全店舗で休業に入っておりまして、5月6日現在、麹町本店とソラノイロ食堂(池袋店)のほうでテイクアウトの販売を行なっています。

ただ、緊急事態宣言の発動で1か月にわたって我慢をしてきた飲食業界、ラーメン業界ですが、いよいよ個々で考え、動いていかなければ経済面での「死」が始まってしまうのではないでしょうか。それぞれが自分たちの理念や思想のもと、命、そして安心・安全を最優先に考えながら、経済活動を少しずつ再開させるときが迫っているような気がします。

そこで、5月11日月曜日からは本店、京橋店、池袋店は時短ではありますが、営業を再開する予定です。

これまで応援し、支えてくださった地域のお客様の声もあります。
飲食店の本質である「食事をする場の提供」を考えてのことでもあります。
そして、従業員の生活を守る、従業員の雇用の確保のためでもあります。

「アフターコロナ」がキーワードになっていますが、コロナが完全に収束し、感染拡大前に戻ることはないでしょう。どうやって共存していくか、自分の持病のようにうまく付き合っていくかを考えたほうがいいような気がしています。その世界では、飲食店が飲食店ではなく、製造業になる――そんなパラダイムシフトも起こるでしょう。

飲食店が対面商売ではなく、空中戦になる。今までの当たり前が当たり前ではなくなる。そんな時代だからこそ、誰もが新しい形を模索しています。事態は非常に厳しいけど、ある意味では面白い。面白い試みができているけど、誰もやったことないから難しい。だったら、この状況を楽しむしかありません。

そこで、僕たちは「BASE」を活用したECサイト「おうちでソラノイロ」を展開し、おかげさまで好評をいただいています。

おうちでソラノイロ
https://soranoiro4u.thebase.in/

最新の申込みではラーメン500杯、焼売1400個以上、SORANOIROオリジナル丼のオーダーも40個以上いただきました。この時期、これだけの需要をいただけることは、本当にありがたいことだと感じています。そして、新たな試みとして「ソラノイロの定期便」をスタートさせています。これはまたあらためてnoteに想いをアップしますので、引き続きチェックをいただければと思います。

一人の経営者として考え、
動いていくこと

そして、SORANOIROは営業以外でも動いています。各種助成金の申請、東京都の協力金を申し込んだり、いろいろな手を打っていますが、僕はそれらは基本的に「無いもの」として考えています。もちろん、可能になるならうれしい限りですが、基本的に自分でコントロールできるものではありません。助けが下りてくるのを待つよりは、自分で動きたい。

では何をしているかというと、それは資金調達です。金融機関と交渉し、財務体制を強化することに注力しています。地銀、日本政策金融公庫に借り入れを起こしまして、ひとまずは2年程度の運転資金を確保することができました。

手元資金として、最低でも月商の3か月分、可能なら半年分は持っていなければ。そう考えてきましたが、それはあくまで平常時の話です。先行きが不安、というよりはまったく先が見えない現状では、キャッシュがよりどころになります。キャッシュがなければ固定費である賃料、そして人件費、ラーメンをつくるための原材料費、水道光熱費も払えず、動きが止まってしまいます。

大前提になるのは、僕たちはラーメン職人であると同時にオーナー経営者である、ということです。これは個人店であろうと法人格であろうと変わりありません。職人として腕を磨くこと、スタッフをマネジメントし、育成していくことも大事ですが、店として、企業として存続していくためには経営者としての考え方、マインドは絶対に必要なものだと考えています。雇用の確保、納税など、社会的責任など企業に求められる要素はいくつもありますが、「存続」は重要です。

PL(損益計算書)、BS(貸借対照表) 、キャッシュフローにしっかり目を光らせ、財務に強くなければ生き残っていくことはできません。財務で強くなるための第一歩は、「決算書をきれいにする」ことです。黒字化はもちろん、不明瞭なお金、無駄なお金を使っていると見られることのないよう、細部までチェックしてきました。

財務体質の強化は、金融機関の借り入れ時に大きなアドバンテージになります。借り入れに際して銀行の担当者と話をしましたが、やっぱり、銀行も困ったときだけ駆け込んでくる会社にはあまり貸したくはない、と。平素から業績の向上に力を入れ、設備投資や運転資金の確保を考えている、そんな会社こそバックアップしていきたい、と言っていました。銀行と普段からどう付き合っているか、「この会社には貸してもいい」と思ってもらえるかどうかは、経営者としてすごく大事なことだと思います。


これまで何をやってきたか
コロナが真価をあぶり出す

「リーマン・ショックよりも事態は深刻だ」
「東日本大震災の復興よりも長引くかもしれない」

いろんな嘆き、現状分析が聞こえてきますが、何年かに一度はこうした危機があることを考えてきたでしょうか。必ず起こる有事にどう備えてきたか。それが今問われています。個人の備え、振る舞いで考えてみたらわかるでしょう。トイレットペーパーや食料品などの買い占めでパニックが起こりましたが、危機を見越して備蓄していたら、焦って買い溜めに走る必要もありません。

僕は創業1年目で運転資金がショートし、業者さんやアルバイトスタッフにお金が払えず、2日間だけ猶予をもらったことがありました。経営者として忸怩たる思い、苦い記憶です。売り上げは好調でロケットスタートを切ることができたのに、なぜキャッシュが回らなかったのか? その疑問から財務について学び、改善を繰り返して実践してきました。

さまざまなラーメン店が挑んでいるECサイトもそうです。今までやってきたこと、積み上げてきた人間関係、信頼関係がECサイトで花開き、これまでにないマーケットが生まれています。

「おうちでソラノイロ」にも多くの注文をいただけてうれしい限りですが、SNSやブログなどを通し、顔が見える情報発信を積み重ねてきたからこそ今がある。昨年末の年越し沖縄そばの販売では「Square」という決済サービスにチャレンジしていたから、現在の「BASE」販売プラットフォームができました。

これまで財務を考えず、SNSで発信していなかったら? あわてて付け焼き刃で取り組んでも借り入れを起こすのは難しかったでしょうし、情報発信、ブランディングを継続していくのは無理だったでしょう。これからは「定期便」、そして他店とのコラボを通し、ECサイトでの販売が打ち上げ花火に終わらないよう、そして数多くあるラーメンECサイトにおいて差別化できるよう、理念や思想を含めてしっかりとECサイトで伝えていければと思います。

まさに今、これまでの真価が問われる有事です。僕たちは一丸となって全力で対処にあたり、創業からの9年間で何をやってきたのかを証明していきます。


僕のリアルタイムの思い、考えはYouTube「ソラノイロチャンネル」でも公開していますので、是非チェックください!

「コロナの取り組みとラーメン界の未来【今と今から】」
(前編)
https://youtu.be/lHmZN3ORI8I
(後編)
https://youtu.be/cBJMOKSxBO4

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