答えは現場にある――仕事と作業の違いとは
2019年3月4日、ソラノイロ麹町本店のメニューをフルリニューアルしたこともあり、僕も最近は毎日のように現場に入っています。
現場にいると、いろいろなことが見えてきます。それは仕事=作業になっていないか? ということです。
2019年現在で5店舗を構えるソラノイロですが、3店舗ぐらいから5店舗規模へと拡大していく中で、一つの壁に突き当たり、悩んだこともありました。今回は、その苦闘をベースに、「現場に立ち返ること」の大切さを書いてみたいと思います。
本店のリニューアル以来、現場に立つ機会が増えたと言いましたが、現場に入る時に意識しているのは、お客様目線で見てみること客観的な視点で自分のお店を見るように心がけています。
飲食店の業務は仕込みと営業、片付けをしてレジ締め、そしてまた翌日の仕込み、営業……やっていることだけを抜き出すと、日々同じことの繰り返しです。そこで油断すると、現場が風景化してしまいます。ルーチンワークとして続けることで感度が低くなり、気づきも減り、サービスや仕事が劣化していることに気づきにくくなってしまうのです。
先日も、東京駅店に入り、客観的な視点で見て、改善ポイントや気になる点を12個も見つけました。
しかし、これは決して粗探しをしているわけではありません。改善ポイントはもちろん正さなければなりませんが、「今のやり方、仕組みのままで本当にいいのか? 店をもっと良くするために、業務をもっと効率的に進めるためにやれることはないのか?」という意識こそ、持つべきなのです。
たとえば、12個の指摘ポイントの一つが「掃除が行き届いていないところがある」というものでした。それは「どこそこの汚れ」ではなく、「厨房をきれいに使おう」「厨房も僕らの仲間だと考え、愛着を持って磨こう」という意識の欠如を意味します。
掃除は、スタッフの人数や、時間のあるなしとは関係ありません。気づいた時にどれだけ全員で行えるかが勝負だと僕は考えています。汚い状態、汚れの放置が常態化してしまうと、指摘されたり、言われたりした時にしか掃除をしなくなってしまいます。
厨房はもちろん、調理道具や厨房器具も、僕たちにとっては大切なパートナーであり、愛情を持って接するべきものです。だからこそ、いつも綺麗に使ってあげなければ。そんな意識づけも大切です。
さらに、「掃除がうまくできていない」店舗はスタッフの連携がうまくいっていないことも考えられます。洗い場は洗い場、調理は厨房、ホールはホール……縦割りで切り分けになり、自分の持ち場だけにしか関心が向かなくなっている。チームとしてうまく機能していない危険サインとも言えるのです。
12個もの指摘ポイントが浮上した東京駅店はソラノイログループきっての繁忙店で、確かに大変です。しかし、そのように忙しい店だからこそ「仕事=作業」にならないよう、注意すべきなのです。
これは、報告される売り上げだけを見ていてはわかりません。数字がいいからといって現場の危険サインを見逃していたら、オペレーションは崩壊してしまいます。何より、作業になってしまったら飽きもくるし、職場がつまらなくなってしまう。これではスタッフと店舗、会社のいい関係が作れることはありません。
仕事を作業にしない。そのためには店主、店長といった現場のリーダーの意識づけが重要です。スタッフと血の通ったコミュニケーションをするためにしっかりとミーティングをし、どんなお店にしていきたいかというビジョンを指し示す。身をもってお店への愛着を伝えていくことが大切なのです。
……と、ここまで書いたのは、ここ2、3年ほど現場を離れていた僕が、自戒を込めて思うことです。問題は現場に行かないと決して見えません。そして、その見つかった課題を解決できるのも現場だけ。課題、答え、解決のヒント――すべては、現場にしかないのです。
もう一度現場に降り、スタッフと一緒に汗を流しながら、新たな気持ちで本店、そしてグループを創り上げていきたい。僕はあくまで現場で考え、頑張っていきたいと思っています。
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