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年上の受験生だったのに ㉕「夏の野原でつかまえて」

秋野ひとみ「つかまえてシリーズ」全95タイトルを全巻レビュー。
無作為に選び一冊ずつ順不同にいきます。

25作目「夏の野原でつかまえて」1994年

これで25作目か。約100作品だとすると、ここが4分の1。
長いシリーズの中、自分が最も夢中になって読んだころは、多分このあたり。由香と圭二郎さんがくっつくまで、と言えるかもしれない。

1994年出版の一月当時、高校進学をひかえた中学三年生だった私にとって、高校三年生、受験生だと言ってる由香と左記子は年上。
小学生で読み始めたこの女子高校生探偵の物語は、少しずつ自分の年齢が二人に追いついていった。
ずいぶんお姉さんだと思ってた二人と、近づいていく。
つかまえてシリーズを全てリアルで読んだことから来る一番の思い出は、ここのところかもしれない。追いつきそう、追いつきそう、追いついた、今ジャスト、まったく一緒、あ、追い抜いた。以降ずっと追い抜いたまま。

この作品で気になったこと。改行の多さ。

うん。

でも。

だって。

のひとことで改行。見開き2ページにいくつもある。
当時のティーンズ小説の特徴だった。このシリーズは、進むにつれてこれが少なくなるけど、夏の野原くらいだとまだまだ、あるんだ。
由香の頭の中の描写シーンで多すぎる。

事件そのものは、「あたしがまちがっていた」系。
怪しい人がいるんだけど、手分けしてほかの人からも話を聞いた中に真犯人がいて動機もその中で聞きだしている、という由香の得意なパターン。
誤解がとけていくシーン、由香はその被害者の「ほんとうの交際(好きだった)相手」を見破ることがあるんだけど、この作品もそう。
ささいなセリフから、相手ちがいを見つけていく。
当時この解決編でゾクっとした記憶があります。

ひかえめな登場の桜崎兄弟もいい感じです。圭二郎とくっつく前のほうが好きだなあ。由香もまだ、名探偵ではなく「探偵ごっこ」と呼んで活動してる。





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