探偵本格化 ㊷「誕生日の夜につかまえて」
秋野ひとみ「つかまえてシリーズ」全95タイトルを全巻レビューするのが目標。無作為に選び一冊ずつ順不同にいきます。
42作目「誕生日の夜につかまえて」1997年
由香が桜崎探偵事務所でアルバイトをするようになった初日。
由香と左記子が高校を卒業したあたりから、探偵物語も泊まりとか、解決直後の新しい依頼、など連続でとりかかることも増えてきて、門限とか受験勉強とか、そういうワードが減り二人が主役となって活躍し始める。
あるお屋敷で金銭の盗難が続き、その捜査を引き受ける。由香と圭二郎が探偵として屋敷を訪れる。由香の誕生日を無事に過ごさせるため事件を早く解決したい左記子は、メイドとして潜入捜査。左記子の性格の良いところがとても発揮されていて、数ある彼女の潜入捜査の中でも、すごく素敵なもののひとつ。
菊地さんと由香はお別れしたあと。今作では再登場。当時は、まさか菊地さんがここまで濃いメインキャラの一人になるとは予想してなかった。現在菊地さんが交際している女の子が出て来て、わたし工藤さんに似てるでしょ、代わりなんです、と由香に打ち明け、もう一度だけ菊地さんに会ってほしいと頼み、菊地さんをそこに呼んでいる。
二人の再会シーンに折り目をつけている当時の私、今もその気持ちはわかるよ。菊地さんの去り際「それから、誕生日おめでとう」のセリフ、気に入ってたものね。
1997年5月の発行ですが、私はこのとき大学1年生。県外の大学に入学してひと月。由香と左記子は高校卒業直後の春休み。ということは、ここで私が二人の年齢を追い越したことになる。あっちは3月、こっちは5月。この二カ月の差はどんどんどんどんどーんどん広がっていき、けっきょく二人は成人しないままシリーズは終了する。
この事件の真相や動機は、すごく面白かった。怪しい人物が何人か出て来て、さあどの人だ、ってやり方が秋野先生ってすごくうまい。意外性もあるし、初見で予測できることはあまりないので、最終章にたどり着くとドキドキする。わからなかったけどなあ。私。なんて考えながら。
由香の誕生日の話は、四作品あるはずなので、後日それを引くのが楽しみ。
これ、ベストテン候補にしとこう(覚書)
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