思い出 68「思い出の樹の下でつかまえて」
秋野ひとみ「つかまえてシリーズ」全95タイトルを全巻レビューするのが目標。無作為に選び一冊ずつ順不同にいきます。
68作目「思い出の樹の下でつかまえて」2001年
思い出の~。タイトルにデジャブ感があるので確認してみた。
「思い出をつかまえて」「思い出の軽井沢でつかまえて」「思い出のカフェテラスでつかまえて」今作の「思い出の樹の下でつかまえて」
好きなのかな。思い出という言葉が。
由香と左記子の実家の近くにある家から白骨遺体が発見された。そのニュースを二人が知り、現場にかけつけてみるところから始まる。二人は昔、この家の生垣から忍び込んで遊んでいて、大事な思い出の場所だった。
そんな場所で、長く発見されないでいる遺体があったなんて。二人は衝撃を受け事務所に戻りメンバーにそれを話す。
数日後、桜崎探偵事務所に新しい依頼人があらわれ、その内容はまさに由香と左記子の思い出の場所で見つかった遺体についての真相を探ること。
はじめから一話で終わらせるつもりがなかったのかな、と思うのは連作のようになり、この作品では捜査を進めるうちに、当時の関係者が一堂に集められた場所で「別の殺人」が起こり、由香が今作で解決するのはそちら。
元々の依頼の事件は解決しないまま次作へ。脱線、と言いたいがこの事件の結末や、実はあの人が関わっていた、という真相を考えると秋野先生が二作くらい使いたいのもわかるな。とシリーズファンだからこそ理解できたり。
捜査中のメンバーのところに律泉さん、蓉子さんが陣中見舞いに訪れる。律泉さんはスイカと花火を持って。蓉子さんは由香と左記子にだけ顔を見せに。夏休みって感じでどちらのシーンもとてもいい。
新しい登場人物である葛葉泰明の登場作。謎だらけのこの人を、由香と左記子が尾行するところで唐突に終了する。
この作品での「別の殺人」は加害者に同情しちゃう。間違った推理って本当に危ないんだなとよくわかった。
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