刑事フォイル
Foyle's War(イギリス/2002~2015)
これぞ、イギリスドラマの真骨頂!!
絶対に観て損はありません。
邦題は「刑事フォイル」ですが、物語は原題の通り、「フォイルの戦い」です。
フォイルは警官ですが、彼の真の戦いは犯罪捜査ではなく、時代の激流の中、自分をどこにとどめるのか。それがメインです。
時は大戦中。敗戦の噂が流れ、ナチスの影が忍び寄ってくる、イギリスの南東部のヘイスティングス。
空襲にあえぐロンドンから距離があることで、かえって戦争があらわにする人間の深い闇が見えてきます。
平和な時代には善良でいられた人も、戦禍によってその奥底の闇を引きずり出されてしまいます。
危機的状況に置かれると、たやすく人は流される。すりかえ、転嫁し、憎しみをぶつけ、自己正当化し、楽なほうへ、楽なほうへ――
激動の中だからこそ、見えてくる、人間の本性のコントラスト。
フォイルはじっと立ち止まり、耳を澄ませ、熟考します。
丹念に、つぶさに、目の前に置かれた出来事や人間を、じっと見つめます。
静かな視線の中に、ゆらがぬ熱い炎を、観客は感じます。
権力、圧力、利権、忖度、そうしたものから離れた場所に、フォイルは常に自分を置きます。
それは、正義からというよりも、一旦流されれば、どこまでも落ちていく人間の性を知っているからでしょう。
誰が見ていようと、見ていまいと、フォイルは自分に恥じぬよう、後の自分が今の自分を後悔しないように、静かに、淡々と、一歩一歩、歩いて行きます。
フォイルの選んだその道は、まっすぐに未来へと伸びる一筋の道に見えます。
やがて終戦を迎えた時、
「あの頃は戦争のせいで愚かな振る舞いをしてしまったのだ」
という後悔は、フォイルには無縁でしょう。
一話一話、見るごとに、人生の困難さを噛み締めながらも、フォイルの歩みをずっと見ていたい。そんな心地にさせてくれます。
何度でもいいます。
これ、傑作です👍
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