Sugar&Spice モノクロ画面に溢れる鮮やかな音楽
今回は、お気に入りのコミックスをご紹介します。
「ピアノの森」「のだめカンタービレ」をはじめとする、音楽がテーマの作品は大、大、大好物です。
「Sugar&Spice」も、登場するアーティスト達が織りなす音楽と、ヒロインの恋の物語です。
この作品、まず、何が凄いかといえば、「境地」という目に見えない、感覚的なものを、ずばり、描きだし、読者に見える形にした、というところなのです。
創作に没頭し、テーマを追い求め、ストイックに鍛錬している時、ふいに訪れる「境地」。
そんな「境地」について、詩人のゲーテ、作曲家のワーグナー、ジャズピアニストのキース・ジャレット氏、画家の東山魁夷氏、作家の岩井志麻子さん、上橋菜穂子さんらも述べていますが、コミックスで鮮明に表現したのはこの作品がはじめてかもしれません。
厚い雲に覆われていた空がみるみる晴れ渡るように、世界が、音が、クリアになり、その直後訪れる、閃光のような「境地」。
ひたすら、ひたむきに努力し、何度も転んでは立ち上がりながら歩んだ者だけが見ることのできる「光」。
ページの奥から、「光」が、そしてヒロイン、チナちゃんの魂を震わせる音が、読者に伝わってくる名場面です。
魅力的な登場人物たちからも、目が離せません。
ひとりひとり、キャラが立っていて、それぞれの声や靴音、整髪料や香水の香りまでリアルに漂ってきそうなほど、活き活きと描かれています。
生まれながらの天才は、ひとりも登場しません。
何度も挫折を繰り返しながら、それでも、それぞれが自分で定めたはるか遠くに見える到達点に向かって、一歩一歩、歩いています。
丹吾君とのやりとりの中で、「基礎鍛錬」の重要さも語られます。
基礎はもろちん大切なのですが、技術のみでは、あの「光」は訪れないのが、芸術の難しいところです。
いくつかチャンスのあった、アイドル的な企画なら、すぐにデビューできるレベルにチナちゃんは達しています。
けれども、チナちゃんが目指しているのは、もっと高みなのです。
高みを目指す者同士だからこそ、響き合うものがある。
だからこそ、レジェンドは「色々ヘタクソなんだよねえ」と言いつつも、チナちゃんにコンタクトをとってきたのでしょう。
(レジェンドと出会う場面も爆笑ものなのでぜひ、読んで欲しい(笑))
ひたすら高みへ、前へ、前へ、と進もうとするチナちゃんだからこそ、読者も惹き込まれていきます。
いつかチナちゃんのたどり着くだろう、高み、「光」を一緒に見てみたい、と、読者も願っているのです。
心に突き刺さるシリアスな場面も大好きなのですが、思わず吹き出してしまうギャグも楽しみのひとつです。
新刊が出るたびに一気読みし、それからもう一度読み直して、せりふを堪能しています。
まだ未読の方は、ぜひぜひ、手にとってシュガスパワールドをお楽しみください。
すでにハマっている方は、ご一緒に、これからも作品を楽しみ、作者様を応援しましょう~😀
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