天井の向こうの景色
4月も下旬に差し掛かり、新緑にピンクや黄色が色づいて、自然の美しさが華やかを増してきました。
東京にきて、驚いたことはたくさんあるけど、覚えているのは
”緑がいーーーぱいある”こと。
恥ずかしながら、修学旅行とテレビでしか観たことのなかった”東京”は、コンクリートジャングルっていうの?、要は緑なんて全くないイメージで、なんなら、夕方からのネオンが夜通しギラギラと…なイメージでした。
(・・・私のイメージが酷すぎる…笑)
“保つ”
東京の草花がキラキラと風に吹かれている姿を見ると、
この”保つ”って、意外と尊いなぁ〜って思います。
先日、仕事で少し考え事があって、机に向かっていても浮かばないので、近所のある場所へ行ってきました。
私の秘密の場所です。
嘘です。
誰でも通れるマンションの一角にあるベンチです。
そこは、屋根も付いていて、
六角形になっているそのベンチは、
雨の日も晴れの日も(ま、雨の日は濡れますが)、腰かけることができます。
夜だったので、人もいなくて、
ちょっと寝そべってみました。
そして、ベンチの天井を眺めていると、
昔いつも眺めていた”あの一実家の天井”を思い出しました。
幼い頃、うちはお小遣い制ではなく、
「何か欲しいものがあったら、都度相談制」を取っていました。
これって、母がどこまで考えていたかはわかりませんが、今思うと結構ミソで、会社で言う稟議と同じ。「決裁を取らないといけない」と言うハードルがあるので、何か欲しいものがあっても、一度必ず考えなければいけません。
「うちは貧乏だから」が口癖の母に、
なんて言ったら、スムーズに話が通るのか?
欲しい理由は?金額は?どんな風に使うのか?メリットは?
そもそも、これはそのハードルを越えるほど、欲しいのか?
これを話したら、母は何て言ってくるだろう?
天井を見ながら、いつも悶々と考えました。
ま、小学生レベルですからね、ぼんやりこんなことを考えて、話を通すための作戦会議を(一人で)していたわけです。
今でも覚えている2大チャレンジ!
1つ目は、自転車。
それは中学生の頃。
友達が持っているような可愛い自転車が欲しい!どうしても欲しい!
ただ、自転車なんてものは、そうそう買ってもらえる金額ではない。(中学生ちひろ調べ)
天井を見ながら、作戦会議が始まります。
悶々と数日間会議を行った結果、編み出した作戦は
”何かの達成祝い(引き換え)に買ってもらおう!しかも、それが自転車であるメリットがいるぞ!作戦”
・・・というわけで、私は当時少し背伸びをしても届くか届かないか分からないくらいのレベルの高校、しかも、自転車通学できるところ、をピックアップ!
意を決してその提案を持って母のところにいきました。
すると…
意外にスムーズに「いいよ」と。笑
今思うと、通学定期券を買うことを考えたら、自転車一台の方が割安だったと言うことらしいのですが、私はそこまでの計算はできていませんでした笑
そしてー!その目標を目指して、私の猛勉強は始まったのです。
結果、無事その高校に合格。黄色い素敵な自転車をゲットできました。
2つ目、コンタクト。
予てから”似合わない”と言われていた私のメガネ姿。
それでも先輩が「可愛い」って言うから、気にしていなかったものの、
和太鼓をするのにどうしても邪魔で、コンタクトを希望。
ただーーーー!これは意外に手強かった。
和太鼓の話をするも、「今までやってたんでしょ?」と。
さらに「似合わないって言われた」と話しても、「そう?」と交わされる始末。
若干諦め始めた頃...
驚くことがー!
ななななんとー!
父がコンタクトに賛成っぽい反応を示す…
ケチで有名な父。(昔から今でも。ちひろ調べ)
しかもすぐ怒るから当時は話しかけたくもなかった父。
そんな父の良い反応。
驚くー!
「でもなぜだ?なぜ父が…」
作戦会議には、その論点が急浮上します。
そして出た結論は・・・父は目が悪い。なんなら、母は目が良い。
そう!目の悪い父には、コンタクトにしたい私の気持ちは分かるけど、母には分かりづらいのだー!
さらにさらに!母が目が悪くなることは想像しづらい。
それであれば!父の意見(コメント)を引っ提げて交渉してはどうか?
・・・変でしょ?笑
ただ、本人はいたって本気。
その作戦通り、母には、父の推薦コメント、さらには、私の目の悪さのデータ、和太鼓部の部長になったので、これからもっともっと活動が活性する(私の中で)と言う熱い思い、を伝え…
交渉成立ーーーーーー!
無事、コンタクトをゲットしたのでした。
どうでもいいと思うでしょ?笑
一見、私の中高生の頃のおかしな話にしか聞こえませんが、
でもこれって結構大事で、特に仕事の中で”交渉”するっていうシチュエーションは往々にして起こります。
交渉に大事なことは、マニュアルではない。相手の立場に立って考えること。
単純ですが、それに尽きると思います。
あの頃知った、自転車で風を切って走る心地よさや、コンタクトから観える世界は、
なんとも誇らしくて、なんだか美しかったように思います。
きっと、自分の知恵と工夫の結晶だからでしょうね。
ぜひ皆様も、交渉する時の参考にしてみてください。
目を瞑ると、あの頃のザラザラの天井が、懐かしく思い出されます。
(ザラザラだったはず…家が古かったからか?今はもう、実家も当時の家とは
やばーーーーい!寒い!帰る!
本日は「寝転がっていたら、マンションの警備員みたいな人が巡回に来ました。私の方をチラッと見たので、私も負けじと警備員さんを直視すると、さっと目をそらして、どっかへいきました。強いでしょ?私。っていうか、ヤバい子だと思われたね、きっと。でもいいんです。今に始まった話ではない。また考えに煮詰まったら、来よう。なんだかSEKAI NO OWARIが聴こえてきそうでした。ここから見る天井の向こうの景色は、美しい。えへ。」ってお話でした。
学び:ベンチに寝っ転がると怪しまれる。
おしまいー
chihiro