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ハイコンテクスト
何年前だろう?
ここ1、2年ではなく、もう少し、”歴史”という言葉が似合うようになってきたくらい年数は経っていると思います。
あの日も、今日と同じくらい冷たい北風がコートを深くさせ、
ポッケに手を突っ込みたくなるくらい寒い日でした。
それでも、勉強会で火照った心と身体にはちょうどいい北風に少しだけあたり、
私は鯖屋さんに入りました。
それが、私の中に眠っていた”私の哲学”を芽吹かせる日になるとは、その時は知るよしもありませんでした。
===
♪ひとりでも私は 生きられるけど
でもだれかとならば 人生ははるかに違う
強気で強気で生きてる人ほど些細な寂しさで
つまずくものよ
呼んでも 呼んでも とどかぬ恋でも
むなしい恋なんて ある筈がないと言ってよ
待っても 待っても 戻らぬ恋でも
無駄な月日なんてないと言ってよ
歌:中島みゆき
作詞:中島みゆき
作 曲:中島みゆき
===
哲学書を大人買いしました。
届いて封を開けるとき、
もう嬉しくて嬉しくて。
まるで宝箱を見つけて開ける時のように私の目は輝いていたと思います。
もちろん、
私は”宝箱”というものを発見したことはありません。
宝探しをしたことはありますが。
でも、その”ワクワク”を何十年ぶりに味わえたこの感覚は、
私の人生において、とてもエステティックな経験になったと思います。
あ、”美的な”、とか、”刺激的な”とか、いう意味でエステティックを使っています。
話は戻して。
私の人生を、記憶がある分だけ遡ると、やはり私の原点は、
紛れもなく、
ダウンタウンと、ドラえもんに行き着きます。
何かを見て、「面白い!」って思ったり、
「懐かしい!」って思ったり、「好き♪」って思ったりすることには、
必ずと言っていいほど、ダウンタウンやドラえもん(特に映画)の
リズムや間や、テンポや、”音楽”が纏っているので、
私の基本コードはやはりここにあるんだなってつくづく思います。
ってことはですよ!
私の中にある哲学は、ダウンタウンや、ドラえもんで創り上げられているということ。
でもこの話、結構興奮する話なんですが、
100人話しても分かってくださるのはせいぜい2人か3人。
いや、言いすぎた。1人か2人。
ただ、そこを理解してもらえる人がいたとき、
もうそこには言葉なんてなくても、
共鳴できるような気がします。
===
♪めぐり来る季節をかぞえながら めぐり逢う
命をかぞえながら
畏れながら憎みながら いつか愛を知ってゆく
泣きながら 生まれる子供のように
もいちど生きるため 泣いて来たのね
※Remember 生まれた時だれでも言われた筈
耳をすまして思い出して最初に聞いた Welcome※
Remember 生まれたこと
Remember 出逢ったこと
Remember 一緒に生きてたこと
そして覚えていること
歌:中島みゆき
作詞:中島みゆき
作 曲:中島みゆき
===
「日本語は、”ハイコンテクスト”だから。」
エスカレーターを登る際、私より一段上に乗った知り合いの方に、
日本語の美しさについて話そうとしたら、
そっと振り向いて、そうおっしゃいました。
私は慌てて、「ハイ?ハイセンス?」と聞き取れなかった後半をうやむやに言ってみると、
それを否定するでもなく、
「ハイ、コンテクスト。コンテクストね。」
2回言われても、カタカナが弱い私はイマイチなんて言っているかわからなかったけど、
言いたいニュアンスは分かったし、
なんとなく私の柔らかな感度計に触れたのが分かりました。
”ハイコンテクスト”
日本には「空気を読む」や、「行間を読む」「余白の美しさ」みたいな文化がありますが、
こういう
「言われなくても感じて行動する」という文化こそ、
「ハイコンテクスト文化」
日本の文化と親和性の高いやつ。
言葉が芸術になり得るのも、そもそも芸術として言葉遊びするのも、
日本独特の文化なのだとか。
なんだか、日本に生まれたことを誇らしく感いました。
そして同時に、
私にとって、日本の芸術であったり、日本の文化であったり、日本語というハイコンテクストの遊び(生業)という高尚なものに触れる瞬間(トキ)、
私の心は、無性に揺さぶられ、動かされていることを隠さずにはいられなかった気がします。
===
♪ふりかえるひまもなく時は流れて
帰りたい場所がまたひとつずつ消えてゆく
すがりたいだれかを失うたびに
だれかを守りたい私になるの
わかれゆく季節をかぞえながら
わかれゆく命をかぞえながら
祈りながら嘆きながら とうに愛を知っている
忘れない言葉はだれでもひとつ
たとえサヨナラでも 愛してる意味
歌:中島みゆき
作詞:中島みゆき
作 曲:中島みゆき
===
音や色、香りは、
その人をまるでタイムマシーンに乗せたみたいに、
昔へ行ったり、未来へ行ったりと、
時空を超えて誘います。
そして、素晴らしいセンスを纏い奏でる人の音は、
耳ではなく、細胞レベルで共鳴し、心が震えます。
そこにはもはや、言葉やコミュニケーションは必要ありません。
私も、そんな”人”の心を美しくする、
そんな音が奏でられたらいいなと思います。
ダウンタウンやドラえもんが私にそうしてくれたように。
===
♪Remember けれどもしも思い出せないなら
わたしいつでもあなたに言う 生まれてくれて
Welcome
歌:中島みゆき
作詞:中島みゆき
作 曲:中島みゆき
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鯖屋の入り口を入って縦長の通路を、すでに少し前から宴会が始まっているおじさんたちを左右にかき分けて進んでいくと、その一番奥は少しだけ広がりを見せました。そして、知り合いが居そうだった左手に目をやると…初めて見る何か眩しいものが。
一瞬、時間が止まったかのように感じました。いや、きっと止まったんでしょうね。
時空がねじれたのか。
ウルトラタイムウォッチで時間が止められたのか。
今となればどちらでも構いません。
それが私の歴史書に載ることは間違いないと思うから。
運命というか、
奇跡というか。
いや、
偶然の春、との出逢いに、
心から感謝です。
本日は、「身体に残る火照りを覚ますように、ごろごろしていたら、全然文章が前に進まなくて、気づいたら目を瞑っていました。これを人は、寝落ちというのだと思います。いやいや、早く書きなさい。明日も哲学と歴史の世界へ連れて行ってもらいます。」ってお話でした。
学び:毎日がスペシャルすぎる
おしまい
chihiro