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夜21:00

ラストのお客様が終わり、腰を下ろしてしまう前にお店を飛び出た私は、昼間の暖かさとは裏腹に、マフラーを持ってこなかったことを後悔する春の夜をコートの襟を立てて製品発注の振り込みをするために先を急いでいました。

すると・・・

どこからか沈丁花の香りが。

思わず足を止めて見渡すと、
ピンクと白、黄色と白の沈丁花が、昼間の春の日差しを浴びたのか綺麗に咲いていました。

===

♪淡き光立つ 俄雨
いとし面影の沈丁花
溢るる涙の蕾から
ひとつ ひとつ香り始める

それは それは 空を越えて
やがて やがて 迎えに来る

春よ 遠き春よ 瞼閉じればそこに
愛をくれし君の なつかしき声がする

引用元:春よ、来い
作詞作曲:松任谷由実

===

遡ること数時間前。

郵便物を除こうと外へ出ると、見慣れない紙袋が。

でもこの時点で私は、なんとなく検討が付きました。

そしてそっと紙袋を覗き込むと…

「やっぱりそうだぁーーー」

大きな水晶文旦。

いや、水晶文旦が入っているとは思いませんでしたが、
大体こういう潤しいことをされる方は決まっているんです。

そう、私の尊敬してやまない素敵なお客様。

もぉーーーーーーーーーー

本当に…


===

♪君に預けし 我が心は
今でも返事を待っています
どれほど月日が流れても
ずっと ずっと待っています

それは それは 明日を越えて
いつか いつか きっと届く

春よ まだ見ぬ春 迷い立ち止まるとき
夢をくれし君の 眼差しが肩を抱く

夢よ 浅き夢よ 私はここにいます
君を想いながら ひとり歩いています
流るる雨のごとく 流るる花のごとく

引用元:春よ、来い
作詞作曲:松任谷由実

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社会人3年目の頃。
私の価値観を変えるとても素敵なエピソードがありました。

当時の会社の出張は、一泊で12000円の手当が出ました。
多分これは通常の会社より結構いい。

新入社員の頃は、先輩や部長が「出張のイロハ」を教えてくださって、

東京なら東京本社(新宿のビル)の近く、
大阪なら、大阪支社の近くのビジネスホテルを教えてくれました。

まだまだ素直で、世間を知らないフレッシュちひろは、
「はーい」なんて二つ返事で、出張の際はそれらのホテルを予約。

夜な夜な移動しては、ホテルに素泊まりして、翌日仕事の現場(例えば説明会会場)へ出社をしていました。

そんな出張生活を繰り返していたある日、

広報から異動できてくださったNさんと出張をご一緒することに。

Nさん。仕事もバリバリできるし、何より、スーツもバックも、どう考えても”いいもの”を知ってるキャリアウーマン。

いや、もはや仕事しすぎでしょって思ってましたが。

そんなNさんとの出張。私は他の上司の方にもしている通りに、
「ホテル、私がお取りしましょうか?」と伺いました。

他のおじさんたち、あ、いけない。
他の上司のおじさんたちの分は、私が全部手配してあげていたので、
お一人分増えるくらいはお手のもの…と思っていました。

ただ、Nさんから意外な言葉が。

「私ね、東京に行くときはココって決めているところがあるの。」

え?新宿ではないんだろうか?

食い気味で質問してみました。

「どちらにお泊まりになるんですか?」

「実はね、ココで… 」

見せていただいたホテルのHPにただただ驚く。
だって、めっちゃいいホテルだし。

そしてNさんはキリッとして続けました。

「私ね、手当に自分で少しプラスしていいホテルに泊まりたいんだよね。だって、自分で全部払うと高いホテルも、少し自分で足したら泊まれるって素敵じゃない?」

にっこり屈託なく笑うNさんの笑顔はなんだか眩しくて…

いやぁーーーーーーーーー

私の頭には全くない発想だったのと、
その価値観のかっこよさに私の胸は騒ぎましたよね。

これは価値観なので、正しさなんてないと思います。

でも、同じだけの”お金”を手にしたとき、
いや、勉強や、時間、チャンスすらも…

同じモノを手にしたとき、

それをどう使うか、
どう活かすか、
どう料理するか、

反対に、

どう殺してしまうか
どうスルーしてしまうか
どう…とでもなくしてしまうか

その積み重ねで人生が変わるんだなって思いました。

そして何より、

”一流のものを知る”ということは、

一流のものに触れる量と数なのだ、とその時に教わった気がします。

そこから私は、少しずつ”一流のもの”に背伸びしたり、工夫しながら触れるようにしました。

するとどうでしょう。

”一流のもの”

というのは、金額はもちろんしますが、どこか心が満たされます。

感性に響いてきたり、豊かな気づきをくれたり、何よりおもてなしのあったかい心を感じます。

ただ、そんな経験を経て、いつも思うこと。

それは、もちろん一流のサービスを受けるには、イイ金額がします。

ただ、その本物の一流の真髄は、決して金額ではなく、そこに宿るサービス=価値を提供する人のおもてなし心だと知りました。

===

♪春よ 遠き春よ 瞼閉じればそこに
愛をくれし君の なつかしき声がする

春よ まだ見ぬ春 迷い立ち止まるとき
夢をくれし君の 眼差しが肩を抱く

春よ 遠き春よ 瞼閉じればそこに
愛をくれし君の なつかしき声がする

引用元:春よ、来い
作詞作曲:松任谷由実

===

お客様からいただいた水晶文旦というおもてなしの心は、
きっと、私を甘酸っぱくて幸せな気持ちにさせてくれるでしょう。

本当にありがたいですね。

私ほど幸せなエステティシャンはいないと思います。

素敵なお客様とのご縁に、心から感謝です。

春よ まだ見ぬ春…

今年はどんな春が来るんだろうか。

楽しみです。

本日は、「一流に触れ、一流の分かる人になりたい。一流のかっこいい大人になりたい。心からそう思います。」ってお話でした。

学び:春よ、来いを早くも使ってしまった…

おしまいー

chihiro




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