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本買って旅行して死のうと思った話

豊饒の海を買おうと思った。

私は自他共認める所謂ミシマ信者で、彼の著作を読むのは勿論、出演映画を見たり、自作を朗読するのを聞いたり、インタビュー映像を見たりしては「はぁ~~~~~~~~(感嘆)」と恍惚の表情を浮かべるタイプのアイタタな感じの人なのだが、そんな私でも彼の作品の中で避けてきた小説がある。
天人五衰だ。

え~~~~~基礎中の基礎!!!と思うでしょ?私もそう思うの。けど読んでない。読みたくなくて。読むには悲しすぎるのです。
だから、私は、これ自分の死期が近付いたら読もうと決めていたのだけど。
それを今日、買おうと思ったのだ。しかも最後の豊饒の海だけ。
回りくどい言い方を止めよう。死のうと思った。死ぬための計画を立てて、シュミレーションをし、相当苦しんで死ぬことになるのでその前に国内で行きたいところに行き、めっちゃくちゃ最期に楽しんでから、それから死のうと決意した。なので私の仕事の簡単な引継ぎメモも会社にこっそり置いてきた。
定時で退社し、帰って準備しなくてはと思っていたのだが不意に、天人五衰のことを思い出した。そういや死ぬ前に読もうって決めてたんだ!全部読んでる時間ないな、最後の巻だけども旅の途中で読もうと、慌てて近くの本屋に寄った。

本屋には当たり前の如く、新潮文庫の派手なオレンジ色した背表紙を中心に彼の著作がずら~~~っと並んでた。当たり前や~~~はぁ~~~~壮観やな!(大満足)となりながら、豊饒の海だけ取ってさっさとレジに並ぼうとしたんだ。したんどけどさ!
自分が知らない背表紙が1冊あったのよ。
新潮文庫じゃなくて中公文庫の「戦後日記」
また新しく文庫になってる。読みたい!と堪らずに手に取ったの。取ってハッとした。
「これから死ぬのに、本2冊も買うか?」
彼の著作は大好きでよく読む。よく読むけど、実は私、長編小説を読むのが苦手です。金閣寺も大好きだけど、読了するのにものすご~~~く時間かかった。短編がすきです。
そんな私が旅の間とは言え2冊も本読むか?読めるか?いや私死ぬんやで……これ、読まんで、多分今週末には死ぬ。
死ぬのか。

なんと言うか。なんで死にたいか言うと、私はもう『いい歳した大人』になってしまった。なってしまったのに、全然中身は成長してないし、何にもない。本当に空っぽ。仕事も教習所もうまくいかない(路上怖すぎ、この前担当外の教官にボロくそ言われてトラウマになってる)今こんなに何も無い、未来も、このままずーっとこんな感じの実家暮らし、親や親戚の葬式や墓の世話をするためだけに生かされている。親はもう、微塵も私もかわいいなんて思っていない(当たり前なんだけど)
これ、生きる価値、あるか?
それで死のうと思った。だって、これがまだまだ今まで生きてきた分だけ続くの?無理だよ。
無理。最近もう、自分で判断が出来なくなってきてるんだよ、誰か決めてよ。もういやだよ。昔みたいに何かに熱中することも難しくなってきた。男も女も、人間が嫌いだから恋人とかいらないし、なんなんだこれ?死んでも良くないか?それなら死のう。無駄なこと嫌いだ。

もう2ヶ月くらいこんな調子で、少し回復することはあったけど、やっぱりダメだった。教習が怖くてポロッと泣いてしまってから(こういうところも大嫌い)泣き癖がついて、最近毎日泣いてる。それもあって、もう無理だと思った。

んで死のうとさ、死のうと思ったのに。
先生の本1冊でびっくりする程真っ白になってしまった。
全部計画してたのに、全部飛んじゃった。
それで1時間半くらい、興味あるジャンルの本を読んで回ったりして、なんとなく帰ってきてしまった。他の本を読みながら私、アメリカ行きたいんだったとか、来年の4月からは放送大学で英語とアメリカ文化についた学ぼうと思っていたことを思い出したりした。
生きてやりたいことはたくさんあるけど、生きていくのが怖すぎる。生きることを全うしていくには、対価が弱すぎる。生きるだけで幸せだろ!と言う人の意見はごもっともであるが、私はただ生きている=幸せにはならないのだ。

けど生きることを選んでしまった。また選択肢が頭の中に現れて、今度こそ逆側を選ぶかもしれない。今日は、次の選択肢まではとりあえず生きることにした。それまでにこういう心の問題が片付けばいい。漫然と生きていくのだけは本当に、本当にゴメンなのだ。それなら私が行動をするしかないというのも分かってる。
まぁ今抱えている問題のほぼ全て自分が悪いというのは自覚しているので、少しでも改善できたらと思う。
夜になったら、やっぱり死のうってなって、案外明日の今頃は家にいない、なーんてこともあるかもしれないね。
自分が今情緒不安定でこんなこと言ってるのか、冷静にこんなこと言ってるのか判断がつかない。私自身は冷静なつもりだけど、他人がこんなこと言ってたら引くよな。

ちなみに、今回の作戦を実行するなら呉行って横須賀行って、それからどっかで死のうと思ってました。
横須賀絶対行きたいマン。