一極支配から多極化世界へ
【アメリカのプロパガンダ】
3年前に奇妙なパンデミックが始まってから、私たちは政府とメディアが一緒になってどれだけ嘘をつくのかを、さんざん見てきた。現場の様子としてテレビや新聞に出されている画像が、どれだけ捏造されたものなのかも見てきた。
ケガ人や病人としてエキストラやダミーを使って撮影したものもあったし、ぜんぜん別の事件の画像を使っていたものもあった。そうした画像は、背景がおかしかったり、人の服装が季節に合っていなかったり、重病人なのにきれいにお化粧して髪も整っていたり、何かしらおかしなところがあった。テレビがそろって偽の報道をするはずがないと思っていたら、そんな画像でも人は疑わないで真に受けてしまうのだけれど、メディアがいくらでも嘘をつくことがわかってしまうと、よくこんな安っぽい演技で人を騙すものだと呆れてしまうくらいだ。
一年前にウクライナの内戦にロシアが軍事介入を始めてからは、今度はウクライナ軍とロシア軍を逆にして報道し始めた。ウクライナ軍が市街地を爆撃したり、市民を虐殺していたのを、ロシア軍がやったといって報道していたのだ。有名なブチャの虐殺事件も、ロシア軍が撤退したあとに起こったものだった。ウクライナ軍がやってきて、ロシアに協力した住人を反逆者として粛清していたのだ。そればかりか、どこからか遺体を運んできて、市街に並べていたことも、国外から支援に来ていた人の告発で判明した。そんなことをしたのも、ロシアが国際的な非難を浴びるようなニュースを必要としていたからだった。それによって、ウクライナは停戦交渉を拒否して、戦争を継続する口実ができたのだ。ブチャの事件については、その後、調査でロシア軍とは関わりがないことが判明したのだけれど、するともうメディアはそれについてはまったく何も言わなくなった。それで多くの人は、今でもブチャの虐殺をロシア軍がやったものと信じていたりする。
そうしたことを見てきたおかげで、私たちはようやく、西側のメディアと政府が作り出す共同幻想を外から見ることができるようになった。そして、虚偽の報道と虚偽の画像、それに偽旗のテロとで、どれだけ世界が支配されてきたかということを、少しずつ知っていくことになったのだ。
ロシアのガスをヨーロッパと供給するパイプライン、ノルド・ストリームが昨年9月に爆破された事件について、西側メディアはロシア軍がやったものだとして非難していたけれど、この頃、シーモア・ハーシュが、アメリカ政府の指示でアメリカ軍とノルウェー軍が共同で行なったことだという調査結果を出して、それが世界中で話題になっていた。ヨーロッパ経済の命綱とも言えるエネルギー供給システムを破壊したのだから、これは国際的なテロ行為だ。それをアメリカ政府がNATO諸国に対してやったというわけなのだから、一体何のための軍事協定なのかという話になる。
それで、ロシアはそれについてアメリカに調査を要請していたけれど、アメリカはハーシュの調査結果などバカバカしいといって拒否していた。ところが、昨日3月7日になって、とつぜんニューヨーク・タイムズが、ウクライナのグループがやったという情報を得たといって報道したのだ。それは、匿名の秘密情報によるものだとしていて、固有名詞が一つも出てこないような報告で、シーモア・ハーシュの綿密な調査と比べて、まるきり安っぽいものだった。すると、同じ日にドイツのメディアも、別な筋の情報からノルド・ストリームの爆破はウクライナのグループがやったことが判明したと報道していたのだ。それによると、犯行に使った小型ヨットをレンタルしていたことから、ウクライナのグループだとわかったというような話だった。
シーモア・ハーシュは、あの深さにあるパイプラインまで潜って爆弾をしかけてくるには、大きな軍隊でもなければないような装備が必要だと言っていたから、小型ヨットと聞いただけでもう、まったくの捏造なのがわかってしまうくらいだ。ドイツ人ジャーナリストのトーマス・レーパーは、あまりのことに大笑いしていたし、インタビューを受けたシーモア・ハーシュは、「何だって!? あんたバカじゃないのか!?」と絶句していた。多くの人は、反射的に911の時に、ガラスの小瓶に入った液体を見せて、これが犯行に使った爆薬だと言った政治家のことや、ガレキの中で発見されたという犯人のパスポートのことを連想した。それでもう翌日には「きっと海底からパスポートが発見されるんじゃないの?」というジョークがSNSで拡散されていた。
911から20年以上が経って、私たちはようやくアメリカが世界を支配するのにどんなテロ行為を行なってきたかが、透けて見えるようにわかるようになったのだ。自分で爆破しておいて、他の国の軍隊だとか過激派グループだとかのせいにして、それを口実に平和と民主主義を守るためとして、NATO軍に攻撃させていた。アメリカが関わった戦争のほとんどは、実はそうしたものだったということが、ウクライナの戦争が始まってから、徐々にわかっていった。
ところで、昨日3月7日には、まだ他にもあった。グルジアの首都で、過激化したデモ隊が国会に侵入しようとして、警察と乱闘騒ぎになったというのだ。デモ隊は火炎瓶を大量に用意してきていて、路上のあちこちに火が燃えていた。警察隊が催涙ガスを放ち始めると、ガスマスクまで用意してあって、それをつけてバリケードを越えて国会に侵入しようとしていた。一体何に反対して、そんなことになったのかと言ったら、外国のNGOを規制する法律が議会で提案されたところだというのだ。これは、外国の組織が政治に介入するのを防ぐための法律で、こういう法律はアメリカにもある。外国から資金を受けているNGOは、外国のエージェントとして登録しなければならず、お金の流れをすべて明確にしなければならないことになっている。どうしてそんな法律を、グルジアの人々が火炎瓶まで投げて阻止しなければならないのかわからない。グルジアの政府を腐敗させようとして、入り込んでいる外国のNGOならば、こんな法律が可決されたら困るだろうけれど、グルジアの国民が反対する理由などないように思える。
その話を聞いて、多くの人は2014年のマイダン革命を連想した。あれと同じだ。平和的なはずのデモにテロリストが入り込んでいて、銃撃があり、火炎瓶が飛び交った。デモ隊は国会を占領して、クーデターになり、親ロシア派だった大統領は追い出され、親米派のポロシェンコが大統領になった。ところであのクーデターは、アメリカの国務次官のヴィクトリア・ヌーランドが国庫から資金を出して、組織していたことが、わかっている。彼女は「ウクライナの民主主義のために」という名目で、巨額の資金を国庫から出していた。それがつまり、アメリカの言う通りになる政権に入れ換えるための計画に使われたということだったのだ。
マイダン革命のことを知っていると、グルジアのデモの過激化のニュースを見ても、もう最初から何が起こっているのか透けて見えるようだ。そう思ってみたら、テロで政治に介入することなど、実に簡単だ。デモを組織しておいて、テロリストを送り込めばいいのだ。銃でも火炎瓶でも持たせて、騒ぎを起こさせればいい。それで、政府が民主的なデモを弾圧したといって、西側メディアに報道させればいい。そして、制裁を加えさせるなり、NATOを送り込むなりということになる。これまであちこちで起こってきた革命やら解放運動やらといったものは、実はそうやってアメリカが裏で操ってやらせていたのだ。それを西側メディアは、「民主化運動」と呼んでいたが、つまりはアメリカの言う通りになる政権に入れ換えるためのテロだった。そうした国家に対するテロ行為というべきものを、主流メディアを完全に抑え込むことで、「自由を求める平和的な人々が独裁政権に弾圧されている」というような話にして、世界中で報道させていたのだ。
外国のNGOを規制する法律は、ロシアと中国にもあるけれど、アメリカは独裁主義的だといって、激しく抗議している。アメリカは、NGOを使って他の国の政府を腐敗させ、操っているので、これを規制させると困るのだ。外国のNGOを規制する法律こそは、国の主権を守るためのものだと言える。だから、アメリカはこういう法律ができないように、ありとある手を使って妨害しているものらしい。
ところで、グルジアのデモのニュースがあったあとで、偶然なのか何なのか、アメリカのTVジャーナリストのタッカー・カールソンが、2021年1月6日の議事堂侵入事件の真相を伝える動画を公開していた。大統領選で、どう見ても人気があったように思えなかったジョー・バイデンが当選し、選挙に不正があったらしい証拠がいろいろと出てきていた。それで、選挙結果を有効と認めるかどうかの審議が行われていたときに、デモ隊が議事堂に侵入して、暴動になったという話だったのだ。当時の画像を見ても、デモ隊が押し入ったようには見えず、警備員がゲートを開いて誘い入れていたように見えた。タッカー・カールソンは、議事堂内部の監視カメラの映像を見せていたのだけれど、そこでは過激派扱いされていた例のバイソンの角をつけた男が、警備員にドアを開けてもらって、議事堂内を案内してもらっているといった風に、大人しく歩いているだけだった。だけど、そこにテロリストが送り込まれていて、死傷者が出る騒ぎになり、このバイソン男は実刑を受けることになり、トランプは暴動を引き起こしたとして、弾劾裁判にかけられることになったのだ。
アメリカの中でも、グローバル金融エリートたちが政府を思い通りに操っていて、彼らの言うなりにならない政治家が政権を取ると、テロリストを送り込まれたり、あることないことメディアででっち上げられたりして、言うなりになる人物と入れ換えられることになる。テロリストとメディアを使って、いつも同じ物語を演出するのだ。騒ぎを起こして、民主主義が蹂躙されているという物語を作り、弾劾やら制裁やら、あるいは戦争するなりだ。
ウクライナの戦争で、ロシアが西側諸国の非難を浴びることになり、おかげでロシアについて西側メディアが言っていることが、実はほとんどすべて嘘だったということがわかった。これまでも、ロシアは恐ろしい国だという印象が作られて、独裁国家だとか言われていたけれど、それもすべてメディアが作り出している嘘にすぎなかったのだ。ロシアを脅威だと思わせて、ロシアから国を守るために、NATOに加盟することが必要だと思わせていた。そうやってアメリカは、世界中の国を思い通りに動かそうとしていた。
今、西側諸国がウクライナに武器援助するのを、中国が正式に非難して、西側メディアの矛先が中国に向かっているようなのだけれど、すると今度は、中国について西側メディアが報道していたことが、実はすべて嘘だったということが見えてきたりするのかもしれない。これまでは、たとえ中国政府が西側メディアの非難は当たっていないと言っていても、それは中国には言論の自由がないからなのだろうと思っていた。だけど、ロシアの例を見ていたら、ある国を独裁国家だということにするのは、アメリカが使う常套手段なのだということがよくわかる。
トーマス・レーパーが、中国のウイグル弾圧の真相について書いていたのだけれど、それを見ると、この話の元は、ワシントンの共産主義受難者記念基金という政府機関が、ある筋からの情報として公表していたものにすぎなかった。どうもノルド・ストリームの爆破をウクライナがやったという話と似ているのだ。実際に現地に行って調べてきたという話ではなかった。ある秘密の情報を受け取ったというだけだったのだ。それで在中国のロシア人ジャーナリストが現地に行ってみたら、そこは強制収容所などではなくて、普通の学校や病院だったと言っていたそうだ。
それで当時の報道を見てみたら、たしかに画像が何だか偽物っぽい。強制収容所の画像として出ているものは、普通の学校のようにも見えるし、監禁されているウイグル人の画像というのも、どこかの病院かホテルの個室にでもいるように見えた。
世界で起こっていることの真相が見えてくるたびに、まるでヤクザが使うような手で世界中が支配されているということに驚くけれど、その一方では、これまで恐ろしいと思ってきた国が、実はそうではなかったことがわかってくる。一極支配から多極化世界への移行とは、そのように世界の見え方が変わってくることでもあるのだ。これまでアメリカの基準ですべての国が色付けされ、恐れさせられていたのが、ありのままの生き生きした姿で見えてくるのだと思う。
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2023年3月9日
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【マネシツグミ作戦】
ロシアからヨーロッパへガスを供給していたバイプライン、ノルド・ストリームが昨年9月に爆破されたことで、西側メディアはロシアがやったのだと言っていたのだけれど、数日前にとつぜん、実はウクライナのグループがやったことがわかったと、アメリカとドイツのメディアが同時に言い出した。ロシアはヨーロッパにガスを売りたくて、パイプラインを投資してこしらえたのに、自分で爆破するわけがない。ロシアは、西側の経済制裁に応えて、ガスをルーブルで支払うことを要求していたので、もしこれが受け入れられたら、米ドル優位の構造が崩れる。結局、ノルド・ストリームが使えなくなることで、一番得をするのはアメリカなのだ。それに、その海域をNATOが監視していたことからしても、アメリカの関連なしに、そんな破壊工作が実現するとは考えにくい。
しかし、ロシアがノルド・ストリームを爆破したという説も、西側メディアで言い続けた結果、多くの人々はロシアの仕業だと信じ込んでしまった。どうにも筋が通らないようなことでも、どのメディアでも同じことを言っているとなると、人は信じてしまうのだ。
こうした例を、私たちは3年前に奇妙なパンデミックが始まってから、目の前でさんざん見てきた。どう考えても、普通の風邪と変わりないと思える病気なのに、危険だ危険だとメディアが言い続けていたら、ほとんどの人が恐ろしい病気なのだと思い込んでしまった。そして、どう考えても危ないように思える薬を、安全だ安全だと言われ続けていたら、本当にほとんどの人が、安全だと信じ込んでしまったのだ。
メディアがグローバリストのお金で操作されているということはよく言われていたけれど、メディアを操作してプロパガンダを信じ込ませるやり方は、何とアメリカの中央情報局(CIA)が、軍事戦略として世界中で行なっていたということがわかってきた。これをオペレーション・モッキングバードというのだけれど、モッキングバードというのは、マネシツグミという鳥の名前で、この鳥は他の鳥の鳴き声を真似することができる。だから「真似し鶫」だ。鳥の声でなくても、チャイムの音や車の音、何でも真似してしまうのだそうだ。
メディアで何度も繰り返し同じことを言っていると、筋が通らないことでも、多くの人はそうなんだと思って、同じことを言い始める。鳥が真似するのと同じなのだ。意味がわからなくても、とにかく真似をする。それと同じことが、メディアで何度も同じことを繰り返していると、人間でも起こってしまうらしい。それで、人をマネシツグミにしてしまう作戦というわけで、オペレーション・モッキングバードというのらしい。つまり、マネシツグミ作戦だ。
それで、西側の多くの人たちが、いかに筋が通らなくても、ノルド・ストリームはロシアが爆破したのに決まっている、と言っていたときに、すっぱ抜き報道で有名なアメリカのジャーナリスト、シーモア・ハーシュが、アメリカ政府が指示してやらせたものだという調査結果を発表したのだ。これは、詳細に根拠が示してある報告で、いろいろなことから考え合わせても、とても納得がいくものだ。西側メディアはこの情報をほとんど報道していなかったのだけれど、それ以外の国々では大騒ぎになり、ロシアはアメリカに調査を要求した。そうやってアメリカの立場が危うくなっているときに、実はウクライナのグループの犯行だったという話が、とつぜんに出てきたのだ。
それも、アメリカのあるメディアが匿名の内部告発者の情報を得たとかいうもので、シーモア・ハーシュの詳細な調査を見たあとでは、まるきりの作り話にしか思えない。すると同じ日に、ドイツのメディアが、犯行に使ったと見られるレンタルヨットから、ウクライナのパスポートと爆弾の粉末が発見されたと報道したのだ。ちょうどその数日前に、ドイツ首相ショルツは、急にワシントンに飛んで、バイデンと2時間密談を交わしてきたところだった。何を話してきたのかは、公開されていないのだけれど、このマネシツグミ作戦というものの存在を知っていると、おそらくはその打ち合わせというか、口裏合わせの相談だったのだろうというのが、透けるように見えてきてしまう。
それでドイツ語圏のSNSでは、「ヨットでノルド・ストリームを爆破しに行くウクライナ人」についてのギャグでここのところいっぱいになっている。NATOもロシア軍も厳しく監視している海域で、レンタルしたヨットなんかがどうして発見されないで行って帰ってこられたのかわからないし、そんな船に6人のグループが乗って、深海潜水用の装備も持ち、しかも最低半トンは要るという爆弾を乗せていけたというのも、考えにくい話だ。その上、極秘の犯行に携わる人物が、パスポートを持っていて、それを船に置き忘れてきたというのだ。
そんなバカな話を誰が信じるのかと思うけれど、これは911でも同じだった。鉄骨が溶けるほどの崩れ方をした現場で、犯人のパスポートが無傷で見つかったといって、それが犯人のものだということで通ってしまったのだ。どんなに筋の通らないような話でも、いろんなメディアが同じことを言っていて、それを何度も繰り返していると、ほとんどの人はマネシツグミ状態になってしまう。つまり、意味はわからなくても、同じことを繰り返すようになってしまう。
ドイツのニュース番組では、ノルド・ストリーム爆破はウクライナがやったということについて、専門家たちが意見を述べ始めていたけれど、ウクライナのグループがやったということを大前提として語っている。ヨットでどうやって半トン以上もの爆弾を運べたのかと突っ込まれて、「爆弾はもっと前にすでにしかけてあったのかもしれない」と言ったりしていた。結論が決まっていたら、人間はありとある可能性を考えつくことができるものなのだ。そうやって、しまいには何とかかんとか筋の通るような説明を見つけてしまったりもするのかもしれない。そんな話を延々と聞かされているうちに、ウクライナのグループがやった犯行だという奇妙な説も、信憑性があるように思えてくるのかもしれない。
アメリカの軍事情報局が、メディア操作によるマネシツグミ作戦を展開するのは、人々にある国を恐れさせたり、攻撃的にさせたりするためだ。それによって、戦争を正当化したり、戦争に駆り立てたり、あるいは反乱を起こさせて、政府を乗っ取ったりすることができる。ウクライナの戦争は、そうやって2014年のマイダン革命から、メディア操作で作られていった。人々にロシアが独裁的で残虐な国だと思い込ませて、ウクライナへの軍事援助を正当化していったのだ。
ところで、中国もまたロシアと同じように、マネシツグミ作戦で悪者にさせられている国らしい。ウイグル弾圧というのが、実はワシントンの政府機関である共産主義受難者記念基金という組織が言い出した話で、それもやはり秘密の情報をキャッチしたというようなことから始まっていた。他に何か根拠があったわけではなく、ただそれだけなのだ。これも、ノルド・ストリーム爆破ウクライナ説と似たような話だ。だけど、これがいくつものメディアで同じことが繰り返され、あれこれの尾ひれがついていき、ウイグル人が本当に強制収容所に入れられて拷問を受けているのだと、多くの人は信じ込んでしまった。アメリカがこのプロパガンダを世界中にばら撒いたのは、もちろん中国に対する経済制裁を認めさせたり、対中国の軍事力を強めさせたりするためだ。
問題になっていたウイグルの強制収容所というのは、現地に行ってみたら、普通の学校や病院が並んでいる場所だったと、在中ロシア人ジャーナリストが言っていたそうだ。ネットであれこれ画像を調べてみたのだけれど、どれも普通の学校の風景や街の人々の情景を撮ったものとしか思えなかった。ウイグルの文化を弾圧して抹消しようとしているという非難が浴びせられていたのだけれど、ウイグルは中国の重要な観光地で、ウイグルの文化は大事にされているということを言っていた人もいた。ウイグルについては観光案内の記事もあったけれど、それを見ても、文化が抹消されようとしているようには見えなかった。
ところで、「弾圧されている少数民族」というのは、マネシツグミ作戦や共産主義受難者記念基金とかのアメリカの機関が好んで使うプロパガンダらしいのだ。そういう話を作り上げることで、ある国に対する嫌悪感や恐怖感を決定的に掻き立てることができる。不買運動や経済制裁に駆り立てたり、軍備増強を認めさせることもできる。そこでは、あろうことか、アムネスティインターナショナルやヒューマン・ライツ・ウォッチみたいな、人権侵害を調査するNGOもグルになっているのだそうだ。
1989年の天安門事件も、デモ隊と軍隊の衝突は確かにあったのだけれど、何千人も犠牲になったという話は、実はアメリカやイギリスのメディアが言い出したことだったらしい。この数字はどこにも根拠のないものだった。当時その場に居合わせたというアメリカのジャーナリストは、逮捕されて連行されたのだけれど、すでにデモが解散させられていた天安門広場を通ったとき、死者も負傷者も一人も見当たらなかったと言っていた。倒れている人もいなければ、救急車もいなかったのだそうだ。
天安門事件は、当時、冷戦が終わろうとしていた頃で、中国の人々が自由化を求めているのだという印象を与えたのだけれど、デモの規模は、中国の人口から比較したら、ごく小さなものでしかなかった。それもあるいはアメリカかイギリスの仕掛け人がいたのかもしれない。あの事件では、やらせ画像などもかなり作られて、メディアで流されていたようだ。路上に倒れて血を流している人々の画像などが出ていたけれど、ああいう画像はエキストラを使って作っていることが多いのも、この頃ではわかっている。そうと知って見てみると、血のつき方も不自然だし、倒れ方や表情も不自然で、いかにもやらせでやっているというのが見えてしまう。
一年前から、ウクライナから本当の犠牲者の画像が入ってくるのでわかるのだけれど、本当の負傷者はあんなわざとらしい苦しみの表情を浮かべたりはしないし、服ににじんだ血はあんな鮮明な赤い色をしているものではない。ウクライナでは、人を拷問にかける様子を、自分たちで撮影したものがSNSでアップされていたけれど、やっている人たちは、自分たちがやっていることが英雄行為だと思っているから、自慢するために撮影していたのだ。そうでもなかったら、カメラを向けているようなところで残虐行為を行なったりする人間はいない。だから、いかにも犠牲になっていますといった感じの画像など、やらせでなかったら撮れるものではないと思う。カメラマンがどの位置にいたのかを考えたら、スタジオ撮影みたいにして撮影したのだろうということは、だいたい想像がついてしまう。
しかしとにかくそれで、中国は独裁的な国で、国民に対して銃を向ける恐ろしい国なのだという印象が、世界中の人々の中にしみついてしまったのだ。
それで、チベットはどうなのかと思って調べてみたら、チベットはもともとイギリスが独立させようとしていた国だった。1914年に、チベットを中華民国から独立した国として認める条約というのを結んでいたのだけれど、それは、チベットを拠点にすることで、中国に影響力を持つことができるようにするためだったのだろう。
それから1950年に人民解放軍がチベットに侵攻して、チベットは中国の自治区になったのだけれど、これはイギリスにしてみれば、チベットに対する支配権を中国に奪われたということになる。それから1959年にチベット独立運動が起こり、人民解放軍が鎮圧して、ダライ・ラマはインドに亡命した。このときは、中国政府がチベットの文化を破壊しようとしたので、ラマ僧たちが抵抗したのだということだったけれど、当時の画像を見ると、ラマ僧たちが全員ライフル銃を持って武装しているのがわかる。最も貧しい国と言われるチベットで、いったいどこからこの武器が来たというのだろう? 一番考えられるのは、イギリスだ。イギリスがチベットで反乱を起こさせて、再び中国から独立させることで、チベットに対する支配権を取り戻そうとしたのじゃないかと思う。その計画が、人民解放軍によって失敗に終わったのだけれど、それによってイギリスは、中国は独裁的で恐ろしい国だという印象を世界中に与えることに成功したのだ。
チベットの話も、ロシアに対するウクライナと似たような話だと思う。独立させて西側ブロックに引き込むことで、ロシアに対する支配力を強めようということなのだ。東欧で起こっていたカラー革命もそうしたものらしく、今グルジアで起こっている反対運動も、どうも西側NGOが組織しているものらしい。独立すれば豊かになるみたいに思わせて、武器を与えて、反乱を起こさせる。それで政府が警察や軍隊を出して鎮圧したら、人権無視の独裁政権だとメディアで報道して、世界中がマネシツグミ状態になるまで言い続けるのだ。
しかし、そういう背景が見えてきたら、西側メディアが「民主化を求める人々が弾圧されている」という話を広めていたら、まずはマネシツグミ作戦だというのが、もうそろそろわかってきてしまった。そういう話で私たちはこれまでいいように操作されてきたのだけれど、そういう西側メディアが、ヨーロッパの多くの都市で起こっているデモについては、「人権弾圧された人々の抗議運動」などとは絶対に言わないことでも、彼らの言う「弾圧された人々」などは大嘘なのがわかる。本物の人権弾圧が行われているところでは、「頭のおかしい過激派グループの暴力的な運動」といい、一方、武器を持たされて、議会を襲う雇われたテロリストたちは、「民主化を求める平和的な人々のデモが弾圧された」と言うのだ。どちらにしても、事実と合っているかどうかなどは関係がない。人々がマネシツグミ状態になるまで、言い続けているだけのことだったのだ。
2023年3月10日
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【タダより高いものはない】
「タダより高いものはない」というけれど、タダでお金がもらえるとなると、人はたちまちそのお金に依存状態になって、お金をくれる人の言うなりになってしまうものらしい。オーストラリアのアボリジニたちは、白人に土地を占領されたり、居住区を限定されたり、いろいろな目に遭ってきたけれど、最悪のことは、鉱山の採鉱権との引き換えということで、年金をもらうようになったことだったという話を聞いた。何もしないで生活していけるだけのお金がもらえることになったら、多くのアボリジニたちは、とたんに漁をすることも食べ物を採集することもしなくなってしまった。生きる目的を失って、無気力になり、アルコール依存になってしまった人も多いという。一見アボリジニを尊重しているようだけれど、実はそれによって、最も効果的にアボリジニの文化を抹消し、民族の自立性を失わせることができてしまったのだ。
3年前に始まったパンデミックでは、政府もメディアも医療機関も、そろって同じことを言い始め、結局のところ製薬会社が大儲けすることになったのだけれど、その背景にあったのは、NGOのネットワークで流れていく資金があった。最も有名なのはゲイツ財団だけれど、それだけでなく無数の小さなNGOがあって、ほとんどのメディアはそのお金なしには運営していけない状態だった。その無数のNGOは、元をたどっていくと、すべて同じところに行き着く。今回の場合は、このパンデミックで最も大儲けをした製薬会社だった。そして、その会社が無数のNGOのネットワークでばら撒いたお金は、結局のところ世界中の国の税金でまかなわれたわけなのだ。もちろんそれだけではなく、製薬会社も医療機関も、それに関わった政治家も、かなりのお金を得た。
すでにひどい人権侵害の域にまで達していたのに、いったいどうしてこのネットワークが機能し続け、製薬会社にお金がまわり続けたのかと、多くの人が疑問に思っていた。それで調べていったら、このNGOの巨大なネットワークの存在が表に出てきたのだ。メディアも医療機関も、このNGOからまわってくるお金がなかったらやっていけないので、言われるままに薬が安全だと言い続けてきたということが見えてきた。
ドイツのあるIT専門家が、このNGOのすべてのネットワークのお金の流れを検索するソフトをこしらえて、調査していたというのだけれど、その規模は特別なソフトでも使わなければとても把握できるようなものではないという。とにかく、それだけ世界的なネットワークが同じお金の流れに依存状態になっていたわけなのだ。
薬剤の注射に関わっていた医療関係者たちは、毎月何百万円とかいうお金を稼いでいたそうだ。そういうお金をもらってしまうから、そのためには何にでも目をつぶってしまえるのだろう。その結果、いつか責任を追究されることになれば、ニュルンベルク裁判に立たされて、「命令に従っただけです」と言って人道に反する罪に問われることになるのかもしれない。あるいは責任を問われずに済むのかもしれないけれど、お金のために重大な罪を犯してしまったことは確かだ。
これだけの資金網が機能するということは、つまりそれだけの余剰があるということなのだから、生産性がそれだけ上がったということになる。多くの人々は、つねにお金を稼ぐことに追われて、生産し続けているけれど、生産性が増せば増すほど、このNGOの資金ネットワークが拡大していくことになる。ミヒャエル・エンデの「モモ」で、人々が時間を節約すればするほど、灰色の男たちが増えていって、人々を管理支配していくというのと、まさに同じなのだ。経済の余剰が増せば増すほど、NGOからまわってくるお金に依存して、お金をくれる人の言うなりに何でもやる人々が増えていく。
だから、タダより高いものはないのだ。こういうお金に依存している人たちは、いわゆるセレブの生活をしているかもしれないけれど、すでに魂の自由を売ってしまっている奴隷のようなものだ。
たとえ何百万円もらったって、魂の自由こそは最も貴重なもののはずだ。
この頃チベットの独立運動のことを調べていて、それが何とアメリカの中央情報局(CIA)のお金で組織された軍隊だったということがわかって、かなりびっくりした。当時の画像を見ていて、ラマ僧たちがライフル銃を持って次々と出てくるので、イギリスが武装させたのだろうと思っていたけれど、これはチベット計画といって、中央情報局から正式に資金が出ていたのだ。チベット人たちは、コロラドやサイパンの軍事キャンプで訓練を受けていて、2000人ほどのゲリラ兵が養成されていた。このゲリラ兵にも予算が出ていたから、つまりはアメリカの傭兵だったわけだ。
何故アメリカが、チベットの中国からの独立などを、それほどの資金をかけて支援することになったのだろう? アメリカ国務省は、地政学的な利益がなければ、外国の組織に投資したりはしない。その頃のアメリカは、反中国政策を取っていて、中国をまわりから切り崩そうとしていた。それで、チベットや新疆、台湾などに独立運動を起こさせて、分断しようとしていた。
そういう時にアメリカがいつも使う手は、あの国は恐ろしい残虐なことをする独裁政権で、少数民族を弾圧しようとしていると吹き込むことだ。そして、その民族に、あなたたちは優秀な民族なのだから、もっと豊かな暮らしが与えられてしかるべきなのだ、というようなことを言う。それで、独立軍と称してテロリストを養成し、アメリカの武器や品物を豊富に与えるわけだ。それで、物質的には貧しいこうした少数民族は、すっかりアメリカのお金や品物に依存状態になってしまう。
前にダライ・ラマの亡命の映画とか見ていたから、チベットは中国に弾圧されたのだと私も思っていた。それが、実はアメリカ中央情報局が資金を出していたことを知って、かなり驚いた。チベット計画についてのドキュメンタリー映画を見てみると、元チベット独立軍のゲリラ兵たちが登場して、当時の様子を語っているのだけれど、どのようにしてアメリカの武器が届いたかといったことを、何だか自慢げな顔つきで話している。民族の独立みたいなことが本当に重要だと思っている人の顔には思えなかった。この人たちにとっては、アメリカの品物や武器が届くということに、特別な豊かさの感覚、特権意識のようなものがあるのかもしれない。アメリカがそんな品物をわざわざ山奥に届けてくれたということが、この人たちには今でも自慢なように思えた。
何故、武器を持って戦うことになったのかといったら、中国が仏教を弾圧すると言われたのだということを言っていた。現実に何があったというような話ではなくて、中国が弾圧する、中国は恐い、というような話を聞かされて、武装したということのようだった。それで、中国の人民解放軍が来て、ダライ・ラマに護衛を連れないで話し合いに来て欲しいという申し入れがあった。チベット人たちは、中国は恐いと聞かされていたから、人民解放軍はダライ・ラマを人質に取るか殺すか何かするのだろうと思ったのかもしれない。人民解放軍の方は、もともと平和的な人々なのだから、平和的に交渉できるのではないかと思ってそういう申し入れをしたのかもしれない。何が本当なのかはわからないけれど、チベット人たちは、つまるところアメリカの指示に従ったのだ。事態を知った中央情報局は、ダライ・ラマを中国側に取られたら、すべての秘密が暴露されてしまうかもしれないと思った。それで、交渉には行かないで、こっそりとインドに亡命するようにと言ったのだ。
映画で言っていることとまったく違う話なのだけれど、この一年ウクライナで起こっていることを見てきたら、アメリカがこういう類の映画をたちまち作り上げて、人に逆の印象を与えようとするということももうわかる。ウクライナでやったのと、まったく同じやり方なのだ。武器を与え、軍隊を訓練して、民族の解放のためにといって戦わせる。そして、大国の独裁に虐げられている少数民族というような映画をこしらえて、世界中でそれを放映する。それによって、アメリカがやっていることも正当化することができ、援助のお金も集められるというわけだ。
アメリカはチベットを武装させ、独立させて、中国を切り崩そうとしたのだけれど、中国が軍隊を出して、その計画は失敗に終わった。その後もゲリラ活動は続いていたけれど、最終的にはニクソンが大統領になり、国外に派遣していた軍を撤退させ始めたので、チベットや台湾に出ていた軍資金も次第に削減されていった。1972年のニクソンの訪中で米中関係が変わり、チベット計画は修了になったのだ。アメリカ中央情報局は、訓練していたゲリラ兵たちにお金を与え、チベットは諦めて、インドに土地を買うなりするようにということになったらしい。
ウクライナも、どうも同じような結末をたどりそうだ。1月にアメリカのシンクタンクのランド研究所から調査報告が出て、ウクライナの戦争はこれ以上続けていても、アメリカにとって損失になるということを言っていた。だから、ウクライナにドンバスとクリミア半島を諦めさせて、停戦させるようにという提案しているそうだ。それでこの頃、アメリカとドイツで、ノルド・ストリームの爆破はウクライナの仕業だという話が出ているらしい。アメリカは、何かしら軍事援助をやめるための口実がいるのだ。ウクライナがノルド・ストリームを爆破したということになれば、これを理由に、ヨーロッパはウクライナを非難して、軍事援助をやめることができる。ウクライナは、外国からの軍事援助なしには、降伏するしかない。それで、うまいことアメリカはこの戦争から降りることができる。
ウクライナも、2013年の頃から、アメリカ国務省が「ウクライナの民主化のために」ということで予算を出しているから、つまりチベット計画と同じような計画があるのだろう。アメリカはアゾフ連隊を養成し、ゲリラ的にドンバス攻撃を行なっていた。そこにロシアが軍事介入を行なったので、アメリカは世界中に経済制裁をかけさせて、ロシア経済を切り崩そうとしていたが、失敗に終わった。それで、損失が大きくならないうちに、ウクライナからうまいこと手を引こうというわけなのだ。
ウクライナもチベットとまったく同じ話だ。アメリカにそそのかされて、戦争することになり、その結果、利用されるだけ利用されて、領土を失うことになる。チベットだって、ゲリラ戦を行なったりしなければ、国を失うようなことにはならなかっただろう。ウクライナだって、ロシアと友好関係を保っていれば、こんなに何もかも失うことにはならなかっただろう。
アメリカ中央情報局は、いつもこういう手を使ってきたのだ。隣の国が恐ろしいひどい国だというような話を吹き込んで、武装させ、戦争させる。勝ったら、アメリカ的な豊かな生活ができるみたいに思わせて、うまくいかなかったら放り出す。結局のところ、一番信用してはいけないのは、アメリカだ。それよりも、アメリカが恐がらせようとしている国の方が、よっぽどうまく共生いける国だったりする。
こういうお金で人の魂を買うことができていたのも、つまりはアメリカ的な豊かさというものが、求めるべき幸せであるように思い込ませることができていたからなのだろう。しかし今、アメリカ的な豊かさを享受するセレブたちが、魂を売ったマリオネットのようになっているのを見たら、そんなものになるよりも、自分の魂に正直に生きている方がよほど幸せなことだと気づくのじゃないんだろうか? パンデミックやウクライナの戦争を通して、魂を売りたくなかった人たちは、豊かな収入のある職場を去って、寄付金に頼るような生活を始めた。この3年間、こうした人たちがさまざまな妨害に遭いつつも、実に生き生きした表情で仕事しているのを見てきている。
タダより高いものはない。お金の豊かさなどよりも、自分の魂に正直に生きていけることこそが、何よりの宝だと思う。
2023年3月12日
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【民族弾圧という嘘】
一年前にウクライナの戦争が始まってから、民族の対立とか、少数民族に対する弾圧といったことがテーマになってきた。西側の政府やメディアは、ロシアが一方的に侵攻していると言っていて、大国が民族の異なる隣の国を横暴にも支配しようとしていると批判していた。
ところで、民族を弾圧していると言って非難するのは、アメリカの中央情報局(CIA)が好んで使う戦略だったらしいのだ。民族の弾圧、虐殺という話になると、人は反射的にホロコーストを連想し、絶対悪だと思い込む。まさにこの心理的な反応を利用した、大衆操作法だった。それによって、論議なしに軍事介入することを人々に受け入れさせることができるし、経済制裁をさせることができる。民族が弾圧されている、虐殺されている、という話を信じ込ませることができれば、平和的な人々も、戦争に駆り立てることができるのだ。
アメリカはそのために、少数派の民族に独立運動を起こさせたりしていた。ウクライナには、ソ連が崩壊して独立した共和国になった頃から、工作が行われていたらしい。2014年のマイダン革命は、アメリカが資金を出して組織したクーデターだった。武装したテロリストたちが、国会に押し入って、占領し、政権交替させたのだ。そしてそれが、親ロシア派の政権による弾圧に抵抗したウクライナ民族の解放運動みたいな話として、世界中のメディアで報道された。
これと同様なことは、シリアやリビアでも起こったし、東欧のカラー革命でも、チベットや台湾やウイグルでも起こった。起こったというより、アメリカが資金を出してやらせたのだ。武装したテロリストが攻撃し始めたので、政府が警察や軍隊を出動させて鎮圧すると、世界中の西側メディアが、民族を弾圧したと報道して、非難し始める。そして、NATOが介入したり、経済制裁を加えたりすることになる。そうやって、アメリカは世界中の国に支配力を強めていったのだ。
ウクライナで起こったことを見ていると、いったいどうしてこの人たちが、こんなに戦闘的になってしまったのかと思う。ウクライナの人たちは、ロシア民族は独裁的で残虐で、ウクライナ民族をバカにしていいように支配しようとしているのだと思い込んでいる。もちろん、ウクライナ人だっていろいろな人がいるだろうけれど、ロシア人に対して攻撃的になっている人たちは、そう思い込んでいるからこそ、あんなに攻撃的になれるのだ。西側メディアは隠しているけれど、NATOが訓練したウクライナ兵たちは、ロシア民族ならば誰でもその場で殺すべきだと思っている。一年前にロシアの軍事介入が始まった頃、そういうことを自分で言っているウクライナの若い兵たちの動画がSNSでよく拡散されていた。彼らにとっては、それは隠すべきことでさえなく、むしろ誇りに思うべきことであるようだった。
2014年のマイダン革命が起こる前、当時アメリカの副大統領だったジョー・バイデンもキエフによく行っていて、「あなたたちウクライナ人は、すばらしい能力を持った民族なのだから、もっと豊かになる資格があるのです」というようなことを言っていた。どうやらこれが、アメリカがよく使う手口らしい。つまり、あなたたちは大国に対して少数派民族だけど、隣の大国よりも本当は優秀で、だから大国よりも上であってもいいのだということを、そうやって吹き込んでいたわけなのだ。そして、上であってもいいはずなのに、かの大国はあなたたちをバカにして弾圧しようとしている、占領して滅ぼそうとしている、みたいなことを吹き込むのだ。
ウクライナの人には、マイダン革命が起こるよりも前に、何人か会ったことがあるけれど、ロシア人よりもソフトな感じで、攻撃的なところなどまるでないような人が多かった。ところが、そういう人たちでも、そうやってうまいこと吹き込むと、戦闘的にしてしまうことができるのだ。
今、ウクライナの人たちが難民としてヨーロッパにも来ているけれど、ものすごく傲慢な態度で、気に入らないと物を投げつけたり、部屋をメチャメチャにしたりするので、受け入れの人たちを驚かせている。だいたいとても難民とは思えないような感じの人たちで、ドイツ製の高級な車に乗り、フランスの高級ブランドのバッグなどを持っていたりするのだけれど、難民センターで出された食事が貧しいと言って、ウクライナ人をバカにしているのか、と腹を立てたりするのだそうだ。ヨーロッパ人は、もっと豊かな生活をしていると思っていたらしい。ロシアから離れて、EUに入れば、そういう豊かな生活ができると思い込んでいたようなのだ。それで、そういう生活ができないウクライナは貧しくて、弾圧されていて、バカにされていると思っていたらしい。
かつてのソフトなウクライナ人とは、まったく別な人たちのようだ。ウクライナ人は本当は優等なのに、不当に弾圧されていると吹き込まれたからなのだろう。弾圧されているという犠牲者意識と本当は特別な優秀な民族なのだという特別意識だ。そして、だからセレブみたいな生活がふさわしいのだという思い込み。この組み合わせが、どんな平和的な民族でも、戦闘的にさせて、戦争に駆り立てることができてしまうらしい。
ロシアとまともに戦争して、勝ち目などないのは、最初からわかっていたようなことなのだ。それでも戦争に駆り立てることができてしまったのは、そういう意識を持たせることができたからだ。そして、あなたたちは優秀な民族なのだから、アメリカが独立できるように協力するという約束だ。隣の大国のロシアはけしからん民族だけど、あなたたちはいい人たちだからアメリカが援助するのだと言ったら、勝ち目のないような相手に対しても、戦争を吹っかけさせることができてしまう。アメリカはまさにその手を使って、少数民族に独立運動を起こさせてきたらしい。
民族とはそもそも何なのだろう? ウクライナ民族が優等なのだと言うけれど、それじゃこの人たちは民族文化を大事にしているのかといったら、そうではない。その代わりに、この人たちはドイツ製の高級車に乗り、フランスのブランド品を身につけ、ウクライナ語を話せと言って怒るのだ。実際に起こっていることは、民族文化を大事にすることではなく、アメリカ化するようなことだった。
同様なことは、難民として来ていたチベットの人にも感じた。この人たちは、チベットの文化が弾圧されるので亡命していることになっているけれど、チベット的な生活をしているわけでもない。実のところは、西洋的な消費生活がしたくて来ているのだ。民族が弾圧されていると吹き込まれて、結局のところこの人たちは、伝統的な生活を捨てることになり、お金に依存する西欧的な生活に切り換えさせられてしまったわけだ。
だから、民族の弾圧とかそういう話が出たときには、弾圧されているという人たちが、どの方向へ向かおうとしているのかを見るべきなんじゃないかと思う。本当に民族伝統を守った生き方をしようとして弾圧されているのか、そうではなくて、アメリカ的な消費生活ができないことを弾圧されていると言っているのか、だ。
たとえば、オーストラリアのアボリジニやアメリカのネイティブアメリカンは、伝統的な生活を守ろうとしていたのに、保留地に閉じ込められたり、学校で英語を強制されたりして、伝統的な生活を奪われてしまった。ヨーロッパでは、ケルト系の民族が、独自の言語を使うことを禁じられて、文化が途絶えていった。イギリスではウェールズ語が禁じられて、子供たちは英語の学校に通うことが強制されたし、フランスではブルトン語が禁じられた。
また、沖縄では日本に領土返還されてから、子供たちは日本語の学校教育を受けることになり、それ以来、引き継ぐ人がいなくなって、久高島ではイザイホーができなくなった。ドイツの映画製作者クレメンス・キュビがチベットのラダックに行った80年代には、まだそこにはテレパシックなコミュニケーションを当たり前にするスピリチュアルな文化があったけれど、その後、ラダックのラマ僧が学校を作るプロジェクトを実現させたら、それも消えてしまったという。
一方、民族を弾圧しているといってアメリカがしきりと非難しているロシアでは、実のところ、それぞれの民族はそれぞれの生活を続けていけるようにしていて、それが超多民族国家であるロシアの伝統的なあり方なのだという。実際、シベリアの方では、今でもトナカイを連れて遊牧生活をしている人もいるし、シャーマニックな伝統を大事にして生きている人たちもいる。それぞれの民族は、それぞれに共和国を作っていて、独自の公用語を持っている。ロシアにはものすごくたくさんの民族がいて、宗教もたくさんあり、言語もたくさんある。それを、それぞれ好きなようにやらせるというのが、つまるところ最もストレスの少ないやり方なのだ。それで、ロシアは歴史を通じて、そうしたやり方を取ってきたのだそうだ。
中国も、民族を弾圧するといって、非難されているけれど、中国にはそれぞれの民族の自治区があって、それぞれの公用語を持っている。チベット語、ウイグル語、モンゴル語、台湾語も、正式に公用語とされていて、中国の紙幣はいくつもの言語で記されている。それに対してアメリカは、もともとネイティブな民族だってたくさんいて、言語もたくさんあったはずで、さらにはいろんな国からの移民が来て、やはりものすごい多民族国家なのに、公用語は英語だけで、子供たちは皆英語の学校に通うことが強制されている。一体、民族弾圧しているのは、どっちの国なのだろう?
ウクライナの戦争でかけられた経済制裁に応える形で、ロシアは米ドル支配を破って、BRICS諸国を中心とした多極的な経済ネットワークを作ることに成功した。これは、アメリカやイギリスがやっていたような、一つの言語、一つの価値観にすべての人々を従わせる一極支配のあり方ではなくて、それぞれの民族がそれぞれの文化、それぞれの価値観で生きることを互いに尊重し合うあり方なのだ。
たとえば、アフガニスタンの人たちは、ほとんどの人たちがイスラム法で生きることを望んでいるというのだけれど、それを外から「それは民主的ではない」とか「それは人権侵害だ」とか言うのじゃなくて、その人たちがそれで満足しているのなら、それを尊重するということだ。エスキモーたちが生態系を守って鯨獲りしているなら、それを尊重するべきだし、天幕で遊牧生活しているんなら、それが貧しいとか、子供を学校に行かせろとか言うんじゃなくて、それを尊重するべきだということだ。
英米的な一極支配のあり方は、「貧しい」とか「民主的じゃない」とか「自由がない」とかいう価値観の押しつけで、そういう民族の多様性を破壊してきたのだ。そうしたあり方が、はてしない支配と争いの世界を作り出し、そのために今、世界は破滅に直面している。そこから抜け出して、世界を解放していくために、民族の多様性を尊重し合うあり方を私たちは学ぶ必要があるんだと思う。
2023年3月13日
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【ワニの涙に騙される】
ワニというのは、獲物に食らいつきながら、涙腺の加減で目から涙を流すのだそうだ。それが、自分が犠牲にした相手がかわいそうで泣いているみたいに見えるというので、偽善的な嘘泣きのことを、「ワニの涙」というらしい。
残虐なことをしておいて、それがかわいそうだと嘆いて見せるというのは、大衆操作でよく使われるやり方だ。自作自演でテロ騒ぎを起こして、その被害の様子を見せ、かわいそうだという感情を掻き立てる。残虐さと恐怖、そして同情を誘う演出。それで、一度に多くの人々を、思ったように操作することができてしまうのだ。
一年前に、ウクライナの内戦にロシアが軍事介入を始めてから、世界中のニュースで残虐な戦闘の画像が毎日流され、泣き叫んだり嘆いたりしている人たちの映像が流された結果、多くの人たちは、ウクライナがかわいそうだと思い、ロシアが悪者だと思い込んでしまった。そして、まさにそのために、ロシアを攻撃することが正当化され、大量の武器、大量の軍隊がウクライナに送り込まれることになった。ところが、これが実は「ワニの涙」だったのだ。ウクライナ政府軍がドンバスを餌食にしていたのに、まるで自分が犠牲になっているみたいに大泣きして見せていたようなものだった。
「ワニの涙」という言葉を知ったのは、ロシア在住のドイツ人ジャーナリスト、トーマス・レーパーが、イランの毒ガス事件について書いているのを読んでいたときだった。このイランの毒ガス事件というのが、実に奇妙な話で、まるきり筋が通っていないように思えるところが、アメリカ中央情報局(CIA)とかの情報工作が行われている感が満載だ。数カ月にわたって、あちこちの学校で、女子生徒が何か強烈な臭いのするものを嗅いで気分が悪くなるということが続き、ついに被害が何千人にも及んだという事件なのだけれど、どういうわけだか、その事件をめぐって、抗議のデモが起こり、それが反政府デモに発展したという。
だいたい、毒ガスというのはほとんど臭いがしないものなので、強烈な臭いがしたということからして、意図的に騒ぎを起こすためにやっているんじゃないかという疑いが湧いてくる。ほとんどの被害者は、せいぜい気分が悪くなるとか、頭が痛くなるという程度のもので、中には病院で手当を受けた子もいるにはいるというくらいのものだったらしい。だけど、西側メディアの画像では、まるで人がバタバタ倒れたみたいな見せ方をしていた。病院のベッドに寝ている女の子がインタビューを受けて、差し出されたマイクに向かって話しているのだけれど、言葉もはっきりしているし、顔の表情もしっかりしているし、とても病院に緊急収容されて手当を受けている人のようには見えなかった。
3年前に始まったパンデミックのときも、病院のベッドがいっぱいになっている情景や、インタビューを受ける患者さんの動画が、メディアでさかんに報道されていたけれど、多くのものはエキストラを使ったやらせ画像だった。そういう映像は、何かしら嘘くさいものがある。病人にしては顔に生気がありすぎたり、言っていることが大げさで、芝居がかっている感じだったりする。本当の病人というのは、いかにも苦しんでいますという表情をしたりはしないし、誰が悪いとかそんなことを言ったりするものでもない。
しかも、イランの毒ガス騒ぎでは、子供の親たちが抗議のデモを始め、それが反政府デモに発展していったというのだ。毒ガス被害があったからといって、どうして政府に抗議をということになるのだろう? しかも、それが反政府デモになっていったというのは、この頃グルジアで起こったデモ騒ぎを思わせる。グルジアでは、政府が外国のNGOを規制する法案を出したら、それに反対するデモが起きたというのだけれど、それに対して政府が法案を降ろしたのに、デモは続いていき、政府に辞任を要求していると言う。そのことからして、法案自体が問題であったというよりは、法案をきっかけにして、反政府デモが組織されたのじゃないかと思えてくる。
ところで、アメリカには全米民主主義基金(NED)という機関があって、これが世界中の野党や反政府運動を支援しているのだそうだ。この機関は、正式にアメリカ議会で設立され、アメリカ政府の予算をもらっているのにも関わらず、NGOとして通っていて、世界中で活動している。とりわけロシアと中国の周辺の国を、アメリカ寄りの政権にすることを目的にしており、2014年にウクライナで起きたマイダン革命も、実はこの機関が組織して、支援していたことがわかっている。しかも、たとえばマイダン革命のときには、デモの参加者一人につき一日100ドルくらいのお金が支払われてさえいたらしい。
ウクライナは、当時ヨーロッパで最も貧しい国と言われていたから、一日100ドルといったら、かなりのお金だったんじゃないかと思う。そういうお金で組織されていたデモだったのだ。ウクライナ国民の声でも何でもなかった。そのグループが、国会を乗っ取って、勝手に大統領を降ろし、自分たちで政権を作ってしまったのだ。それをアメリカ政府の機関が、アメリカ政府の予算を使ってやったというのだから、これは内政干渉どころか、立派な乗っ取りであり、占領だ。全米民主主義基金というのは、そういう隠れた軍事戦略みたいなことを、民主主義のためにという名目で行なう機関だったのだ。
このNEDというのは、1983年にレーガン政権のときに作られたもので、それまで中央情報局(CIA)がやっていた仕事を受け継いだのだという。中央情報局は、冷戦下で東ブロックの国を弱体化させる目的で、中国やロシアの周辺の国の独立運動を組織したりしていた。チベットや台湾の独立運動も、アメリカ中央情報局が裏で組織して、武装させていた。これについては、ヴィキペディアで「チベット計画」を検索するとちゃんと出てきて、予算の細目まで見ることができる。
それが、ニクソン政権下で外交の方針が変わり、チベットや台湾への武器援助をやめたので、チベットの独立戦争はそれで終わった。そしてレーガン政権になって、今度は中央情報局ではなく、当たりさわりのない機関に見える全米民主主義基金がその仕事をやることになったということらしい。
そうした背景が見えてくると、グルジアのデモ騒ぎにしても、イランの毒ガス事件にしても、全米民主主義基金が裏で組織してやっている、政府乗っ取り作戦ではないのかというのが、かなり現実的なこととして浮かび上がってくる。筋が通っていようがいまいが、とにかく国民が騒然とするような事件を起こして、そのために抗議運動が起こったという話にすればいいのだ。たとえ数百人の小さなデモであっても、メディアに大きく報道させればいい。イギリスのBBCなどは、全米民主主義基金と同じ方向で活動しているらしく、イランの毒ガス事件も真っ先に報道していて、あまりリアリティのないいかにもやらせっぽい画像を出していた。自分で犠牲者を出しておいて、自分で犠牲者がかわいそうだと大げさに嘆いて訴える。これがつまり、「ワニの涙」なわけなのだ。
イランもロシアと経済関係を保っていて、BRICS諸国に近づいているので、アメリカは何とかしてアメリカ寄りの政権に入れ換えたいのだと思う。去年も、イランの女性たちがヒジャブ強制に抗議してデモを行なったというニュースがあったけれど、あれもせいぜい数百人が集まったというデモにすぎなかったらしいから、西側メディアの報道の仕方は明らかに意図的に誇張されていた。デモ自体も、あるいは全米民主主義基金が組織して、お金を出してやらせていた可能性もある。
イスラム圏の外の国では、イスラムの女性が抑圧されているという思い込みがあるので、イスラムの女性たちが立ち上がったというと、多くの人の共感を集めやすいのかもしれない。だけど、ヨーロッパの国で、イスラム女性のヒジャブを禁止したら、イスラム女性たちが抗議運動が起こしたということもあった。それを考えると、ヒジャブを着ける習慣が抑圧だというのも、実は違うのかもしれないと思える。オーストリアに来ていたイランの女性も何人か知っているけれど、とても自立した感じのしっかりした女性たちで、抑圧されているようにはまったく思えなかった。
民族文化というのは、本当に外から見ただけではわからないことが多い。皆それぞれ、自分のところの文化の価値基準で何がいいとか悪いとか言っているのだけれど、実際に異文化に暮らして、異文化ギャップを自分で体験してみないと、自分が自文化の価値基準で偏った見方をしていたことには、なかなか気がつけないことが多い。文化の外から見ると、ヒジャブを頭からかぶっている姿は異様に見えるのだと思うけれど、彼女たちはそれがお洒落だと思っていたりする。他にもいろいろ私たちが知らない意味があるのかもしれないし、自分たちは自由だと思っている私たちも、外から見たら、実はいろいろな因習に縛られていたりするのかもしれない。ヒジャブに抗議するほんの数百人ほどのデモを大きく報道している一方では、ヨーロッパでさんざん行われていたマスク強制に反対するデモは、何千人何万人集まっても、西側メディアはせいぜい「少数の過激派グループの気違いじみた運動」としか取り上げていなかったのだ。それを考えれば、ヒジャブ強制に対する西側メディアのこの反応は、明らかに意図的な印象操作なのだと思う。
イラン政府は、アメリカの策略で次々と抗議デモが組織されているのも知っているらしい。西側メディアは、この毒ガス事件にはイラン政府が関わっているとか、昨年の反ヒジャブ運動の弾圧のために行われた可能性があるとかいう話をまことしやかに報道していたのだけれど、それに対して、イラン外相が「イランはワニの涙のことくらいよく知っている!」と言ったという話だった。
私たちはこれまで、この「ワニの涙」にさんざん騙されてきたのだと思う。世界中のあちこちで、弾圧された人々だの犠牲になった人々だのの映像が毎日メディアで報道され、私たちはつねにあれがかわいそう、これがかわいそう、とあっちの政府を非難したり、こっちの政府を応援したり、メディアが望むように動かされてきた。その多くが、実のところ、すべて計画されて演出された「ワニの涙」だったのだ。
本当に、そのために一体どれだけの人たちが不当に非難され、どれだけの人たちが犠牲になったのかと思う。ウイグルでもチベットでもウクライナでもイランでも、すべてはアメリカ寄りの政権に取り換えようとする、不当な乗っ取りと言えるような計画で、戦争行為とさえ言えるようなことが、大量の資金を投じて行われていたのだ。そしてそれが、「ワニの涙」でごまかされ、国民の「民主化」の望みだという風に思わされていた。
しかし、全米民主主義基金(NED)みたいな組織があって、こういう計画が存在していることがわかったら、私たちは何が「ワニの涙」で何が本当の涙なのか、見分けることができるようになっていくのだと思う。そして直に、今までどうしてあんなに簡単に騙されてしまったのかと、不思議に思えるようになっていたりするんじゃないかと思う。
2023年3月16日
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【国連調査委員会は信頼できるのか?】
アムネスティ・インターナショナルだとかヒューマン・ライツ・ウォッチだとかの独立のNGOが、どこそこの国が人権侵害を行なっていると非難しているというと、多くの人は、それが真実なのだろうと思う。ましてや、国連の人権理事会の調査報告だなんていうと、これでいよいよ真理がはっきりしたと思ったりする。
この3年間で、私たちは国連機関である世界保健機関(WHO)が、どれだけ嘘をつき、甚大な健康被害があることを隠し続けて、推奨さえしてきたことをさんざん見てきた。それで、独立した監査機関だろうが国連機関であろうが、真実を言っているとはかぎらないのだということを、知ることができたわけだ。
ウクライナの戦争で、人権侵害が行われているというので、国連の人権委員会が調査委員会を設立し、調査を行なうことになった。その結果がこの頃出たというのだけれど、それによると、ロシア軍が市民を無差別攻撃し、捕虜を虐待し、女性たちを強姦し、子供たちを拉致したというようなことだった。この一年間ドンバスからの情報を追っていた人からすると、一体どこをどう見たら、こんな報告ができるのかと驚く。ドンバスで、ウクライナ軍が市街地を爆撃しているのを、この人たちは見なかったのだろうか? ウクライナ軍がドンバスの住民を地下室に閉じ込めて、人間の盾に使っていたのを知らないのだろうか? ウクライナ軍が国際法で禁じられている小型地雷をドンバスの街のあちこちに撒いていて、草地に落ちていた地雷を踏んだ子供が足を失う大ケガをした話を聞かなかったのだろうか? ロシア軍が撤退したあとの村で、ウクライナ軍が住民をロシアの協力者として虐殺していたのを、知らないのだろうか? ロシア軍が女性を強姦していたというのは、ウクライナの女性政治家が語った作り話だったことも聞いていないのだろうか?
ところで、この国連人権委員会は、50回ほどもウクライナを訪れて調査したというのだけれど、ウクライナ政府の案内で、ウクライナ軍がコントロールしている領域だけを視察し、ウクライナ政府の訴えだけを聞いてきたというのだ。だから、本当に戦闘が行われているドンバスには入りもせず、住民から話を聞くこともなかったわけだ。こんな調査をして、「中立の、独立した調査機関」としてまかり通るのだから、まったく驚いてしまうけれど、これが実は「いつものこと」だったことが、だんだんとわかってきた。
アメリカの軍事専門家のスコット・リッターは、国連の武器監査役としてイラクに送られ、イラクには大量殺人兵器はないと報告した。ところがしばらくして、ある政治家がガラス瓶に入った液体を見せ、これが911のテロに使った爆薬だと主張し、そっちの方が通ってしまったのだ。ノルド・ストリームの爆破事件だって、シーモア・ハーシュは最低2トンの爆薬が必要だったはずだと言っていた。小瓶に入るほどの量で、あの高層ビルが完全に粉々になるほどの破壊力を持つ液体など、一体どこにあるというのだろう?
しかし、アメリカの目的は、アフガンとイラクを攻撃して、アメリカが支配できるような政権に変えることだった。そのためには、どんなに筋の通らない理屈であろうと、人々を納得させるような理由がいる。そのためにアメリカは中央情報局(CIA)を使って、メディアを買収し、人々が信じてしまうまで、何度でも繰り返させるようにしているのだ。これをオペレーション・モッキングバード(マネシツグミ作戦)というのだけれど、この方式がどれだけの効果を発揮するのかを、私たちはこの3年ほどで、嫌になるほど見せられてきた。
シリア政府軍が毒ガス兵器を使っていたという話では、2015年に国連の化学兵器禁止機関が調査委員会(JIM)を作り、シリアは毒ガス兵器を使用していない、という調査結果を発表したそうだ。ところが、西側メディアはそれをほとんど報道せず、2018年になって、今度は別の調査委員会IITを設立した。すると今度は、この新しい委員会がシリア政府軍が毒ガス兵器を使用した、と発表したのだ。ところでこの調査委員会は、国連機関でありながら、国連から資金を受けてはおらず、その代わりにアメリカやイギリスなどの政府が資金を出していたそうだ。そのことからして、またJIMのときのようなことにならないよう、あらかじめ買収してあったのじゃないかというのは、かなり現実的なこととして考えられる。
この調査委員会がシリア政府軍の犯行である根拠として出したのは、ホワイトヘルメットという救助グループが撮影した動画だけだった。しかしこの動画には、病院の待合室に飛び込んできたホワイトヘルメットのメンバーが、そこにいる人々にホースで水をかけている様子が映っていただけだった。毒ガスにやられた被害者に、こんな風に水をかけて何かの助けになるとは思えない。毒ガスにやられたのなら、倒れるとか咳をするとかしていそうなものだけれど、そこに映っている子供は、ただ普通に座っているだけだった。水をかけられて寒いということ以外、特に問題があるようには見えなかった。
ホワイトヘルメットは、中立の民間のボランティア団体だということになっているのだけれど、実のところはイギリスの諜報部が組織したという話もある。いずれにしても、ホワイトヘルメットが活動している領域は、反政府派が支配している領域だけで、アサド政権がコントロールしている領域には入ってこならしい。ホワイトヘルメットは、救助グループと言いながら、実はテログループだという話もある。実際、シリアの住民はホワイトヘルメットを忌み嫌っていて、ホワイトヘルメットが連れていったケガ人は、生きて帰ってはこないというようなことが言われていたりするらしい。とにかく、彼らはアサド政権の領域には入ってこないし、アサド政権は彼らを敵とみなしているらしい。
そのホワイトヘルメットが、救援活動の現場を撮影して、その映像が世界中で報道されているのだけれど、それがクライシスアクターを使ったやらせ画像だというのだ。たしかに、いろいろな画像を突き合わせてみると、同じ人物が別な場所での救助活動の場面として、何度も登場していたりするし、メイキングオブみたいな感じの、撮影風景を撮った動画が出ていたりもする。負傷者役ががれきの中に寝ていて、ホワイトヘルメットが救助するところを撮影するのに、カメラの位置が決まって、撮影となったときに、負傷者が急に苦しみの声を上げ始め、ホワイトヘルメットのメンバーは救助作業を始めて、ガレキの中からその人を引き出して連れて行っていくところが映っている。
ホワイトヘルメットは、シリアの映像でオスカー賞を受賞したというのだけれど、画像が映画の場面みたいに鮮明にきれいに撮れているところを見ても、ハリウッド映画のように高い機材を使って、撮影のプロが撮影したもののように見える。アングルや光の入り方なども見ても、その場で撮影したとは思えず、かなりの時間をかけて、照明などもセットして撮影しているように見える。戦争もの映画のロケの撮影じゃないかと思うくらい、実にかっこよく撮れているのだ。ネットで画像検索しただけでも、同じ顔が負傷者になったり救助者になったりして何回も出てきたりするのだけれど、それがまた映画俳優みたいな整った顔立ちをしている。それを見ていると、この人たちはきっとプロの役者みたいな人たちなのだろうと思う。その映像を見たかぎりでは、これは救助のためのボランティア団体などというものではなく、プロパガンダ画像を撮影するためにシリアに送られている組織なのだろうというのが、透けて見えるような気がする。
メディアが真実を伝えていると思っている人たちは、このホワイトヘルメットの画像を見て、シリアの政府軍が罪なき人々を虐殺していると思い込むわけなのだろう。それで、この残虐を行なっているのは、アサド政権なのだと思うようになっている。そんな映像を根拠にして、国連の調査委員会が、アサド政権が毒ガス兵器を使ったということを報告したというわけなのだ。
ところで、この報告があったあとで、この調査委員会の母体となっていた国連の化学兵器禁止機関OPCWから、4人のメンバーが別々に、あの報告は事実ではないと告発した。彼らは3年前に、別な調査委員会JIMが、シリアは毒ガスを使っていないという調査結果を出したのを知っているし、シリアがやったという根拠が、ホワイトヘルメットの動画だけというのでは、あまりに見え透いていると思ったのじゃないかと思う。
昨年9月に、ウクライナのザポリージャ原発が爆撃されているというので、国連の原子力委員会の視察団が送られたときも、何だか似たようななりゆきだった。視察団はウクライナ政府に受け入れられてキエフから入ったのだけれど、ザポリージャはロシア軍がコントロールしている地域にあったから、ウクライナの領域からロシア軍の領域への境を車で越えていった。そして、ザポリージャに到着して、ロシア軍に迎え入れられたとき、原発の建物がウクライナ軍によって攻撃されているのを、視察団は目撃したのだ。使われた武器は、NATOがウクライナに送ったものだった。それで視察団は、ウクライナ軍がザポリージャ原発を攻撃していて、ロシア軍を原発を攻撃から守っているのを確かめたはずだった。しかし、原子力委員会は、ただ原発が損傷しているということだけを報告して、どちらが攻撃しているのかについては言及を避けた。そして、「誰がやったのかについて判断を下すのは、原子力委員会の責任ではない」と言ったのだ
つまるところ、アメリカがNATOに攻撃させたい国が、人権侵害の行為を行なったという調査結果が出ることになっているらしい。それでアメリカは、軍事攻撃を正当化することができるからだ。もし違う結果が出たら、別の説を持ち出して、そちらの方をメディアで報道させて、人々がそうと思い込むようにしてしまう。
ところで、今回の国連人権委員会のウクライナ調査委員会に選ばれたのは、たったの3人だけだったそうだ。一人はノルウェー、一人はボスニア、もう一人はコロンビアの人だった。それだけ聞いたら、中立なグループなのだろうと思えるけれど、それぞれちゃんとアメリカ寄りの発言をする人を選んでいたらしい。いずれにしても、3人というのはあまりに少ないのじゃないかと思うけれど、シリアの毒ガス兵器の調査で、化学兵器禁止機関から4人も内部告発者が出てしまうという失敗を繰り返したくなかったのだろう、とドイツ人ジャーナリストのトーマス・レーパーは言っていた。確かにアメリカ寄りだと信頼できる3人だけならば、間違いは起こらないと思ったのだろう。そして実際、実情を知っている人にとっては、この結果はあり得ないと思うような、見え透いた嘘の報告を、この3人は見事にやってのけたのだ。
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2023年3月17日
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【国際刑事裁判所は公正なのか?】
国連人権理事会が、ウクライナの戦争でロシアが戦争犯罪を犯したと報告したすぐあとで、今度はデン・ハーグの国際刑事裁判所が、プーチン大統領に逮捕状を出したというニュースが出て、一体世界はどこへ向かっていくのかと思った人も多いんじゃないかと思う。
国連人権理事会の調査というのも、この一年間、ドンバスからの情報を追っていた人間にとっては、一体どこを見たら、こんな報告ができるのかと驚くくらいに、現実とまるきり逆のものだ。だけど、国際刑事裁判所がプーチンの戦争犯罪としているものは、市民の虐殺でもジェノサイドでもなくて、何と子供の強制連行の件だったのだ。
このことは、国連人権理事会がロシアの戦争犯罪として挙げていた、ジェノサイドだの性暴力だの虐待だのといったことは、何の根拠もない話なのだということを、暗に示してしまっているようだ。実際、ブチャの虐殺はウクライナ軍の自作自演だったことがすでに表に出てしまっているし、ロシア兵が住民に性暴力をふるったという話は、ウクライナの女性政治家がでっち上げた嘘だったことが判明している。国連人権理事会は、ウクライナ政府側の話だけ聞いて、それをそのままに報告しただけなのだ。しかし、国際刑事裁判所としては、そんな話で逮捕状を出すわけにはいかなかったのかもしれない。それで、子供の強制連行を罪状にすることになったんじゃないかと思う。
それというのも、戦争が始まってからのこの一年、実際に大勢の子供がウクライナからロシアに来ているからだ。これが国際法違反に当たるのかどうかは別として、とにかく確かに来てはいる。その意味では、まったく根も葉もない話ではない。ロシア外務省報道官のマリア・ザハロワによれば、ロシアはこの一年間に400万人のウクライナ難民を受け入れており、そのうち子供は60万人以上だという。そのうちの何人かが、違法に連行されたということになるのかもしれない。しかし、これがどこのどういう子なのかは、国連も国際刑事裁判所も公表していない。
国際法では、戦争状態にある領域で、親のいない子供たちを国境を越えて避難させることが禁じられているということが、国連人権理事会の報告書には書いてあった。ロシアに避難した子供たちのうち何人かは、戦争孤児だったかもしれないし、あるいはとにかく親がその場にはいない子たちだったのかもしれない。昨年10月に、ロシア軍がヘルソンから撤退するときに、住民の多くをロシアに避難させたことがあった。その中には、孤児たちもたくさんいたのかもしれない。
ロシア軍が撤退した地域にウクライナ軍がやってくると、残っている住民はロシア軍に協力した裏切り者だということで殺される危険が大きいのだ。実際、それがブチャで起こったことだった。住民は、ロシア軍から食糧援助を受けたというだけで、裏切り者とみなされて、その場で撃ち殺された。ヘルソンからロシア軍が撤退を迫られたときも、ウクライナ軍の間では、住民たちはロシア軍に抵抗しなかったのだから、裏切り者だということさえ言われていた。幼稚園や孤児院のおばさんたちだって、やっぱり裏切り者なのだから処刑しなければ、というようなメッセージがSNSで流れていたということだった。それがわかっていたら、ロシアに逃げる以外何ができるだろう? そんなところに子供たちだけを残していくわけにもいかないのだから、一緒に連れて行くしかない。これが国際法違反だと、国際刑事裁判所は言っているのだろうか?
ウクライナからロシアの領土になっているクリミア半島は、夏にバカンスをすごしに行くような場所らしいのだけれど、子供たちがサマーキャンプにクリミア半島に行っている間に、家のある地域がロシア軍からウクライナ軍の管理下に変わった場合、子供が保護者の同伴なしに家に帰ると、国際法違反になる、というようなことまで、国連人権理事会の報告には書いてあった。そのために帰れなくなった子供たちがクリミア半島にいなければならないのが、幼児虐待だということを言っているのだろうか?
この一年にウクライナからロシアに連行された親のない子供たちといったら、幼児売買のために誘拐されて、隠れ家に閉じ込められていた子供たちがいる。ウクライナはソ連崩壊後、西側に食い尽くされ、腐敗させられていて、闇の巣窟のようになっていたらしいのだ。それで、幼児売買や売春組織、臓器売買などあらゆる闇の事業のセンターがウクライナにはあるのだという。実際、ロシアの軍事介入が始まった頃、代理母センターが、代理母の女性たちが外国に避難したまま帰ってこないかもしれないのが心配だという記事が報道されていた。ウクライナは代理母が許可されている数少ない国の一つだというのだけれど、このことは、ウクライナには裏で大きなお金が動いている闇の世界があるのだろうということを感じさせた。
軍事介入が始まってからすぐに、ウクライナのあちこちに誘拐された子供たちが閉じ込められていることがわかり、その救出のためにロシアの特別部隊スペツナズが送られたという情報があった。これは諜報関係から流れてくる情報で、表のメディアには出てこない情報なのだけれど、世界中で多くの子供たちが行方不明になっていることは確かだし、かなり信憑性のある話なのだろうと思う。郊外の一軒家の地下などに、誘拐された子供たちを隠している場所があり、大きいところでは、100人以上の子供がいたということだった。ロシア軍の特別部隊は、そういう場所を探し出して、子供たちを救出していたというのだ。
ロシアの軍事介入は、ウクライナの闇社会にとって、また別の意味があったらしい。子供たちが閉じ込められている場所では、多くはすでに大人たちが逃げてしまって、子供たちだけが放置されている状態だったという。ロシア軍が来たら捕まると思って、国外に逃亡したらしいのだ。スペツナズはその子供たちを救出して、ロシアに連れていき、親を探して親元に返したり、養親を探したりした。その多くはロシアで誘拐された子供だったというのだけれど、ウクライナの子供もいたのかもしれない。国際刑事裁判所が言っているのは、その子供たちのことなのだろうか?
また、ロシアの諜報は、アドレノクロム製造所がウクライナにあることを発見して、そこに閉じ込められていた子供たちを救出するために、スペツナズが送られたという情報もあった。それによれば、ウクライナの戦争が始まってから、アドレノクロム製造所がアメリカからウクライナに移されてきているのだという。アメリカでは、闇の商売がだんだん危なくなってきているのだけれど、ウクライナは腐敗した軍隊がついているので、闇世界では最も安全な場所になっているのだという話だった。そこで救出した子供たちも、ロシアに送られた。国際刑事裁判所が子供たちの不法移送といっているのは、そのことなのだろうか?
プーチンとともに逮捕状が出たのは、リボワ・ベロワという女性で、この人は大統領府で子供の人権を担当している人だ。この人は、ウクライナから難民としてやってくる親のいない子供たちを受け入れるために、養子縁組を容易にするための法改正に関わったということだった。この人は、スペツナズが救出してくる子供たちの受け入れも、担当していたのだろう。国際刑事裁判所が戦争犯罪者として逮捕しようとしているのは、そのためなのだろうか?
国際刑事裁判所は、やはり英米のグローバル金融エリートの言うなりに動いている機関らしく、これまでアメリカやNATOの戦争犯罪などは、いくら証拠がそろっていても、告発することはなかった。それで、アメリカに都合の悪い国の人権侵害は、少々事実を曲げてでも訴えるのだ。今回のプーチンに対する逮捕状も、アメリカのバイデン政権に強要されてやったのだろうと書いている記事があったけれど、おそらくはそんなことなのだろう。それで、何とかかんとか理屈が通りそうな罪状を考え出したのじゃないかという気がする。
ロシアの大統領報道官のドミトリー・ペスコフは、「こんな訴えは、他の多くの国々もロシアも認めることができません。このような結論づけは、法的に無効であるというのが、ロシア連邦の見解です」と声明を出していた。ロシアは国際刑事裁判所を認めておらず、加盟もしていないので、だからどのみち国際刑事裁判所は、ロシアには何の法的権限もないらしい。この国際刑事裁判所というものが、実のところロシアや中国などのアメリカに都合の悪い国を、人権侵害をする国だとして宣伝するための機関なのだとしたら、ロシアが加盟しないというのは、当然だ。それでいながら逮捕状を出したというのは、よほどの圧力がかかったからなのかもしれないけれど、これは国際刑事裁判所の権威を世界的に地に落す結果になったのじゃないかという気がする。
西側の国では、メディアが一斉にやっぱりロシアが悪いと大騒ぎするだろうけれど、その他の国では、国際刑事裁判所がこんなことをするのかと、一切の信頼を失うようなことになるんじゃないかと思う。西側の国で、主流メディアが嘘をつくのを知っている人たちもだ。私も、国際刑事裁判所はそれでもまだ頼りになるのじゃないかとこれまでは思っていたけれど、今度の件で国際刑事裁判所の本当の姿を見てしまったように思った。ノーベル平和賞と同じで、まずは逆が真実だと思っていた方が、当たる確率が高いというくらいのものなのかもしれない。
ところで、プーチンに逮捕状が出たと思ったら、トランプにも妙な逮捕状が出たというのだから、これは一体どういう符号なのだろう? トランプに出た逮捕状というのも、マンハッタンで起こったある不法行為に責任があるとかいうことなのだけれど、根拠があることのようにも思えない。これもあるいは単なる言いがかりなのかもしれないけれど、何故プーチンとほぼ同時に逮捕状が出るのだろう?
西側のグローバル金融エリートたちにとっては、プーチンとトランプは世界で最もいなくなって欲しい二人なのだと思う。その二人に同時に言いがかりみたいな逮捕状が出るとは、何だかまるで、最後の望みを託して無謀な行為に出たかのように思える。
BRICS諸国が経済力を増していく中で、グローバル金融エリートたちにとっては、ウクライナの戦争はBRICSをつぶす最後のチャンスだったのかもしれない。しかし、ロシアは逃げ切ってしまった。もはやいくら経済制裁をかけても、ロシアは別の領域で流通網を拡大していき、豊かになっていくばかりだ。こうなったら、バイデン政権になってから貧困がひどくなり治安も悪くなっていたアメリカで、次の選挙でトランプが大統領になる確率も高くなる。
ウクライナの戦争が始まるまでの経緯を見ていくと、これはすでに何年も前から計画されていたことなのがよくわかる。それが、トランプが政権を取ったことで妨げられていたのだ。2020年の選挙でバイデンがあんな無茶な不正で押し切ったのも、何としてでもウクライナの戦争を実現させなければならなかったからなのかもしれない。それが失敗して、アメリカはもうウクライナに軍事援助する余裕がないとなったときに、あのお粗末な国連人権理事会の報告が出て、国際刑事裁判所の逮捕状が出、同時にトランプの逮捕予告だ。
私には、これは末期的な行動のように思える。あと数日で冥王星が水瓶座に入り、嘘が通らなくなる時代が来るけれど、それで最後のあがきみたいにこんなことが起こっているのだろうか? あるいはこれが、真実が表に出るためのきっかけになのだろうか?
私にとっては、プーチンの逮捕状は、ロシアは本当に何の戦争犯罪も犯していない証拠だと思えるし、そしてまた、誘拐されていた子供を救出したという話は、陰謀論ではなくて事実なのだということを示しているように思える。すでに真実の力が強くなってきていて、もはや嘘を隠そうとすればするほど、大きく表に出てしまうというようなことになっているんじゃないかという気がする。
2023年3月18日
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【偽旗戦争の20年】
3月20日は、20年前にイラク戦争が始まった日だというので、ロシアの外務省報道官のマリア・ザハロワが、イラク戦争の戦争犯罪について語った動画が拡散されていた。これはまったく「デクラス」と言えるようなもので、イラク戦争が米英による偽旗戦争であったことや、軍事介入の目的に合わない市街への爆撃、市民の虐殺やインフラの破壊などが行われたこと、さらには、政権が入れ換えられたあとに、イラクの古美術品が略奪されたことまで語っていた。
ロシアはこれまでも、アメリカの戦争犯罪について批判してきたけれど、ウクライナの戦争犯罪について、プーチン大統領に言いがかりそのもののような逮捕状が国際刑事裁判所から出されたあとでは、もう何の遠慮もないといった風だった。これ以上、外交関係が壊れようもないのだから、もはや言葉を飾る必要などないのだろう。
20年前にアメリカがバグダッドを空爆し始めたときは、ちょうど2年前に911が起きて、アラブの人間というのは物騒な人々なのだというような思い込みができていたから、これもしかたのないことなのかと思った。だけど、あれから20年が経って、いろいろなことを見てきたあとで、改めてイラク戦争のことを見てみると、この20年間アメリカがどういう手法で戦争をしかけてきたのかが、透けるように見えてくる。そして、あれからすべてのことが、今のウクライナの状況に繋がっていることもだ。
イラク戦争は、イラクが大量殺人兵器を持っているという理由で、2003年3月20日にアメリカ軍が首都バグダッドを空爆して始まった。しかし、イラクは1991年から国連の特別委員会が武器監査をしていて、一度も大量殺人兵器が見つかったことはなかったのだ。ところが、2003年の2月の国連の安全保障理事会で、アメリカ外相のコリン・パウエルが、ガラスの小瓶に入った白いものを見せ、これがイラクで見つかった化学兵器だと言った。バグダッドの大統領宮殿に秘密の化学兵器製造所があるという情報が、秘密の情報機関から入ったというような話だった。
大量殺人兵器が見つかったということになって、国連安全保障理事会の議決なしに、アメリカはイラクに侵攻することになったのだ。国連安全保障理事会では、理事国が拒否すれば、他国への軍事介入はできないことになっているから、その手続きを民主的に踏むならば、戦争などまず起こらないはずなのだ。だけど、その数ヶ月前の2002年11月に、国連安全保障理事会でイラクに大量殺人兵器の廃棄を要求する決議が可決されていた。そこでイラクが大量殺人兵器を隠していたということが判明したので、その決議により、アメリカは侵攻してもいいと解釈した。
それを考えると、その11月の国連決議というのも、実はすでにイラク空爆を行なうつもりでいて、それを可能にする下地作りだったのじゃないかと思えてくる。大量破壊兵器を廃棄させるというだけなら、反対する理由もない。それで、その決議を理由に、大量破壊兵器を隠していることがわかったから、侵攻してもいいという話にしてしまったわけだ。
兵器だという白い粉と秘密の情報機関からの情報だ。それだけをもとに、アメリカはイラクに侵攻したのだ。ロシアとヨーロッパを繋ぐガスパイプライン、ノルド・ストリームの爆破も、ヨットに残った白い粉と秘密の情報機関からの情報だけで、ウクライナのグループの犯行だという話になった。まるきり筋は通っていないけれど、そんなことはアメリカにとってはどうでもいいらしい。
シリアでも、毒ガス兵器が使われているという話でアサド政権が非難された。イランでは、政府が女性のデモを抑圧するために女子生徒たちに毒ガスを使ったという話が世界中で報道された。中国がウイグル人を強制収容所に入れて虐待しているという話も、秘密の情報機関からの情報にすぎなかった。こうしたことは、不法な軍事侵攻を正当化するために、アメリカがいつもやってきた手法なのだ。
アメリカのスコット・リッターは、1998年まで国連の大量破壊兵器特別委員会(UNSCOM)でイラクの武器監査主任を務めていて、イラクには大量破壊兵器はないのを知っていた。1997年にUNSCOMの会長がリチャード・バトラーに変わったとき、スコット・リッターは会長に喚ばれて、ラマダンが始まる前にイラクへの爆撃を開始したいから、いつまでにイラクで何らかの紛争を起こしてきてくれと言われたそうだ。そのことに疑問を持ち、彼は1998年に監査員をやめた。
すると、2003年の2月になって、コリン・パウエルが化学兵器の証拠だという白い粉を見せて、バクダッドの大統領宮に化学兵器があると言ったのだ。これについては、のちにコリン・パウエルは、あれは嘘だったと告白している。彼が情報を得たという秘密情報員は、デタラメを言っただけだったというのだ。実際、イラクに侵攻しても、大量破壊兵器は見つからなかった。それなのに、アメリカは2011年までイラクから軍を撤退しなかったのだ。
ところで、コリン・パウエルがガラスの小瓶を見せて、これが大量破壊兵器の証拠だと言ったとき、そのちょうど5日前に、当時のアメリカ大統領ブッシュ・ジュニアとイギリス大統領トニー・ブレアが秘密の会談を行なっていた。これもまた聞いたような話だ。ノルド・ストリーム爆破事件のことでは、ドイツ首相がワシントンに飛んでアメリカ大統領と密談を交わしてきたら、とつぜんアメリカとドイツのメディアで、ノルド・ストリームはウクライナのグループが爆破したという話が報道されたのだ。イギリスとアメリカは、イラク戦争での主戦力だったのだから、示し合わせてイラクに侵攻する口実をこしらえたのだろうということは想像できる。
根拠のない話でも何でもいいのだ。口裏を合わせてそういうことにしてしまい、侵攻する理由をでっち上げてしまう。それで大統領を処刑してしまい、政権を倒して、好きなだけ略奪しているわけなのだ。あとで嘘だったとわかったとしても、国連も国際刑事裁判所も追究しないことになっているらしい。国連機関の会長が、アメリカが爆撃できるように紛争を起こしてこいと言ったりするくらいなのだから、国連がどういうことになっているのかは想像がつく。
コリン・パウエルは、イラクが炭疽菌を化学兵器として大量に持っていると言っていたのだけれど、炭疽菌といったら、2001年にアメリカで、炭疽菌が入った手紙が何人かの政治家やテレビ局のところに送られるという事件があった。ちょうど911があって、アメリカがアフガンに侵攻した頃のことだ。その手紙には、イスラム教徒がジハードとして行なっているかのような言葉が書いてあった。それで、アルカイダだろうとかイラクだろうとか言われていたのだ。テレビ局と政治家といったら、パンデミックでもウクライナでも、真実を言おうとすると脅しがかかったり、謎の急死を遂げる人もいたりしたから、この炭疽菌事件も、あるいは口封じの脅しだったのかもしれない。911の自爆テロというのも、見る人が見たら、偽旗なことくらい、容易にわかってしまう。それで脅しのために炭疽菌を送りつけたりして、それをイスラム過激派がやったかのように見せかけていたのかもしれない。それが、2003年になって、あの炭疽菌はイラクから来た、という話になったわけなのだ。
911は大掛かりな偽旗だったけれど、あの後ブッシュ政権は、テロへの対応が速やかにできるようにというようなことで、政府が必要と判断した場合、議会の承認を得なくても、戦争ができるように法改正してしまったのだ。その後、アメリカ政府が、ガラス瓶に入った白い粉と秘密情報だけを根拠にしてイラク侵攻ができてしまったのは、そのためだ。それ以来、シリアでもリビアでもセルビアでも、いたるところでアメリカ政府は、出どころがはっきりしない秘密情報から、NATOを出動させて、政権を入れ換え、都市を破壊し、市民を殺害してきた。それを考えると、まさにこのために、911のような大掛かりなテロを演出する必要があったのだということが見えてくる。多くの人々がパニックに陥って、自由に戦争をする権利を政府に与えてしまうような、インパクトの強いできごとが必要だったのだ。
この20年間、世界のいたるところで多くの戦争が起こり、たえずどこかが爆撃されて、難民があふれていった。いたるところで政権が入れ換えられて、国がアメリカの属国のようになっていった。そして、NATOは拡大し続け、ウクライナまでやってきて、今の状況になったのだ。
ロシアのプーチン大統領は、2000年に大統領になったので、この20年の戦争をすべて経験していたことになる。ソ連が崩壊してからプーチンが首席に就くまで、ロシアは西側資本に食い物にされて、経済は崩壊し、政治は腐敗し切っていた。それをプーチンが、腐敗を一掃して建て直してしまったのだ。彼が大統領になった翌年に、911が起きて、アメリカがアラブと東欧を支配し始めたのは、あるいは、何とかしてロシアを弱体化させて、かつてのように腐敗させようとしていたからなのかもしれない。それが今、ウクライナへの軍事介入が始まってから、ロシアはNATO諸国以外の国と協力関係を結ぶことで、アメリカに支配されないネットワークをこしらえてしまった。もういくら経済制裁をかけようが、軍事攻撃しようが、ロシアを従わせることはできない。
それを思えば、この20年は、アメリカによる偽旗戦争の20年であった一方で、ロシアによる解放の20年だったと言えるのかもしれない。2001年の9月25日、ちょうど911があった二週間後に、プーチンはドイツの議会で有名なスピーチを行なっていた。そこで彼は、ヨーロッパはNATOに従うのでなく、ロシアと協力関係を結んだら、ともに栄えていけるはずだということを提案していたのだ。911の本当の原因は、何よりも国と国との互いの信頼関係がなかったからなのだ、と彼は言っている。NATOがどうこういうのじゃなくて、国と国とで話し合って、協力していく道を探していくべきなんじゃないかと。
ロシアの諜報としてずっと仕事をしてきて、彼はアメリカがどういう派遣の力を使って他の国の政治を動かしているかも、よく知っていたのかもしれない。NATOに加盟するとは、国の主権をアメリカに渡してしまうようなもので、するともうその国はアメリカの意向に反して他の国と話し合い、協力し合うようなことはできなくなる。互いの信頼関係で協力していくということが、できなくなってしまうわけなのだ。ほとんどの国が、アメリカの顔色を見ないでは、ロシアと協力関係を結ぶことができない。
多くの国々は、ロシアが独裁的で自由のない国、貧しい国だと思っていたから、ロシアよりアメリカと協力関係を結んだ方がいいと思っていたのだと思う。ヨーロッパは、プーチンの提案をまったく聞き入れなかった。だけどこの20年間、プーチンの考えはまったく変わっていないと思う。彼は、何かのブロックに属するというのじゃなくて、主権を持った国同士で信頼関係を築き、協力し合っていったらいいと言い続けていたのだ。
そして今、ヨーロッパがEUで丸ごとアメリカの支配下に入ってしまったようなことになっていて、ロシアはともかくも主権を保とうとしている国々と、協力関係を広げていっている。それは、言うならばアメリカ覇権主義からの解放の領域を広げていくことなのだ。イラクやウクライナの例を見ても、アメリカはいくら忠誠を尽くしても、不要になったら情け容赦もなく切り捨てるような国だというのはわかる。そういう主従関係ではなく、どこの傘下に入るというのじゃなくて、主権を持つ国同士が、対等な協力関係を結ぶこと。互いに率直に話し合って理解し合い、協力していける道を見つけることだ。
2023年3月20日
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【石油利権による支配】
3月23日に、冥王星が水瓶座に入ると、これまで嘘でできていた構造が破壊されるのじゃないかというようなことが言われていた。そのせいなのか、このところ、これまでの世界がいかに嘘でできていたかを示すようなできごとが続いている。
ガスパイプライン、ノルド・ストリームの爆破事件について、すっぱ抜き報道で有名なアメリカのジャーナリスト、シーモア・ハーシュが、アメリカ政府の指示によって、アメリカ軍とノルウェーの海軍が行なったという調査を公表したあとで、急にアメリカとドイツのメディアが、あれはウクライナのグループの犯行だったことがわかったと言い出したのも、あまりに見え透いた嘘だった。シーモア・ハーシュは、80メートル以上の深さに潜るには、圧力調整用のカプセルが必要だと言っていたし、あれだけの破壊を行なうには、最低でも2トンの爆薬が必要だと言っていたからだ。それなのに、軍隊でもないグループが、積載量3トンのレンタルヨットを使って爆破してきたという話を、アメリカとドイツのメディアがほぼ同時に言い出したのだ。
それに輪をかけたのが、国際刑事裁判所がロシア大統領プーチンに、ウクライナの子供たちを拉致したという罪で逮捕状を出したできごとだった。これは調べてみると、ウクライナの子供たちをロシアに避難させたという話だった。プーチンとともに逮捕状が出されたリボワ・ベロワという女性は、戦闘のあるドンバスで負傷した子供たちを、リハビリのためにロシアに送る手配をしていたということだった。ドンバスのこども病院の外科医は、リボワ・ベロワには、皆とても感謝しているのだと言っていた。彼女のおかげで、ドンバスではできないリハビリを子供たちが受けられることになったのだからと。
このできごとは、国際刑事裁判所がまったく腐敗し切っていることを、世界中に示してしまった。それがちょうど、イラク戦争20周年の数日前のことだったから、プーチンが子供を拉致したと逮捕状を出した国際刑事裁判所は、どうしてイラクでのアメリカの戦争犯罪には一つも逮捕状を出さなかったのか、ということを、世界中の人々が疑問に思ったわけだ。アメリカはバグダッドを空爆して、大勢の市民を犠牲にした。これは完全に戦争犯罪で、ジェノサイドと言えるようなことだ。侵攻の理由だった大量破壊兵器は結局見つからなかったし、たとえあったとしても、そのために市街地を絨毯爆撃するようなことは必要ないのだから、これは明らかに戦争犯罪だ。国際刑事裁判所とは、こんなことがまかり通るような機関だったのだ。公正さなどあったものではない。
すると昨日、EUが国際刑事裁判所に、2022年6月の時点で、ウクライナでのロシアの戦争犯罪について捜査するようにと合計一千万ユーロの資金を出していたという情報が出ていた。円にしたら10億円以上だ。戦争犯罪の調査にどうしてこんな大金が要るのだろう? それだけでもう、これは賄賂や口封じのためのお金だということが見えてしまうのだけれど、その結果が、ウクライナの戦争犯罪については何も言わず、ロシアの方はプーチンに逮捕状を出すというものなのだから、やはりあのお金はそういう意味だったのだとわかってしまう。
ノルド・ストリームはウクライナのグループの犯行だという情報については、今日シーモア・ハーシュが記事を書いていた。3月初めにドイツ首相ショルツがとつぜん記者も顧問も連れずに単独ワシントンに行って、アメリカ大統領バイデンと1時間半の密談を交わしたのだけれど、そのときにアメリカがやったことを隠すために、ウクライナのグループの犯行だということにしろと言われてきたのだということだった。
国際刑事裁判所の逮捕状にしても、ノルド・ストリームにしても、あまりにも見え透いているので、いったい何をあわてているのかと思ってしまうくらいだ。もうそろそろ嘘が通らなくなる時代が来てしまうので、最後の望みを託して、めちゃくちゃな大嘘をついているのだろうかと思えてしまう。
もちろん、西側メディアを信じている人たちはまだ十分いるし、そういう人たちは、こんな見え透いた嘘でも皆信じてしまうのだろう。そのことには、絶望的な感覚さえあるのだけれど、しかしとにかく今は、西側以外の国では、ウクライナの戦争についてロシアが悪いなどとはほとんどの人は思っていないらしい。ロシアは昨年夏くらいから、もう言葉を飾ることもなく、アメリカのやり方を非難しているし、それで多くの人は、これまでいったいどんな嘘がつかれていたかを、知ることになっている。ある意味、西側諸国以外の国では、デクラスはすでに進んでいる。
イラク戦争20周年というので、イラク戦争についてもデクラスと言うべき情報がいろいろと出ていた。2003年に始まったイラク戦争は、その根っこを探っていくと、1978年のホメイニ師のイラン革命までさかのぼる。そのあとのイラン・イラク戦争では、アメリカはイラクを支援していたのに、イラクがクウェートを併合しようとすると、イラクのフセイン大統領はヒトラーだと急に言い出して、イラクを攻撃し始めたのだ。イラクが大量破壊兵器を持っているということで、世界中に経済制裁をかけさせた。当時、イラクの非武装化のために武器監査に行っていたスコット・リッターは、イラクの武器はすでに破壊したと言っていた。それでもアメリカは経済制裁をやめず、フセイン政権を崩壊させようとしていたのだ。それで、大量破壊兵器とかいうのは、単に経済制裁を行なう口実にすぎなかったとわかったと、スコット・リッターは言っていた。
そして結局、大量破壊兵器は見つからなかったのに、アメリカはフセイン大統領を処刑してしまった。それで、アメリカが思うような民主的な政府を作らせたはずだったのだけれど、それでもアメリカはイラクから撤退せず、イラクの油田から不法に石油を奪い続けていたのだ。イラクは治安が悪くなり、経済は崩壊し、貧困がひどくなり、人々はフセイン時代の方がはるかによかったと言っていた。表向きはイラクの民主化のためにということだったけれど、本当はそんなことには何の関心もなかったのだ。アメリカ軍がイラクから撤退したのは、何と2011年のことだった。そのときアメリカは、シリアとリビアに軍を出していたので、それでイラクからは撤退させたということだったらしい。それ以外に何の理由もない。ただ略奪できるだけ略奪していたのだ。
そうしたことを見ていくと、中近東の戦争のほとんどは、実のところは石油利権をめぐって起こっていることが見えてくる。だから、何かと言いがかりをつけて、石油産出国の政権を崩壊させ、支配下においておこうとするのだ。それで、イランやシリアやリビアみたいに、アメリカの支配から出ていこうとすると、独裁国家とか何とか言われて、空爆されることになる。
ところで、石油といったら、アメリカで石油取引を支配しているのは、ロックフェラーだ。ロックフェラーは、石油関連の持ち株のかなりの部分をすでに売ってしまって、かつてのような支配力はないように言われているのだけれど、実はそれは表向きだけのことにすぎないのだと、ロシア在住のドイツ人ジャーナリスト、トーマス・レーパーは書いていた。3年前に始まったパンデミックのことで、お金の動きを追っていくと、すべてブラックロックやヴァンガードのような資産運用会社に行き着くということを言っていた人はたくさんいたのだけれど、実はその先がまだあって、ブラックロックやヴァンガードが運用を委託されている資金の所有者をずっとたどっていくと、これがほとんどすべてロックフェラーと繋がっているというのだ。無数にある組織が、実はロックフェラーの隠れ蓑としてお金のやり取りをし合っているというようなことになっているらしい。だから、ロックフェラーは、表に出ないまま、実は世界中を動かしているのだと。
ロックフェラーは、ハザール・ユダヤ系の金融業者の家系ではなく、ドイツから来たプロテスタント系の移民だった。石油取引の独占で富を作った初代のロックフェラーは、お父さんが詐欺師みたいなことをしていたというのだけれど、彼の商売のやり方は、まさに詐欺師のやり方だ。当時は石油といったら、まだ灯油に使っているくらいだったのだけれど、彼は石油に投資して、他の燃料をことごとくつぶしていった。商売敵がいると、相手の会社が倒産するまで値下げ競争するという悪どいやり方で、独占していった。労働者が労働条件があまりにひどいのでストライキをすると、住居から追い出してしまい、労働者たちがテント村を作って戦い続けると、しまいに軍隊まで手を回して、鎮圧してしまった。そういう調子で、政府にも司法にも軍隊にも手を回して、悪どいやり方を続けていったのだ。
それを見ていると、これは基本的にヤクザのやり方だというのが見えてくる。脅しをかけて、相手を思い通りにしてしまう。お金や脅しを使って、あちこちへ手を回して、誰にも逆らえないようにしてしまう。アメリカが戦争するときのやり方は、まさにそれだ。言いがかりをつけて戦争を吹っかけて、メチャクチャな論理でも、お金と脅しで通してしまうのだ。それを思えば、この100年ほどは、世界はまさにそうしたやり方で支配されてきたことがわかる。
石油から作った製薬で商売をするために、医学大学を作り、医学会を作って、いわゆる現代医療を作ったのも、ロックフェラーだ。自分たちはホメオパシーを使っているのに、それまで一般的だった他の医療をすべてヤクザみたいなやり方でつぶしてしまった。毒だとかまやかしだとか因縁をつけて、商売していけないようにしてしまったのだ。それで、製薬業を始めてまずやったのが、伝染病を予防する薬だといって世界中で実は毒であるものを売ることだった。それがスペイン風邪の流行と言われるものの正体で、それによって、第一世界大戦で戦闘で犠牲になった人よりも多くの人が亡くなったということだった。
彼らは、脅しとお金で人を思い通りに動かすことができるのを知っているのだ。詐欺師とかヤクザがやるのと、まったく同じやり方だ。しかし、こうした脅しやお金で世界中を支配することができてしまったのも、物質的な欠如とか身体的な危険というものに対する恐怖に、大多数の人が共振してしまうような状態だったからなのだと思う。
だからある意味、こうした支配が可能だったのも、200年続いた地の時代だったからなのかもしれないと思う。これまで私たちは、人生には物質的な富が大事で、物資的に欠如したり、身体的に危険にさらされることが恐ろしいことだと思ってきた。だけど、歴史をさかのぼっていくと、ものを失うことや死ぬことさえも恐れない人々がいた時代もある。魂の世界に生きている人々は、物質的なものなど重要ではないことを知っている。そういう人たちにとっては、財産を失うことなどよりも、自分に嘘をつくことの方が恐ろしいのだ。
国際刑事裁判所から逮捕状が出ているときに、プーチン大統領は、中国の首席習近平と握手をして、いくつもの契約書に署名していた。ロシアも中国も、アメリカがヤクザのように言いがかりをつけて支配しようとしてくるのを、何とかかわして主権を保ってきた国だけれど、この二国に手をつながれてしまうのは、世界を支配しようとしているヤクザ組織にとっては、もっとも嫌なことなのだと思う。そうやって手を繋ぐ国が増えれば増えるほど、嘘をばら撒いたり脅したりして、支配することが難しくなってくる。ロシアは他の国と手をつなぐことで、ヤクザがかけてきたあらゆる封鎖や脅しを逃げ切ってしまったわけなのだけれど、それを見たからなのか、BRICSに入ろうとする国が増えているらしい。今、16カ国ほどが加盟を希望しているそうだ。イランもシリアもサウジアラビアも、これまでさんざん石油ヤクザに略奪されてきた国だけれど、これがBRICS側についてしまうと、もはや手を出せなくなってしまう。それで、世界全体を支配する勢いだった石油ヤクザも、勝手にできる領域がどんどん狭まっていくことになってきているんじゃないかと思う。
冥王星が水瓶座に入ったら、世界はどうなるのか?と尋ねてカードを一枚引きしたら、出てきたのは何と正位置の「正義」だった。つまり、公正さ。まさにこれこそが、これまでの世界に欠けていたものだった。見え透いた嘘がまかり通り、裁判所までがお金で動かされるような世界に、私たちはこれまで生きてきたのだ。公正さがあまりにも欠けていたために、私たちは、正しさなどというものは存在せず、人によって見方が違って当たり前なのだとさえ思っていた。正義などということを言う人は、どこか偏っていて古くさいのだとさえ思ってきた。しかし、人がお金や脅しで動かされなくなれば、正しさというものはちゃんと存在していることがわかると思う。そして、それがなくなっていたからこそ、私たちは話が通じなくなっていたのだということもわかるのだと思う。
2023年3月22日
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【文化ギャップを超えていく】
チベットのことが話題になると、中国が弾圧したという話が必ず出てきて、そこで中国に対するさまざまな思いが湧き上がってくることになる。だいたい隣の国というのは、どこでも昔から戦争したりした歴史があるので、根強い敵対意識や競争意識があるのがつねだ。同じような民族であるほど、ちょっとした違いが気に障って、敵対していたりする。だから、オーストリア人はドイツ人が嫌いだし、フランス人はイギリス人が嫌いだ。だけど、嫌いだと言いながら、何かしら羨望もあったりして、コンプレックスを抱えていたりもする。
ところで、ロシア人というのは不思議な人たちで、何人だからといって好きとか嫌いとか考えない人たちらしいのだ。ドイツは第二次世界大戦のときにロシアに攻めていって、さんざんなことをしてきたのだから、ロシアではドイツ人は嫌われてもよさそうなのに、誰もドイツ人だからといって、差別しはしないのだと、ロシア在住のドイツ人ジャーナリストのトーマス・レーパーは言っていた。どうしてなのかと尋ねると、「国がしたことは人とは関係ないでしょ? あなたに責任があったわけじゃないでしょ?」と言うのだそうだ。これは、アメリカ人に対してもそうらしく、今などロシアはアメリカ政府に経済制裁かけまくられて、さんざんな目に遭わされているのに、誰もアメリカ人が嫌いだとは言わない。ジャーナリストがいろいろな人に「アメリカ人は嫌いですか?」と聞いて回る動画があったのだけれど、皆、即座に「嫌いじゃないよ」と答えていた。いったい何でそんな質問をするのかわからない、といった風だった。そもそも何人だから好きとか嫌いとか考えるのがナンセンスだと思っているようだ。
人は誰でも、自分が生まれ育った文化の価値基準でものを考えるので、他の文化に行くと、その価値基準と合わない状況に出くわすことになる。それで、どこの国の人間は態度がでかいとか、生意気だとか、あるいは恐いとか気色悪いとかいう感覚を持つ。それで、日本人だからバカにされているのかもしれないとか、足元を見ているのかとか思ったりする。もちろん、そういうこともあるけれど、多くの場合、それよりも単に文化ギャップのことが多い。これは、親密な関係になればなるほど、微妙な違いが大問題に発展したりする。国際結婚している人たちの夫婦げんかは、ほとんどがその類だと言っていい。だいたいがごく些細なことから始まって、大喧嘩に発展するのだけれど、二人ともどうしてこんな小さなことで、どうしてこんな喧嘩になっているんだかわからない、ということが多い。こういうのは、だいたい微妙な感情表現の文化的な違いから来ているのにすぎない。
どこまでが許容の範囲で、どこからが失礼に当たる、というのが、それぞれの文化で微妙に違うのだ。だから、親密な関係になったときに、「ここまではいい」というギリギリのところに入ってくると、それが相手の文化では「これはもうダメ」というものだったりする。それで、何でこんなことを言うのか、私のことが嫌いなのか、バカにしているのか、と思って、腹を立てる。そうすると向こうは、何でこんなことでそんなに怒るのか、どうしてこんなことでいちいち文句言われなきゃならないのか、と恐くなり、必死で言い返すことになる。国際結婚の夫婦げんかは、ほとんどがそういうのだ。
しかしそれも、私たちが自分の文化の価値基準で世界を見ているということに気がついていないから起こるわけなので、それぞれ違う文化の違うやり方があるのだとわかっていると、いちいちカッカしなくても、ニュートラルに見られるようになる。縄文民族やケルト民族が、広大な範囲で交流していたのは、おそらくテレパシックなコミュニケーションを使っていたからなのだと思う。テレパシーまで行かなくても、意識エネルギーにアクセスして、リーディングしたりチャネリングしたりをした人ならわかると思うけれど、意識エネルギーのコンタクトでは、言語や文化の違いを超えて、人間と人間としてコミュニケーションすることができる。縄文の時代、共通語なんていうものだってないのに、太平洋全域まで交易し合っていたのだから、何かしらテレパシックなやり方で、魂と魂が出会うように交流していたのだと思う。
中国とは、日本人にとって近くて遠い国なのかもしれない。多くの文化を共有している一方で、反目もまた大きい。そしてまた、その距離につけ込んで、たがいに戦争させそうとしているアメリカの組織があったりもする。だから、表面的にどう見えるのかを越えて、テレパシックに見通す力が、また必要になってくるのかもしれない。表面的な感情のレベルで反応するのではなくて、少し深い領域、次元の一段高いところから、状況を見抜くということが、必要なのかもしれない。
中国が少数民族を弾圧しているのかどうかというのは、なかなか微妙なものがある。言われていることには、作られた情報もあれば、誇張しているものもある。それに、情報は正しくても、何をどう解釈するかで、まったく違った絵が見えてくる。証言している人たちも、どれが本当のことを言っていて、どれが演技なのか、どれが信じ込まされているのか、それをどう見分けるかで、まったく違う話になる。そういうときに、潜在的に持っている恐怖感とか、競争意識とか、民族のプライドみたいなものとか、さまざまな心理が作用して、バイアスをかけていく。そして、まさにそうした心理につけ込んで、大衆を操作しようとしている組織があるというのも事実なのだ。実際、この100年くらいの間に起こった戦争のほとんどは、そうした心理操作で起こされていたことが、この頃では表に出てきている。
地球の頭頂チャクラであるというチベットのカイラス山のエネルギーを解放するセッションをやってから、頭頂でも松果体でもなく、ハートが開いた感覚があることに、驚いている。頭頂チャクラの力とは、実はこの無限の愛の力だったのだ。ナザレのイエスは、天の父が無条件に無限の愛を与えているのだということを言っていたけれど、まさにそうした無限の愛が与えられているという感覚があり、それと同時に、ハートから無限の愛が湧いてくる感覚がある。受け取ることは、与えることと同時に起こるのだ。これは、意識エネルギーの領域では、即座にわかる。受け取ると同時に与えている。ブロックが外れて流れができるとき、入ってくるものがあると同時に、外に流れていくものもあるのと同じことなのだ。ただ、循環が起きるのだ。
この無条件の無限の愛とは、何かを悪者にすることとは、ちょうど反対のことだ。何かを悪者にするのは、ハートが閉じる方向にある。しかし、無条件の無限の愛とは、相手が悪いとか正しいとかいうことで区別をしないのだ。だから、無条件の無限の愛を受け取るとき、すべての罪を赦されることとすべての罪のを赦すこととを、自分に許すことになる。
つまるところ、重要なのは、誰が悪いのかを決めることではなくて、いかにして調和を作るかだ。事実をあいまいにするのではなく、一段上の次元から見て、どう調和を作るのかを考えること。その視点こそは、今求められているものなんじゃないかと思う。
3月24日、コソボ紛争のNATO介入の24周年に、ベルグラードのアメリカ大使が、「あのときの恨みをセルビアが忘れられるようにと思います」と言ったのに対して、セルビアのヴチッチ大統領は、「セルビアが存在するかぎり、決して忘れません」と言ったのだそうだ。ユーゴスラビアが分裂して崩壊することになった始まりが、コソボ紛争へのNATOによる不法な介入だった。NATOがセルビアを空爆し、その際に15トンもの劣化ウラン弾を使ったということだった。そのため、セルビアは原爆投下直後の広島長崎よりもひどい状態になっていたそうだ。今イギリスがウクライナに送ろうとしている劣化ウラン弾をだ。
セルビアがコソボを弾圧しているというのが、NATOの軍事介入の表向きの理由だったのだけれど、実のところは、ユーゴスラビアがアメリカ政府が望むように反ロシアのスタンスを取らなかったのが、本当の理由なのだ。それでアメリカ政府は、ユーゴスラビアを切り崩して、NATO側につけようとした。その作戦は見事に成功した。そしてそのために、セルビアに15トンもの核兵器が使われることになったのだ。
このことをアメリカ政府は謝罪してもいなければ、賠償もしていない。本来ならば、戦争犯罪として責任者が裁かれるべきところだけれど、それもなされていない。その状態で、恨みを忘れろなど、あり得ない。忘れるのは、同じことが繰り返されないような状態になったときのことだ。それまでは、しっかり覚えておく必要がある。そしてアメリカ政府は、今のウクライナへの対応を見ても、まったく同じことを繰り返していることがはっきりしている。
一方、2月の国連安全保障理事会で、元CIAのレイモンド・マクガヴァンが、ウクライナへのロシアの軍事介入やノルド・ストリーム爆破のこと、イラク戦争やセルビアの空爆のことまで、デクラスそのものの発言をしている動画が、英語とドイツ語で拡散されていた。彼は、子供たちを犠牲にするようなことを繰り返してはいけないと言い、「敵を愛することを決してやめてはいけない」というアメリカの古い歌を歌って、攻撃ではなく、たがいに手を伸ばすべきなのです、と言っていた。
結局のところ、たがいに理解し合う姿勢がなければ、どちらが悪いのかの議論が延々と続くだけのことだ。どうしたら犠牲を繰り返さないようにできるのか、その地点に立ったとき、相手の立場を理解することも可能になる。これが、テーゼとアンチテーゼの争い終わらせるジンテーゼへの移行ということなので、つまり次元シフトとも言える。
これまで2000年の魚座の時代から水瓶座の時代に入ったということなのだけれど、魚座の時代は、この愛憎絡み合う闘争の経験を私たち人類はあえてやっていたのかもしれない。それが水瓶座の時代になって、たがいに理解し合い、調和を作っていく方向に変わってきているのかもしれない。誰が悪いのかとか、どういう罰にふさわしいのかとかいうことではなく、どうしたら調和するのか、という視点にシフトしていくこと。あるいはこれが集合意識的に起こってくれば、世界は速やかに変わっていくのかもしれないと思っている。
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元CIAのレイモンド・マクガヴァンの国連安全保障理事会での発言(英語)
2023年3月26日
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【グローバリズム=植民地支配の終焉】
ちょうど春分の頃、冥王星が水瓶座に入る直前に、中国首席、習近平がモスクワを訪問して、ロシア大統領プーチンと熱い握手を交わしていた。その画像からは、それが何かとても特別なことなのだということが見て取れた。二人の表情には、ついに大きな念願が叶ったというような、深い感動が感じ取れた。最後に空港へ向かう習近平を、車のところまで見送ったプーチン大統領は、「これは100年来の転換だと思います」と言い、習近平は「私もそう思いますよ」と答えた。
そのときは、その言葉の意味がよくわかってはいなかったのだけれど、その後、中国とロシアの国際関係についていろいろな情報を見ていくうちに、これがけっして誇張ではなかったということが納得できた。これは実際に、この100年ほどの世界の歴史を根底から変えてしまうようなできごとだったのだということが。
3年前に奇妙なパンデミックが世界を支配し、一年前からはウクライナでの戦争に世界が翻弄されたことで、私たちは西側の国々は主権など持ってはおらず、実のところ世界を支配しているグローバル金融エリートの言うなりなのだということを、さんざんに見せつけられた。実際、政府はその数年前からグローバル金融エリートが送り込んだ工作員に乗っ取られていて、その指示通りにしか動いていなかった。それで西側の国では、治験段階ですでに多くの犠牲者を出していた薬の使用が義務付けられるというような恐ろしい事態になり、一年前からは自国の経済を犠牲にしてまで、ロシアへの経済制裁に協力させられている状態だ。政府は、国民のためなどに動いてはおらず、グローバリストの指示通りに動いていたのだから、事実上の植民地支配だ。
第二次世界大戦後、アフリカやアジアの植民地は、民族自決の原則で、それぞれに独立国になることになった。それで、もはや植民地はなくなったはずなのだけれど、これは実のところ、見せかけだけのことにすぎなかった。ロシア在住のドイツ人ジャーナリスト、トーマス・レーパーによると、アフリカの地下資源の採掘は、ほとんどが西側諸国との生産分与契約(Production Sharing Agreement=PSA)という取り決めによっていて、西側諸国の企業が採掘の設備に投資すると、その設備はその企業の所有になり、採掘された資源の75%は企業のものになる。残りの25%だけが、その国のものだ。これは、植民地時代の不平等条約と変わらない。だからアフリカは石油にしても鉱石にしても、非常に豊かな地下資源を持っているのにもかかわらず、世界で最貧の状態なのだ。
つまり、西側諸国は、貧しい国への開発援助という名目で、税金を使って地下資源採掘設備をこしらえ、そして、その権利の75%ほどを企業が持つ、というしくみになっている。西側諸国は、これをグローバル化という名目で推し進めてきた。グローバル化とはつまり、かつて植民地戦争で行なってきたことを、経済侵略で起こっているということだったのだ。
食糧援助についても同様で、西側諸国は食糧援助といって、大規模な農業開発をし、自家採種ができない種類の穀物を導入して、西側からの種や肥料、農薬に依存した農業をアフリカやアジア、中南米で広めている。その結果、その土地の農家は大部分が破産することになった。農家が手放した土地を吸収して、大規模農業はさらに大きくなっていく。これは、経済援助でも何でもなく、独占という名前の植民地支配に他ならない。実際そのために、アフリカは食糧を外国からの輸入に依存することにさえなっている。ところで、土地の農業が機能していたときは、アフリカは食糧を外国に輸出していたというのだ。
そして、アフリカやアラブの国が、地下資源を国有化しようとしたり、外国からの輸入品に関税をかけて、自国の産物を守ろうとすると、自由経済を妨げようとする独裁国家だと騒がれることになる。西側諸国は「民主化のために」という名目で、反政府派を支援、武器援助して、テロやクーデターを起こさせたりもしている。こうしたことが、シリアでもリビアでもイランでも起こった。そのためにアメリカは中央情報局(CIA)を使って、反政府組織を支援したり、でっち上げたり、それが「民主化のため」だという風にメディアを操作して宣伝している。それには、全米民主主義基金(NED)だとか、共産主義受難記念基金だとか、いろいろなアメリカの政府機関も関わっており、アムネスティ・インターナショナルやヒューマン・ライツ・ウォッチなどの人権保護の名目で動いているNGOもある。国連の国際刑事裁判所も、実はそうした目的で動いている機関だったことも、この頃のプーチンに対する逮捕状ではっきりと表に出た。西側グローバリストの利益に反する政治家や組織は、独裁的で、人権無視の弾圧を行なったという事実をでっち上げられ、経済制裁や軍事攻撃の口実にされていたのだ。
ところで、20年くらい前から、状況が変わってきた。ロシアや中国が経済的に強くなってきて、もはや英米のグローバル・エリートが、世界を独占することができなくなってきたのだ。中国やロシアは、共産主義革命によって、経済的に激しく落ち込み、国際影響力を失っていたわけだけれど、この共産主義革命というのも、実は英米のグローバリストによって仕掛けられたという説もある。少なくともロシア革命は、アメリカから大量に送り込まれたハザールユダヤ系ロシア人たちによって起こされたクーデターだったと言われている。それまでロシアは、文化的にも経済的にも、ヨーロッパにとって大きな意味を持つ国だったけれど、それがまったく落ち込んでしまったのだ。それが、20年ほど前から変わってきた。ロシアはソ連崩壊後、資本主義経済を取り入れ、それから10年ほどは西側資本に腐敗させられてボロボロだったけれど、プーチン政権になってから、この腐敗を一掃して、たちまち大きな経済力を持つようになっていった。
そのロシアや中国が、やはりアフリカやアラブ、アジアと経済提携を広げていっているのだけれど、これが西側諸国がやっている植民地主義的なものとはまったく違うものだと、トーマス・レーパーは言う。ロシアや中国は、アフリカのインフラ整備に投資しても、その権利はアフリカの国が持つので、西側諸国みたいにそれで搾取し続けるわけではないし、援助を条件に政府に干渉するようなこともしない。あくまで対等な関係、フェアな関係を保っているのだ。ロシアはアフリカで軍隊の養成もしているけれど、これはアメリカがやっているように、基地を置いてその国を軍事的に依存させ、支配するためではない。アフリカの国が自国を防衛できるようなやり方でやっている。
これは、ロシアや中国がいい国だとかいうことではなく、こうしたやり方こそは、ロシアや中国にとって、主権を保つための唯一の手段だからなのだ。実際、ロシアも中国も、西側から独裁国のレッテルを貼られて、あらゆる経済制裁をかけられている。周辺諸国がNATOの取り込まれていって、軍事的にも脅かされている。実のところ、ソ連が崩壊したのも、アメリカが軍備競争を仕掛けてきて、それをソ連が破産するまでやったからだった。これも経済競争で独占していくやり方と同じなのだ。相手が破産するまで追い詰めていく。破産したら、吸収して、さらに独占を広げていく。かくして、ソ連崩壊後、アメリカはNATOを東へ拡大していき、ついに隣の国までNATO軍が駐在するというようなことにまでなった。
ロシアや中国にとって、西側の覇権主義から国を守り、国の主権を保つためには、他の主権を保っている国々と提携していくしかない。それぞれの国が主権を保っていてこそ、西側のグローバル化という隠れた植民地主義に抵抗することができるからだ。それぞれの国が、自立した経済を持ち、自立した政治、自立した防衛システムを持って、国の人々の利益になるように国を運営していることが重要だ。それでこそ、国民と政府とが信頼関係によって繋がり、強い結束を持って、他の国からの覇権主義に抵抗していくことができるからだ。
この20年ほど、ロシアや中国は、アフリカやアラブとフェアで対等な経済関係を作ってきた。西側諸国にさんざん搾取されてきたアフリカとしては、それなら西側などと関係を結ばずに、ロシアや中国と関係を結んだ方がいいと考える。実際、ロシアがウクライナに軍事介入したとき、アメリカは世界中に経済制裁を呼びかけたけれど、アフリカはどこも協力しなかった。経済制裁に協力したのは、いわゆる西側諸国と日本くらいだったのだ。他の国々は、その後もロシアとこれまで通り貿易を続けたし、ヨーロッパがロシアに対して経済制裁かけたおかげで、その分、アジアやアフリカとの流通が増大し、たがいに豊かになったくらいだった。
これまで、アメリカ中央情報局が恐くて、言うなりになっていた国も、ロシアがアメリカとの経済制裁戦に勝ったのを見て、ロシアと提携して行こうとし始めている。サウジアラビアは、初めて石油取引をドル以外の通貨で行なうことを承諾した。さらにサウジアラビアは、中国の仲介でイランと国交を回復し、シリアとも国交正常化した。エジプトはBRICSの加盟を希望しており、今やBRICS加盟希望している国は、16カ国ほどもあるという。これでアラブの石油産出国の大部分は、ロシアの側につくことになる。
習近平がモスクワ訪問したのと同じ頃、モスクワではアフリカ会議も開催されており、そこには40カ国もの国が、首相や外務大臣クラスの代表者を送っていた。これほどの人物が集まったのは、他には国連総会くらいのものだという。アメリカのバイデン政権は、アフリカに550億ドルも出すといって、アフリカ・サミットを開催したけれど、アフリカの国々の反応は冷めたものだったそうだ。アフリカはこれまでアメリカが資金を出すというと、あとで結局だまされて乗っ取られただけだったというような経験を何度もしているから、警戒しているのだ。だけど、ロシアはこれまでのことで信頼があるから、プーチンがモスクワに招待すれば、どの国も熱心に集まってくる。ロシアはその場で、アフリカに対して総額200億ドルもの負債を帳消しにしさえした。ロシアにとっては借金の肩に何かを得るよりも、アフリカが自立でき、強くなることの方が重要なのだ。まさにそれによって、たがいに主権を守り合うことができるからだ。
そうした背景が見えてくると、習近平がモスクワを訪問して、プーチンと硬い握手を交わしたのは、本当にこの100年の歴史が引っくり返るくらいの大きな転換を意味していたのだということが、よくわかる。これは、英米の植民地主義的なグローバリズムに対抗する力をもった、世界的なネットワークができたということを意味しているからだ。ロシア外相ラブロフが、「一極支配は崩れ、もう戻っては来ない」と宣言してからちょうど一年ほどが経つ。多極化の世界は、ついにユーラシア大陸の大部分を占める2つの大国が手を結ぶところまで来たのだ。ここまで来たら、この多極化の波が世界中に波及していくのは、もう時間の問題だと思う。この100年ほど、世界中を支配し続けてきた西側グローバル・エリートたちは、遅かれ早かれ支配を手放すことになり、主権を取り戻した国々が、これまでの搾取から解放されて、栄えていく時代が直にくるはずだ。
2023年3月28日
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【神風とはなるものじゃなく、吹くものだ】
ロシアのニコライ・パトルシェフという人は、安全保障会議の書記だというから、つまり軍事にくわしい人なんだと思う。その人が、今の国際状況についてインタビューで語っていることがとても興味深いというので、ロシア在住のドイツ人ジャーナリスト、トーマス・レーパーがドイツ語に翻訳してくれていた。
そのインタビューでは、アメリカで行われる民主主義サミットのことを聞いているのだけれど、パトルシェフは、アメリカは自分の利益に反する国は、民主的でない国だと言って、攻撃する理由にしているのだということを言っていた。それは、イラク戦争でもシリアやリビア、コソボでもそうだったからよくわかる。アメリカの側について、アメリカの望むように動く国以外は、民主的でない、独裁国家ということになるのだ。それで、言論の自由が弾圧されているとか、少数民族が弾圧されているとか、人権を侵害しているとか、いろんなことが理由に挙げられるのだけれど、このすべてをこれまでアメリカ政府ほどたっぷりやってきた国など、他にはちょっとないくらいだ。現に、ジュリアン・アサンジュは今だに囚われたままだし、大統領でさえも、SNSから締め出すようなことがまかり通ってしまう国なのだ。
「自由のために」戦うというのも、実のところ自由競争が可能な状態にするということを言っていて、つまりアメリカのグローバル企業が自由に市場に入り込んで、政治家を買収したり、ロビー活動をしたりできるような国にするということなのだ。それができない国は、自由がない独裁国家だということになる。「自由のために」「民主主義のために」と言って、アメリカ政府は世界中の国をアメリカのグローバル企業が食い物にできるようにし、それによって政府を腐敗させて、自由に操れるようにしてしまう。それがアメリカ政府の言う自由であり、民主主義なのだ。
何よりもアメリカが標的にしているのがロシアと中国で、その周辺の国々に、ロシアや中国が侵略してくるというような恐怖を掻き立てて、敵対させている。パトルシェフが、そのことで今の日本の地政学的な状況について語っているのが、とても興味深かった。日本の中から見ていると、ロシアや中国は外にあって、脅威にも思える存在だと思うけれど、視点を変えて、外から日本とロシア、中国、そしてアメリカの状況を見てみると、こういうことになるのだ。もちろん、パトルシェフの見方がどこまで合っているのかはわからないけれど、状況がこういう風にも見えるのだということは、知っておいてもいいと思う。
パトルシェフ:「ワシントンは、第二次世界大戦と独立運動のあとで、アジアが安定したことも気に入らないんです。アメリカのインド太平洋戦略は、アジアのNATOを作ろうという試みです。この新しい軍事同盟は、中国とロシアに敵対する軍事ブロックを作り、同時に国々の平和を守るというものです。
オーストラリア、イギリス、アメリカの新しい軍事同盟AUKUSで、オーストラリアの海軍に原子力潜水艦を含めた再軍備や、台湾や韓国への軍事援助をしていますが、これはユーラシア大陸でのアメリカとNATOの支配力を東側から固めようという長期的な目標を持っています。
ワシントンは、東京に圧力をかけて、再軍備させました。日本の自衛隊は、軍事攻撃ができる軍隊になることになります。これはすでに法的にも有効です。第二次世界大戦から得られた最も重要な成果をぶち壊すものとなります。岸田首相は、アメリカから400機のトマホークミサイルを購入し、攻撃用の武器とすると言っています。
ワシントンは、日本を再軍備するだけではなく、1945年に消えてなくなったはずの軍国主義精神を再燃させようとしています。この島国の人々は、また他人の利益のために死ぬ神風ファイターにさせられたいように思えます。20世紀の初め、日本がどんな風にしてソ連と中国を攻撃したか、そしてしまいに、アメリカ、イギリスとその同盟国に武器を向けたということを、西側諸国は思い出すまいとして、口をつぐんでいます。」
緊急事態条項が成立して、日本が軍事攻撃できる軍隊を持つことになるのも、つまりはアメリカ政府の対中国・ロシア戦略に利用するためだということなのだ。これは、ヨーロッパも今まさに同じ状況だ。アメリカ政府は、ロシアを弱体化させるために、ヨーロッパも日本も犠牲にしようとしている。ヨーロッパでは、ウクライナが犠牲になっているというイメージがメディアでこれでもかというくらいに作り出されていて、テレビを信じている人たちは、ロシアが恐ろしい敵だと思い込んでしまっている。もしウクライナが戦争に負けたら、ロシアがヨーロッパまで侵略してくるかのように思わせているのだ。これとまさに同じことが、日本では中国に対して行われているということになる。
ウクライナの状況を見ていてわかるのは、まわりの国が警戒して軍備を増強すればするほど、ロシアはそれに対して軍隊配備せざるを得なくなるということだ。まわりの国で核ミサイル配備すれば、ロシアもその国が射程に入るところに核ミサイルを配備するしかない。そうやって、警戒すればするほど、ロシアは現実的に脅威になっていく。同様に、日本が中国が射程距離に入るようなミサイルを配備すれば、中国も日本に向けたミサイルを配備しなければならないことになる。これだけでもすごいお金がかかるし、国際関係の緊張が一気に高まりことになる。結局、得をするのは、武器を売っているアメリカだけだ。
アメリカは、ヨーロッパがロシアと協力関係を結んでしまったら、もう思い通りに支配できなくなってしまうので、それを何とか避けようとして、たがいに戦わせようとしているわけなのだ。日本と中国も同様だ。結束されたら、もはやアメリカには太刀打ちができなくなる。軍事的にも、経済的にもだ。だから、しきりと中国は恐ろしい国だという印象を作り出すために、ありとあることをしている。CIAはまさに、そういう印象操作のためにものすごい資金を使っている。
3年前に奇妙なパンデミックが始まってから、ほとんどの人々がどれだけ印象操作に弱いのかということも、私たちはさんざん見てきた。だから今、日本人がまた神風ファイターに自分からなってしまっても、止めようもないのかもしれない。しかし本来、神風というものは、日本人がなるものではなくて、吹くものなのだ。台湾がきなくさいことになる前に、風向きが変わって、バイデン政権が崩壊するなり、米ドルが崩壊するなりして、日本が戦闘から守られることを祈っている。
翻訳の原文(トーマス・レーパーのドイツ語訳)
Washington ist auch von der Stabilität in Asien, die aus dem Zweiten Weltkrieg und den Befreiungsbewegungen resultiert, nicht begeistert. Die indo-pazifische Strategie der USA ist der Versuch, eine asiatische NATO zu schaffen. Das neue Bündnis wird ein weiterer aggressiver Block sein, der sich gegen China und Russland richtet und gleichzeitig die nun unabhängigen Staaten befrieden soll.
Die Wiederaufrüstung der australischen Marine im Rahmen des neuen AUKUS-Bündnisses, einschließlich der Lieferung von atomgetriebenen U-Booten, sowie die militärische Unterstützung Taiwans und Südkoreas haben das langfristige Ziel, die Vorherrschaft der USA und der NATO über Eurasien an dessen Ostflanke zu etablieren.
Washington hat Tokio zu einer neuen Militarisierung gedrängt. Die japanischen Selbstverteidigungskräfte werden zu einer vollwertigen Armee, die in der Lage ist, offensive Operationen durchzuführen. Das ist bereits im japanischen Gesetz verankert, was einen eklatanten Verstoß gegen eines der wichtigsten Ergebnisse des Zweiten Weltkriegs darstellt. Ministerpräsident Kishida hat erklärt, dass sein Land 400 Tomahawk-Marschflugkörper von den USA kauft und sich auf Angriffswaffen stützt.
Neben der Bewaffnung Japans versucht Washington auch, den Geist des japanischen Militarismus wiederzubeleben, der 1945 ausgerottet zu sein schien. Man hat den Eindruck, dass die Bewohner des Inselstaates wieder zu Kamikaze-Kämpfern gemacht werden wollen, die für die Interessen anderer sterben. Die Westler wollen sich nicht daran erinnern und verschweigen geflissentlich, wie deren Aggressivität zu Beginn des 20. Jahrhunderts gegen die Sowjetunion und China eingesetzt wurde und dass die Japaner ihre Waffen schließlich gegen die Amerikaner, die Briten und ihre Verbündeten gerichtet haben.
2023年3月29日
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【トランプのときに戦争が起こらなかったわけ】
トランプ政権だったら、ウクライナの戦争は起こらなかっただろうということは、何人もの人が言っていた。実際、トランプが政権を取っていた4年間、新しい戦争は一つもなかった。こんなことは、それまでのオバマ政権でも、その前のブッシュ政権でもクリントン政権でもなかった。アメリカの大統領は、任期中に必ず大きな戦争を始めることになっていたのだ。
ヴォヴァン&レクサスというロシアのいたずら電話グループに引っかかって、トランプ政権下の国防長官であったマーク・エスパーが、ウクライナの元大統領ポロシェンコと話していると思い込んで、暴露していたことがある。彼もまた、トランプだったらウクライナの戦争は起こっていなかった、と言っていた。エスパーとしては、NATOを東へ拡大したかったところだけれど、トランプはそれどころか米軍を引き上げようとしていたのだそうだ。
まったく、実に単純な理由だった。NATOが挑発しなければ、戦争は起こらない。ウクライナの戦争が始まってから、表で言われていることと、現実に起きていることとがどれだけ違うのかを私たちは見せつけられてきたわけだけれど、それを通して、戦争はメディアで言われているような原因で起こっているのではないことを、私たちは知ることになった。実のところは、アメリカ政府が裏でしかけていた偽旗や挑発によって、戦争が引き起こされていたのだ。トランプはその挑発を行わなかった。だから、戦争が起こらなかったのだ。まったく単純に、それだけのことだった。
2021年にバイデン政権に変わってから、夏頃にとつぜんアフガンから米軍が撤退した。だいたいブッシュ政権のときに始まったアフガン戦争のあと、どうしてまだアフガンに米軍がいたのかもよくわからないのだけれど、どういう理由でだか、とにかくそこにいたのだ。そして、アフガンの代わりに、ウクライナに数千人の軍が送られた。
これがすでに、ロシアにとっては大きな挑発だったのだ。東西の壁が崩れたとき、ロシアと西側との間には、NATOをこれ以上東に拡大せず、東欧は中立国とするという合意が交わされていた。それが破られ続け、NATOは東へと拡大していっていた。ウクライナは中立国であるのにもかかわらず、訓練という名目で、NATOはつねに駐留していた。そして、ロシアを仮想敵国として、ウクライナを武装させていたのだ。ウクライナ軍によるウクライナ東部への攻撃は2014年から続いていたけれど、バイデン政権がさらに数千の軍を送り、それが強化されることになった。
ロシアがそれに対して、安全保障協定を結ぶことを提案したのに、これが無視された。そればかりではなく、ドンバスへの攻撃がその後、挑発的に激しくなった。そのためロシアは軍事介入せざるを得なくなった。そして、ドンバスの共和国を正式に独立国として認め、軍事援助の協定に従って、ウクライナに軍を出動させた。
これまでの戦争もそうだったのだけれど、メディアは相手国が侵攻してきたところからしか語らない。どういう挑発を受けて、軍を出すことになったのかは、視聴者に知らせないのだ。それで、まるでとつぜん領土が欲しくなって侵攻してきたかのように報道する。だから、アメリカのどの政権のときに戦争が起こるのかなどは、偶然でしかないように私たちは思ってきた。たまたま起こってしまったから、対応しているのだろうと思っていた。ところが、そうではなかったのだ。戦争が起こるのは、アメリカ政府が密かに挑発していたからだった。
ウクライナの戦争は、2014年の前からアメリカ政府がずっと計画してきたことだったらしい。本当ならば、オバマ政権のあとでヒラリー・クリントンが大統領になって、ウクライナの戦争を起こさせるつもりだったのだろう。それがトランプが政権についてしまったので、アメリカの戦争屋たちは、4年間も待たされたというわけだった。それもあって、何とかしてトランプを政権から追い出そうとしたのかもしれない。バイデン政権になってから、ウクライナの戦争へと、実は着々と計画が進められていっていた。
トランプは、NATOを東欧から引き上げようとしていただけでなく、イラクとシリアからも米軍を撤退させていっていた。韓国からも軍を引き上げるつもりだった。しかし一方では、トランプはかなり戦闘的なこともしていて、そこには大きな矛盾があるように見える。
たとえば彼は、ロシアとの間に1987年に締結された中距離核戦力全廃条約を、2019年2月に一方的に破棄している。この条約によって、ロシアとアメリカが核ミサイルを撤廃させていき、核戦争の脅威が減っていたわけなので、アメリカの条約破棄は、一気に緊張を高めることになった。破棄した理由は、ロシアが巡航ミサイルを開発しているからということで、トランプはロシアを非難していた。NATOを引き上げようとする一方で、この条約破棄は、まるで正反対の方向なように見える。トランプのこうした行動によって、彼もやはり戦争屋の仲間ではないかと言っている人も多い。
しかし、この事態には、どうも裏があるようだ。実のところ、この条約にはトマホークミサイルが含まれていなかった。地上からのミサイルだけが規制されていたので、潜水艦や軍艦からのミサイルには何の制限もないままだったのだ。NATOは、ロシア周辺の海域につねに潜水艦や軍艦を配備していたわけなので、実のところ、この条約はロシアに核ミサイルを持たせないようにするためだけのものだったと言える。それに、この条約が有効だったコソボ戦争のときにも、NATOはセルビアを空爆するのに、劣化ウラン弾を使って土地を放射能汚染させていたわけなので、実際に核兵器の脅威をなくす役にはまったく立っていなかったのだ。
だから、トランプによるこの条約の破棄は、ロシアに対して戦闘的であるように見えて、実のところはNATOの隠れた挑発に対して、ロシアが対応できるように核武装することを可能にしていたということになる。
トランプがイラン核合意から離脱したことも、それに似たものがある。イラン核合意というのは、イランが核開発をやめる代わりに、イランに対する経済制裁をやめるというもので、アメリカだけでなく、いくつもの西側諸国との間で結ばれた。それにより、周辺の国々はイランの核の脅威にさらされることがなくなっていたわけなのだけれど、トランプは、イランが核開発していると非難して、合意から離脱し、イランに最大級の経済制裁をかけるべきだと言った。
しかしその結果、イランが核開発できるようになり、今やイランは世界最高の軍事技術を持っている。そのイランがロシアに武器を輸出して、そのためにロシアはウクライナでのNATOの攻撃に対応できている。そして、まさにそうしたことがあったために、ロシアは西側の経済制裁戦を生き延びて、今やBRICSが米ドル支配を破る勢いになっている。それを考えるならば、イラン核合意の離脱は、実はイランに対する攻撃ではなかったことがわかる。
こうしたことは、アメリカも一枚岩でできているのではなく、いわゆるディープステートと呼ばれる闇組織が世界中で戦争を起こして、アメリカ国民の税金と人命とを犠牲にしているということが見えていないと、見えてこない。この闇組織は、軍需産業と石油の独占で大儲けし、その資金を使って、人々を操作し、さらに戦争を起こしているのだ。そしてアメリカには、この勢力からアメリカを解放しようとする勢力もまた存在する。トランプを担ぎ出してきたのは、そうした人たちだった。
そうした観点から見ると、トランプは言葉通りのことを言っているのではなく、実は大芝居を打っているように思える。実際ディープ・ステートは、どんな手段も使って相手を出し抜くような相手なので、正論を述べていたのでは、とうてい勝ち目はない。平然として大芝居を打てるような人物でなければ、どうにも歯が立たないような相手なのだ。そしてトランプは、そうした組織を相手にして、4年間どこにも新たな戦争を起こさせず、中近東も落ち着かせてしまったというのが事実だ。
トランプの政策には、他にも矛盾しているように思えることがいくつもある。シリアから米軍を撤退させておきながら、油田を守るためにと米軍を残して、しかもアメリカの石油業者に操業させると言っていたという話もそうだ。この石油は、タンクローリーでイラクに運ばれていたというのだけれど、反アサド派のシリア民主軍に送られ、IS掃討のために使っていたと、トランプの報道官は言っていた。何が真相なのかはわからないのだけれど、とにかくこのあと、クルド人問題は解決し、アサド政権はシリアのほとんどの領土を回復し、トルコとシリアとの関係も落ち着いた。トランプは表向きアサド政権に敵対していたのだけれど、結果的にはアサド政権を支援するようなことになったのだ。シリアの戦争も、つまりはディープステートがクルド人やイスラム過激派に武装させて、テロを起こさせることで起きていたわけなので、それをトランプは、テロリストの一掃に限定していたのじゃないかと思う。そして、米軍がシリアに再び空爆を行なったのは、バイデン政権に変わった2021年2月のことだった。
トランプの台湾と中国に対する政策も、一見戦闘的なのだけれど、これも実は目指しているところは別なことだったのかもしれない。台湾についても、多くの人はやはりウクライナと同じことを言っている。トランプが政権についていたら、戦争は起こらない、と。トランプ政権のときに何が起こっていたかを見ていくと、確かにそうなのだろうと思う。戦争が起きるのは、ディープステートが挑発させているからだけなのだ。そこのところが見えていれば、トランプが政権についていなくても、私たちは戦争を起こさせないようにすることもできるのじゃないかと思う。
2023年3月31日
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【バナナ共和国になったアメリカ】
アメリカの元大統領トランプに、マンハッタンの法廷から起訴状が出たというので、この頃SNSが騒然としている。実に奇妙なのは、起訴の内容が公開されていないということなのだ。一体どういう法律で、内容が知らされていない起訴状で人を逮捕したり、身柄拘束することができるのかわからない。裁判所に出頭したら、初めて内容が公開されるというのだ。つまり、身柄拘束しておいてから、起訴の内容が明かされる。しかもそれを、テロリストみたいな危険な犯罪者ではなく、元大統領にやろうというのだ。
アメリカはバナナ共和国になってしまった、というのが、多くの人々の感覚だった。アメリカは世界で最も自由で民主的な人権が守られる国だったはずだ。もちろん、それが表向きだけのことだったというのも確かなのだけれど、とにかく司法で権利を守ることができるという信頼感はあった。ところが、それももうアメリカにはないことが世界中で明らかになってしまったのだ。どういう理由なのかも明かさないで人を逮捕するなど、独裁国家でしかあり得ないし、独裁国家どころか、人権の概念も民主制の概念もよくわかっていない、アフリカのどこかのできたての共和国のできごとのようだ。
少し前に、ロシア大統領のプーチンも、国際刑事裁判所から逮捕状が出て、大騒ぎになっていた。しかしこのときは、起訴の内容が公開されていたから、ロシア側は、それは事実ではないと回答し、さらにはロシアは国際刑事裁判所に加盟していないのだから、逮捕状は無効だと言った。逮捕するなら、モスクワに来てみろ、とプーチンは笑っていたという話もあったけれど、事実かどうかはわからない。いずれにしても、プーチンは当時、中国の首相習近平をモスクワに迎えたところで、逮捕状のことなど頭にない様子だった。それよりも、ロシアと中国が手を組んだということのインパクトの方が強くて、逮捕状のことなど、もう忘れられてしまったかのようだ。あのあと世界は、アメリカの支配から離脱して、中国とロシアに提携しようという動きが雪崩のように起きて、わけのわからない国際刑事裁判所の決定など、もうどうでもよくなってしまった風だ。
そんなこともあったので、今度は起訴状の内容を公開しないで起訴しようということになったのだろうか? フロリダの州知事は、引き渡しに協力しないと言っているのだから、トランプは非公開の起訴状などに応じられないと言って、逆に裁判所を訴えて、済ましていてもよさそうなものだ。それなのにトランプは、マンハッタンの裁判所に出頭するつもりでいるという。
マンハッタンは、民主党の陣営で、つまりは敵の陣地のようなものなので、そんなところに行ったりしたら、何が起こるかわからない。身を守れなくなるのだから、どうかニューヨークには行かないで欲しいと、海兵隊のスミス将軍がトランプを止めたという話があった。しかしトランプは、ちゃんと計画があるからと、答えたそうだ。
ちょうど復活祭前の受難週に入ろうとしているところで、まるでエルサレムに向かうナザレのイエスみたいな話だと思った。イエスの弟子のペトロは、エルサレムに行ったりしたら、彼を敵とみなしている律法学者たちが何をしてくるかわからないのだから、どうか行かないで欲しいと頼んでいた。だけどイエスは、どうしても行くと言ってエルサレムに行き、そのうえ聖堂に入って勝手に説教したり、聖堂前の市場を蹴散らしたりと、あからさまに挑発しさえした。それで逮捕される事態になり、結局何の罪も証明することができなかったのに、磔刑にかけられるはめになってしまったのだ。
ちょうど今日、復活祭の一週間前の日曜日が、イエスがエルサレムに入城したと言われる日で、次の金曜日には逮捕されて、磔刑にかけられたことになっている。イエスがエルサレムにいたとされるまさにその週に、トランプは敵の陣地であるというマンハッタンに出向こうというのだ。
一体何が起こるというのだろう? これは来年の大統領選挙を妨害するための工作だと、トランプは言っていた。しかしこれは逆効果に終わるだろうと。事実、起訴のニュースが出てから、数日の間にトランプの選挙キャンペーンの口座に、すでに4百万ドル以上もの寄付金が寄せられたらしい。分裂していた共和党も、一気に結束を固めた様子だ。まずは、彼を起訴したマンハッタンの検事アルヴィン・ブラッグをやっつけ、それからジョー・バイデンをやっつける、とトランプは声明を出していた。これは不正と腐敗にまみれたできごとなのだから、向こうの方がよほど黒いことははっきりしている。
起訴状の内容は、30点以上の違法行為にわたっていて、それについてマンハッタンの陪審員たちは、一人の証言者の訴えを聞いて、起訴を決めたということだった。その証言者の名前も明かされていない。30点以上もの罪状をたった一人の証人から判断するなどというのも、実にあやしげな話だ。起訴した検事のアルヴィン・ブラッグは、この調査のための資金をバイデン政権から受け取っているという情報もある。裁判では、ポルノ女優のストーミー・ダニエルが、トランプの元弁護士マイケル・コーエンを通してトランプから13万ドルの口止め料をもらったと証言することになっているというのだけれど、この女優はジョージ・ソロスから百万ドルを受け取っているという情報がある。ソロスという人は、プロパガンダやスキャンダルをこしらえるのが得意な人らしく、あっちこっちの裁判官に巨額のお金を渡しているのだそうだ。お金をもらった裁判官たちは、明らかに腐敗があっても、民主党の政治家たちを誰も検挙しないらしい。実際、証拠のラップトップが見つかっているハンター・バイデンも起訴されていないし、エプシュタイン島の搭乗リストに乗っている政治家たちも、誰一人起訴されていないのだ。2021年1月6日の議事堂乱入事件では、警備につき添われるように平和的に歩いている人々の画像がたくさん出ているのに、あのとき逮捕された人たちは、未だに釈放されていない。アメリカの司法は、巨額のお金にまみれて、すっかり民主党と癒着してしまっているのだ。
だから、もし何らかの方法で司法を正すことができるのなら、これは確実にバイデン側の完全敗北に終わる。トランプを有罪にするどころか、この起訴に関連するすべての腐敗がズルズルと表に引き出されて、バイデン政権は完全に崩壊することになる。
仮にトランプが有罪判決を受けても、控訴して最高裁まで行ったときに、トランプが憲法上まだ大統領であるということが判明して、よって逮捕することはできないという判決が出るのだということを言っている人もいた。これも、もし最高裁が公正な判決を下すのならば、だ。大統領選の不正についても、あれだけ証拠が出ているのに、最高裁は不正はなかったと判決を出したくらいなのだから、最高裁まで完全に腐敗していることはもうわかっている。トランプ側は、裁判が公正に行われることは、まったく考えに入れていないという。しかし、仮にもし最高裁が公正な判決を下せる状態になったとすれば、確かにその場で、トランプが実は今でも正式なアメリカ大統領であることが公にされ、バイデン政権が不法な乗っ取りであったことが明らかにされることになる。
事実、トランプは今でも、声明に「第45代アメリカ大統領」と署名している。それは、2021年1月6日の議事堂乱入事件のときに、反乱法が発動されて、国が暫定軍事政権に委ねられることになったからだというのだ。この法律は、政府が外国勢力に乗っ取られたような緊急事態に、軍隊が憲法と国の主権とを守るために、政権を取るというものだ。民主的な手段を尽くして、司法でも議会でもどうにもならない場合、軍隊が民主的な決定が行われるための秩序を回復する責任を負う。あの1月6日の時点で、最高裁判所も不正を認めず、議会も調査を拒否するという事態になり、暴動が起こった。それで、反乱法が発動されたというのだ。
大統領選の不正は、外国のエージェントもまた関わっていて、開票機のコンピュータがオンラインでドイツやバチカン、イギリスなどから操作されていた記録があるという。そうやって政府が乗っ取られ、巨額の税金が外国の組織の利益のために使われ、アメリカ国民の生活が犠牲にされているのだから、これは戦争と同じことなのだ。軍隊とは、石油利権のために外国の街を爆撃するためにあるのではなく、国の憲法と国民を守るためにある。選挙が外から操作され、司法も議会も乗っ取られているとなったら、軍隊には法の秩序を取り戻す責任があるのだ。
1月6日以降、ワシントンDCに軍隊が配備されて、議事堂とホワイトハウスを鉄柵で囲い、5000人ほどもの州兵が駐留していた。その中でトランプは、大統領専用機であるエアフォースワンに乗って、ホワイトハウスを去ってフロリダへ移った。そのあとでジョー・バイデンは議事堂で就任式を行なったことになっているのだけれど、実はそれは映画撮影用に作られたレプリカで、バイデンはワシントンDCの議事堂で就任式を行なってはいなかったし、ホワイトハウスに入ってもいないのだという。バイデンが乗っている飛行機は、大統領専用機であるエアフォースワンではなく、別な飛行機を似たように見せかけているのだそうだ。
あのときはまさかそんなことがと思ったけれど、この一年、ウクライナの戦争の報道で、まったく事実と逆なことが報道され続けているのを見てきたから、メディアと政府がいかに虚構の現実を作り上げるのかも、よくわかる。バイデンの就任式の画像も、世界中の多くの人々が分析していたけれど、その日のワシントンの気象キャムに映る空模様ともまったく違っていたし、建物の周囲には州兵も鉄柵も映っていなかった。それに、同じ人の服の色が違っていたり、衛兵が記章をつけていなかったり、おかしなことだらけだった。それに何より、出席している民主党の政治家たちが、喜んでお祝いしているといった華やかな様子がまったくなく、まるでお葬式に出ている人たちのような浮かない顔つきをしているばかりだったのだ。
反乱法の発動が事実だとすれば、アメリカはあのときからバイデン政権に移ったのではなく、実はあれからずっと内戦状態で、暫定軍事政権がバイデン政権と戦い続けている最中だということになる。そのために海兵隊が、政府を乗っ取っている人物を、国家反逆罪で逮捕しているということで、誰が逮捕されてガンタナモのキャンプに拘留され、軍事裁判にかけられたというような情報が、いろいろと漏れてきている。そして事実、その頃から当の政治家がどうも本人とは思えない姿かたちに変わっていて、それから直に辞任して表にあまり出なくなったりしている。そのことからしても、逮捕されたというのはやはり事実で、それを隠すために替え玉が据えられたのだろう。その他にも、地下で戦闘でもあったように、あちこちでおかしな地震があったり、ワシントンDCから子供たちが大勢バスで避難していたのを目撃した人がいたりもした。2021年は、そういう画像がSNSでさかんにシェアされていた。
トランプはマンハッタンの裁判所に出頭して、何をするつもりなのかはわからない。それに、向こうがどう出るのかもわからない。これまでのトランプのやり方からしても、表面的な考えではちょっとわからないような、深い計算があるのだろうと思う。ロシアと中国が手を組んで、BRICSへの加盟希望国が急増し、米ドルの信用が地に堕ちている今、このトランプ起訴のニュースは、西側以外の国では、アメリカとの協定からの離脱を加速することになると思う。これはもうアメリカも崩壊寸前だということを示してしまっているし、何よりもアメリカが唱える自由だの民主主義だの人権だのが、まったくの嘘だったことが見えてしまうからだ。
もう米ドルが紙くずになるのが時間の問題だというときに、まだ賄賂をもらって虚偽の判決を出し、自らを犯罪者にしたりするものだろうか? ナザレのイエスがエルサレムに行ったのは2000年以上前のことで、あの頃から魚座の時代が始まり、トランプが大統領になった2016年の頃から水瓶座の時代に入ったということなのだけれど、だから今度は、2000年前と同じことが繰り返されはしないのじゃないかと思う。それに、あのときは弟子たちが祈る代わりに眠りこけてしまっていたけれど、今度は世界中の多くの人々が、目覚めて祈っていると思う。
2023年4月2日
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【司法の人種差別】
トランプが起訴された事件で、世界中の注目がとつぜんアメリカに集まっていた。それも、トランプ自身がマンハッタンの法廷に出向くというので、多くの人は、ライブ配信でその様子を追いかけ続けていたのだ。フロリダのトランプ邸をリムジンの列が出て、空港に向かうのを、多くの人々が沿道で旗を振って声援を送っていた。専用のボーイング機トランプ・フォース・ワンがマンハッタンへ飛んでいくのを、オンラインの航空レーダーで追っていた人もいた。裁判所の前には、アメリカのすべてのメディアがやってきて、トランプが裁判所の建物の中に入っていく姿を撮影していた。
アメリカの元大統領が起訴されるなどということは、歴史上なかったことなのだから、これは歴史的な瞬間だった。民主党は、これでついにトランプをつぶせると思っていた一方で、トランプの方は、ますます闘志を燃やしていたようで、前よりも若返ったようにさえ見えた。実際、このことでトランプの人気は急激に高まっていた。ハンガリーの首相が励ましのメッセージをSNSで送っていたのも、拡散されていた。世界中が、トランプを見ていたのだ。
起訴の内容はそれまで封印されていたのだけれど、そこで内容が明かされた。すでにメディアに漏洩していたとおりだったのだけれど、例の口止め料のことで、商業文書の虚偽が30件以上あったというのにすぎなかった。口止め料を渡すこと自体は、たとえ事実であったとしても、違法ではない。ただ、それが事実であったとするならば、トランプはそのお金について正しく申告しなかったことになる。それで、虚偽の申告を行なった疑いで、起訴されたというのだ。
そんな申告の虚偽では、人を逮捕することなどできない。警告があって、罰金請求の裁判があるくらいのものだ。これで逮捕状を出したマンハッタンの検事アルヴィン・ブラッグは、一体ちゃんとした法律の知識があるのかと疑われる。この検事は、実のところ、ジョージ・ソロスが百万ドル資金援助して、そのお金でマンハッタンの検事に選出されたという人で、つまりは司法の乗っ取りのために送り込まれたエージェントのような人らしい。
ニューヨークの司法は、階級差別的な司法システムなのだということを、この起訴を通してトランプは示したのだ、ということを、ある政治家が言っている動画が、世界中で拡散されていた。アメリカは、奴隷制度がなくなったあとも、黒人と白人は同じ人権を持っていないかのように扱われていて、同じ犯罪を犯しても、黒人と白人では処分が違っていた。これは、法の上で平等になったあとでも、事実上残っていた。それが今では、人種によってではなく、民主党側の人間なのか、その敵対者かで、司法の扱いが、まるでかつての黒人と白人のような差別待遇なのだ。それをその政治家は、「two class justice system (2階級の司法システム)」と言っていた。この差別的な司法システムをこそ、摘発しなければならない。トランプ起訴は、そのための機会なのだと。
マンハッタンの法廷を出て、フロリダに戻ったトランプは、待っていた人々の前でスピーチを行い、そこで腐敗した司法システムについて批判していた。バイデン親子の幼児に対する性暴力のことも、エプスタイン島に行ったリストに載っている政治家たちのことも、何一つ起訴されていない。ところがトランプは、商業文書の虚偽というだけのことで、逮捕状まで出たというのだから、まさしく司法の人種差別と言うべきものなのだ。そして、まさにそうした状況を作り出すために、ソロスはあちこちの裁判所に買収した人物を据えていたわけだ。
民主党側は、トランプを何とか落とそうとして、ありとあるスキャンダルを探してまわっていた。2016年の大統領選のときからそれは始まっていて、そのたびにメディアは大騒ぎして、弾劾裁判もあったけれど、どれも根拠のない話だった。それなのに、どうして今さら、7年も前のことが出てきたのかわからない。それまでも目を皿のようにして探していたのだから、事実ならばとっくに見つかっていたはずだ。そうやって探しまわって、それでやっと出てきたのが、商業文書の虚偽だけなのだから、トランプという人は、ビジネスマンとしても政治家としても、よほどクリーンな人なのだろうと思う。そのこともまた、この事件は世界中に示してしまっていた。
この司法の人種差別のようなことは、国際関係でも同じことが言える。ロシアがウクライナに侵攻したといって、西側諸国はロシアをものすごい勢いで批判していて、市街を空爆したとか、市民を虐殺したとか、起こっていないことを言っているのだけれど、アメリカはこれまでそういうことをイラクでもシリアでもセルビアでもやっていた。アメリカがやっていると、それは非難されるべきことではなく、人権侵害でも内政干渉でもジェノサイドでもないのだ。だけど、アメリカ側でない国がやっていると、それは危険極まりない独裁国家であり、ありとある制裁を加えるべきだということになる。そこでは、国連機関や、国際刑事裁判所や、アムネスティインターナショナルやヒューマン・ライツ・ウォッチやらが階級差別的なシステムで裁定している。
トランプが起訴されたことで、この司法の階級差別的なシステムのことに、世界中の人々の意識が集まっている。プロジェクト・ヴェリタスは、さっそくマンハッタン裁判所の法律家たちに、内情を告発して欲しいと募集広告を出していた。プロジェクト・ヴェリタスのおとり捜査にかかる人も現れるだろう。そうやって、アメリカの司法の腐敗の内情が明かされていくことになるのだろう。
この階級差別的な司法システムで、何よりも問題なのは、民主党サイドの犯罪が野放しになるということなのだ。アルヴィン・ブラッグが検事になってから、ニューヨークは犯罪が増加し、治安が悪くなったという情報もあった。暗殺だろうが誘拐だろうが、やりたい放題なのだ。トランプがこの起訴の件で自らマンハッタンまで出向いたのは、この司法の腐敗の実態に意識を向けるためだったと言える。「彼らは私を襲いに来るんじゃない。あなたたちを襲いに来るんです。私はその間に立って邪魔をしているだけです」とトランプは、フロリダに戻ってから、言っていた。多くの人は、トランプが攻撃されていると思って憤慨したり心配したりしていたけれど、実のところ彼らはアメリカの人々を攻撃しているのだ。それをトランプは、間に立って示しているということなのだ。
一年前にロシアがウクライナに軍事介入したときから、これまでアメリカ政府が世界中で言うなりにならない国を独裁国家扱いしてめちゃめちゃに攻撃してきたことが、徐々に表に出ていった。まさに階級差別と言えるようなやり方で、一方には制裁が加えられ、一方にはやりたい放題の攻撃が許されていたのだ。プーチンは、まさに間に立つことで、それを示してくれていた。アメリカでは、その役をトランプがやっているということになる。
これも、冥王星が水瓶座に入ったからなのだろうか? 奇妙にも、アルヴィン・ブラッグが起訴を発表したのが、冥王星が水瓶座に入った3月23日のことだった。嘘が自己破壊的な力になる時代に入ったその日に、すぐに虚偽とわかるような起訴状を出したのだ。それを思うならば、この世も末だと思えるような事態も、これこそはこのすべてが引っくり返る契機だと見ることができるのじゃないかと思う。事実、司法の腐敗はこれまでもあったけれど、このときまでほとんどの人はそんなことがあるとも気づいていなかったのだ。それが、誰でもわかるようなあからさまさで表に出てきてしまったのだ。
2023年4月5日
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【作られた分断を超えていく】
3月23日に冥王星が水瓶座に入ってから、嘘が自滅的な力を持ち始めたというのだけれど、たしかにその頃から、まさかと思うような嘘が表に出始めている。トランプが起訴されたと思ったら、それをでっち上げるのに元大統領バラク・オバマがマンハッタンの司法に工作員を送っていたことが表に出てきた。すると今度は、CIAの機密文書が大量にネットに漏洩していて、ウクライナ軍について公に報道されていることが、ほとんど嘘だったことが表に出たと思ったら、ダライ・ラマがペドだったことを示す動画が世界中のSNSで拡散されていたりもした。こうしたことも、SNSで裏の情報を見ていた人たちには、けっして新しいことではなかったけれど、しかし、嘘がもう世界を引っくり返してしまうような力を持って、表に出てきてしまう時代になったのを、示しているようだ。
その中で、中国の仲介で国交を回復したサウジアラビアとイランの外務大臣が、北京で会談して、熱い握手を交わしている写真が世界中で報道されていた。サウジアラビアとイランは、アメリカ中央情報局の戦略で、意図的に敵対させられていた。第二次世界大戦後、アメリカは世界中のあちこちの国を分断させ、軍事援助して、戦争させてきた。そして、隣の国の脅威を口実にして、米軍配備し、その国の政治を操ってきたのだ。そうやって、サウジアラビアはアメリカの言う通りにイランと敵対し、石油を米ドルで売り、アメリカの言う通りに石油の産出量を増やしたり減らしたりして、原油の価格を操作してきた。そのサウジアラビアが、もうアメリカの言うことを聞かず、イランと手を結んでしまったのだ。
このことは、もう分断を作り出すことで、国を支配することはできなくなってきていることを示しているようだ。この200年くらい、世界はあらゆるレベルで分断を作り出され、支配されてきた。それまでは平和的にやってきた国でも、隣のあの民族は残虐だとか、独裁的だとか、そういうことを吹き込まれると、互いに警戒し始める。それで、反政府グループなどに武器を持たせて焚きつけたりして、テロ騒ぎを起こさせると、警察隊や軍隊が出動することになり、民族を2つに分けてたがいに戦わせることができてしまうのだ。この200年ほどで起きたほとんどの戦争は、そのようにして作られてきたものだった。
それで例えば、同じイスラムでもシーア派はテロリストだとか、同じ東洋人でも中国人は全体主義者だとか、同じ一神教徒でも、イスラム教は狂信者だとか、あるいはアメリカ人は軽薄だとか、ドイツ人は厳格だとか、そういう差別意識が過去に起こされてきた戦争の記憶とも一緒になって、私たちの心を分断させてきた。何人だとか何派だとか何教だとか、そういうことで互いに心を閉ざして、自分たちの方が優越だとか善良だとか思わされてきたのだ。
差別意識を植えつけて、ある人々が危険だとか劣っているとか思い込むと、人は相手を理解しようとしなくなり、話に耳を傾けようとしなくなる。3年前に奇妙なパンデミックが始まってから、私たちはこのことをさんざん目の前で見てきた。パンデミックは危険でないという人々は陰謀論者だと、世界中のメディアがさかんに宣伝していたら、7割がたの人々が、必死で真相を伝えようとしている免疫学者たちの話にまったく耳を貸さなくなってしまったのだ。かくして、言論弾圧も戦争も、こうした差別意識の植えつけによって、人々が自分から作り出すようにされていく。
そうした中で、私たちは疑心暗鬼になって、誰は何人だとか何教だとか何派だとか何主義だとかで心を閉ざし、たがいに理解しようとしなくなり、話を聞かないようにしてきたのだ。2001年にベルリンの議会で行なった有名なスピーチで、ロシア大統領プーチンは、911が起こった原因は、何よりも私たちが互いに信頼し合うということを学んでこなかったからなのだ、ということを言っていた。東西ブロックは消え去り、冷戦は終わったのに、世界はまだ何ブロックだとか何軍事同盟だとかいうことを言って、互いに心を開いて話し合うということをしてきていない、と。
こうした分断は、実のところは、世界を支配するために意図的に作られていたものだった。子供たちは、すでに学校でこういう分断の考えを学び、誰が、どの情報が、どのカテゴリーに属するかで、差別的に扱うことを教え込まれている。そこには、心を開いて理解し合おうとすることや、相手の言葉に耳を傾けることは含まれていない。ただ、どういうものがよくて、どういうものが悪いのか、何が低くて何が高いのか、という評価しかない。そして、それによって私たちは、何をどう考え、どう行動するのかまで、見事に操作されてしまっていたわけなのだ。
イランとサウジと中国の外務大臣が熱い握手を交わしている画像を見て、こうした分断に支配されない関係が生まれ、それが世界を動かし始めているのを感じた。これまで私たちは、政治家同士の外交的な握手などさんざん見てきたけれど、そこにはこうした熱さはまるきり感じられなかった。どの国は何ブロックで、何軍事同盟で、だからどう扱うべきで、という計算があるだけだった。取ってつけたような笑顔を浮かべて、カメラの前で手を握って見せているだけのことだ。そしてそのすべては、つまるところアメリカ中央情報局(CIA)が操っていたというわけなのだ。すべては裏で取り決められた通りに行われていて、それをただ形だけ、対等な話し合いがあるかのように見せかけていただけだった。
ところが、イランとサウジの外相が握手しているさまは、そんな形だけのものではなく、たがいに心が通っているのがありありと見て取れるような、熱さのあるものだった。それを見ていて、国と国との関係は、このようにもあり得るのだと新鮮な気持ちで思った。いや、外交とは本来このようであるべきなのだとさえ。イランとサウジは、アメリカ中央情報局の言うなりに、たがいに敵対してきたわけだけれど、中国の仲介で、もうアメリカ政府の言うなりになるのをやめたのだ。分断しているかぎりはアメリカ政府の言うなりだけれど、手を繋いでしまえば、アメリカ政府の支配からともに抜け出ていくことができる。それは、何ブロックだとか何軍事同盟だとかそういう押しつけられた計算ではなく、たがいに心を開いて理解し合い、信頼し合うことそのものだ。
プーチンは就任した当初から、何ブロックだからどうではなくて、たがいに話し合って、信頼し合うべきだと言っていたけれど、水瓶座の時代になって、プーチンが主張していた多極的な世界が、現実になり始めているようだ。何ブロックだから、何人だから、何派だから、何主義だから、と考えていると、私たちは心を閉ざし、結局のところ、この分断を作り出しているアメリカ中央情報局の思うままだ。そういうカテゴリーに思考を支配されるのではなく、自分で真実を見て取り、判断することを知るべきだ。これまでの一極支配の世界では、全世界はたった一つの価値基準で決められていた。それは、アメリカ中央情報局が言う民主主義とか自由とかいうものだったけれど、その基準はつまるところ、アメリカ中央情報局が独断で決めていたようなものだったのだ。そんな基準に右往左往するのではなく、自分でありのままの現実を見、心を開いて、話を聞き、理解して、判断するとき、私たちは作られた分断を超えて、多極的な世界を作っていくことができる。
地球の頭頂チャクラだというチベットのカイラス山のエネルギーを解放するセッションのときも、まさにそのテーマが出てきていた。頭の真ん中の、松果体のあるあたりに、私たちは誰でも、水晶のような光を持っていて、それはどんな真実も確実に見抜く力だ。その力は、長い歴史の中で、ありとある手段で封じ込めら続けてきた。チベット仏教でもヒンズー教でもキリスト教でも、特別な修行をした特別な人間でなければ、真実を見抜く力はないと教えていて、そんな力を持つことができると思うだけでも、とんでもない冒涜であるかのように言っている。それで、自分で見て判断しようとする代わりに、組織の判断を仰ぐようにされているのだ。宗教が支配力を持たなくなってきてからは、これが自由だとか民主主義だとか平等だとかいう概念に変わった。いずれにしても、自分で見て判断するのではなく、政府とかメディアとかの判断に従うようにされている。
プーチンが2001年のスピーチで、「私たちはまだ、たがいに信頼し合うことを学んでいない」と言ったとき、彼はまさしく、組織の指示を仰ぐのではなく、自分で見て判断する力を使うことを知るべきだということを言っていたのだ。自分で見て、判断する力が使えるということが、主権があるということになる。他の国の指示を仰いでいる国とは、たがいに心を開いて理解し合うということができないからだ。多極的な世界とは、主権がある国同士がつながり合うことでできていく。主権があるからこそ、たがいに心を開き合い、理解し合うことができる。そこには信頼と友愛がある関係があり、軍備などはしだいに必要なくなっていくだろう。
この主権を持つという力、自分で見て、自分で判断する力、この力こそは、2000年もの間、封じ込められ続けてきた力だったのだ。この力がいよいよ解放される時が来たということなのだと思う。
2023年4月10日
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【優等生をやめるとき】
トランプが大統領候補者として2016年の選挙に出てきたとき、これくらい下品になれる人物だったら、世界を支配している悪党とけっこうやり合えそうだと思ったことを思い出した。あの頃、民主党ではサンダースが候補者としてヒラリー・クリントンと争っていて、多くの人は、クリントンが選出されたら確実に戦争になるから、何とかサンダースをと思っていた。政治家としては、トランプよりもサンダースの方がはるかにまともそうではあったけれど、サンダースではまともすぎるから、たちまち悪党たちにやられてしまうに違いないと思った。買収か恐喝か、スキャンダル流してやるとか言われたら、サンダースでは太刀打ちできないだろう。その点、トランプならスキャンダルなんかではビクともしそうにないから、けっこう相手になれそうだと思った。
事実、トランプはスキャンダルならさんざん捏造されて、実にえげつないことを言われ続けていたけれど、そんなことでは動じもせず、かえってますます強くなっていった。何回も弾劾されそうになったり、起訴までされながら、そのたびに堂々と相手の悪事を暴露し返していた。悲劇の犠牲者といった風に、必死で潔白を訴えたりするのが、いかにも正義漢風のやり方だけれど、トランプはそんなやり方はしなかった。いささか下世話な調子で、こいつらはこういうところからお金をもらって、こういう汚いことをしているんだ、と暴露しまくっていたのだ。まさにそれによって、トランプは多くの人々から支持されることになった。
どんな弱みにもつけ込んでくる悪党とやり合うには、上品ぶっている場合じゃない。相手に敬意をもった扱いを、だとか、フェアで民主的な方法で、とか、そんなことを言っていたら、悪党たちの思いのままなのだ。彼らは、人々が良識のラインを超えて追いかけてはこないことを計算に入れている。人の良識をまさに弱みとしてつけ込んでくるのだ。それを、トランプは悠々と破ってしまう。
ある意味私たちは、優等生的な思考で支配されてきたのだと思う。こういうのが「大人しい、いい子」だというのをしつけられてきて、良識を守るようにされてきた。こうした基準をよく守る優等生たちが、社会のエリートになっていくわけなのだけれど、彼らはつまるところ、上から与えられた価値基準の通りに、自分から行動する人たちなのだ。一人一人はクリエイティブだったり、天才的だったりするかもしれないけれど、自分の信じるところに従って動いているわけではなく、上から与えられる価値基準の通りに自分から動いている。実のところ、そういう人たちが、優等生であり、エリートと言われる人たちだったりする。
3月23日に冥王星が水瓶座に入って、嘘が自滅的な力を持つようになったからなのか、あるいは4月7日の封印解きセッションで、光と闇のバランスを取るというバリ島のエネルギーを解放したからなのか、このところ、これまで優等生的な存在だった人たちが、闇の姿をさらし始めているような気がする。
それまでは、優等生的な人たちが闇の姿を隠し持っていても、それは容認されていて、表沙汰になることがなかったのかもしれない。何らかの意味で人の上に立つような人たち、先生だとか政治家だとか聖職者だとかマスターだとか、そういう人たちは、たとえ闇の部分を持っていても、見ないようにして、言わないようにすることになっていた。そういう人たちは無条件に崇められるべき存在であって、批判したりしてはいけないことになっていた。だけど、それがもう黙っていられなくなってしまっているのかもしれない。
それで、そういう権威の言っていることやっていることを批判する人が現れると、前からそういう権威に不信を抱いていた人々、つまり優等生でない人々は、よくぞ言ってくれたと喝采する。その一方で、優等生たちは、パニックになって攻撃し始める。2月頃にクラシック音楽の闇を暴くような話を投稿していたときは、音楽の人たちにずいぶん反論のコメントをもらった。クラシック音楽の世界は、まさに優等生的な支配構造でできている世界だから、専門的に勉強した人たちの多くは、上から与えられた価値基準に従って、どういう演奏がいいとか悪いとかいうことを評価することしかできなかったりする。だから、一般に権威と言われているような人たちを批判するようなことを私が書いていると、優等生的にやってきた人たちは不安になるのだと思う。自分のこれまでの勉強や評価、これまでやってきたことが、崩れ去ってしまうように思うのかもしれない。
あのときは、いろいろな人たちとやり取りして、専門的に勉強してきた人たちほど、自分で聴き比べて考えてみようとしないことに、かなり驚いた。それでしまいには、楽譜を取り出して、説明しさえもした。聴き比べるなり弾き比べるなりして、それでもこれまでの演奏法がいいと思うというのならわかるのだけれど、そうではないのだ。これまで言われていたようなことを私が批判しているというのが問題なので、それを何とか変えたいらしい。それで、それもそれぞれの自由じゃないのかとか言ってくる。演奏法が問題なのではなくて、自分が認められていないような感覚になるのが問題なのかもしれない。
そういう優等生的な人たちに、私はこの頃、マウンティングしているとか、エゴイストだとか言われて、悪党扱いされている。どうしてあの人たちが望むような反応をしないからといって、エゴイストと言われなければならないのかわからない。私は自分が思うところを書いているだけなのだ。むしろ考えを押しつけてきているのは、あの人たちの方だ。
これまでだったら、そういう扱いをされても、適当に無視していたところだけれど、冥王星のせいなのかバリ島のエネルギーのせいなのか、もう放置していられないのだ。良識のある人のすることではないからとか、もう気取っているのが嫌になっている。
これまでの世界の支配構造は、優等生的な階層社会でできていて、上から与えられる価値基準に黙って従う人ほど上に上がれるようになっていた。だから、上に行けば行くほど、自分で考えて行動するのではなく、上から与えられる価値基準を鵜呑みにする人たちが増えることになる。まさにこれこそが、一極支配を支えていたわけなのだ。
ところで、この一極支配は、皆が同じ価値基準に従っているから、誰もが同じように扱われるフェアな社会なのかといったら、それとはまったく正反対のものだ。皆が同じ基準、同じルールに従っているのであれば、一人一人が自分で考えて行動することができる。ところがこの一極支配の社会は、上の都合でルールがクルクル変わってしまうような支配構造なのだ。だから、誰も自分で考えることができず、ただ上からの指示に従って、どういう評価が来るのかを待っているということになる。権威に認められるか認められないかだけが重要なことなのだ。自分の中にいい悪いの価値基準があるわけではない。だから、上から与えられる基準に従っているかぎりは、温厚に扱われるけれど、そうでないと悪党扱いされることになる。
自分で考えて判断する人が増えるほど、一極支配は弱くなっていく。これまでは、自分で考えて、権威からくる基準から外れたことをすると、集団暴力に遭って、それが正当化されていた。ところが今、自分で考えて判断する人たちが、だんだん負けなくなってきたのだ。だからトランプは、いくらメディアにえげつないことを言われても、支持する人たちがたくさんいるし、西側諸国から悪魔のように言われていたイランや中国やロシアが、今やしっかりと手を結んで、対抗するようになった。プーチンが就任当初から主張していた多極的な世界とは、自分で考えて判断する人々や国々が手を結ぶことで、フェアな関係を保つ力を持つ世界なのだ。それがだんだんと形になってきている。
冥王星が水瓶座に入って、嘘が自滅的な力を持つようになったせいで、優等生的な人たちが自滅していくような事態になっているのかもしれない。優等生的な生き方をしていると、どこかに嘘が隠れている。それが表に出てきてしまって、闇の姿を表してしまうようになったのかもしれない。
それによって、ようやくこの世界に光と闇のバランスが取れるようになっていくのかもしれない。支配者たちや優等生たちは、光そのままの姿をしながら、悪事を行なってきた。それが、もはや容認されなくなり、返し技をかけてくる人たちが増えてきた。まさにこの返し技こそが、一極支配が封じ込めてきたものだったのだと思う。下品だとか下劣だとか悪魔的だとか、そういうレッテルを貼られて、その力が使えないようにされてきたのだ。
誰もが自分で真実を見抜く力があり、誰もが自分で考えて判断する力がある。そして、その真実で生きることを、妨げようとする人たちから、自分の自由を守ることができる。そして、それだけでなく、逆に相手を引き回して、相手の悪事を暴露してしまう力が、解放されたのだ。
こうなって初めて陰陽のバランスが取れ、世界は一極支配から、本来の多極的なバランスを取り戻していくのだと思う。多極的なバランスとは、生態系の中にも存在しており、それこそは恒久的な調和を作り出しているものだ。それは、抑圧されていた抵抗力が取り戻されて、免疫システムが機能し始めるのと同じようなことなのだ。
2023年4月11日
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【無神論から有神論へ】
無神論者は政治をやるべきではないと、プーチンとトランプが言っているという話を、先日、藤原直哉さんがしていたのが、興味深かった。プーチンはロシア正教で国を立て直そうとしていたし、トランプはプロテスタントで、神に祈るということをスピーチでもよく言っている。宗教と政治は分けるべきだとこれまで言われてきて、政治家が宗教と関わっていると言うと、政治が宗教権威に絡め取られるのではないかと、私たちは反射的に思ってしまう。だけど、プーチンやトランプが宗教でやろうとしていることは、それとはまったく別のことだ。
政治が宗教に関わったときに危険になるのは、政治家が宗教権威を利用して、独裁を行おうとするときだ。つまり、宗教の教えが命じているのだから、問答無用で従うべきだというようなことをだ。こうしたことは、これまで2000年の支配の歴史の中で、繰り返し行われてきた。そしてその結果、殺し合いや残虐行為といった、およそ宗教の教えとは真逆のことを、善良な人々がやるようなことになっていたのだ。これは実のところ、人間が神になり代わっているだけで、本当の有神論などではない。いやむしろ、これこそは無神論的なことだと言うことさえできる。
何故、無神論者が政治に関わるべきでないのかと言ったら、無神論者は要するに、人間的な欲や利益で判断するからなのだ。物欲とか支配欲とかそういうもので、何がいいか悪いかを判断して、決めている。その次元でしか考えていないから、政党はそれぞれの支持者の利益になることしか考えないし、政治はつまりは利益の取り合いでしかないようなことになる。だから、いくら話し合っても、永久に争い続けることになるわけだ。それで結局、多数決で決めるということにしかならず、多数派が得をするように決まって、負けた方は損をするということになる。戦争になって人が死のうが、国中に貧困や虐待が蔓延しようが、多数派が儲かればいいということにもなる。そこには公正さも何もありはしない。実際そうしたことが、民主主義的に決まったことなのだから受け入れるべきだ、とされてきたのが、政教分離の民主国家でのことだった。
プーチンやトランプが無神論者を政治から排除すべきだということを言っているのは、まさにこの点にある。人間の次元、三次元的な計算でしか考えていないような人間を、政治家にするべきではないということだ。有神論者は、そういう三次元的、物理的なものだけで世界ができているのではなく、より高い次元の力が働いていることを知っている。私たち人間も物欲で生きているのではなく、高い次元の目的に導かれているのだということを知っている。そういう人物であれば、三次元的な損得だけで動くことはないのだから、裏切ったり、嘘を言ったり、人を犠牲にしたりはまずないと思ってよく、だから信用することができる。そして、公正にことを行い、調和ができるように考えているはずだから、肚を割って、建設的な話し合いをすることもできる。つまり、公正さとか徳とかいったものを、何よりも重要なものとして捉えているかどうかということだ。
プーチンは、ヒンズー教徒のモディ首相も共産党の習近平もイスラム教のイランも信頼している。だから、有神論者といっても、それが一神教であろうが多神教であろうが、あるいは仏教とか儒教みたいな、神の概念のない宗教であろうが、かまわないのだと思う。要するに、三次元的な価値基準ではない、高次元の価値に従って生きているかどうかということが重要なんだと思う。とにかく、そういう人物であれば、駆け引きで騙したり、都合が悪くなったら約束を引っくり返したりといったことはしないだろうと信頼することができる。だから、たとえ利害や考え方が違っていても、話し合って調和を作り出していくことができる。実際、そうでなかったら、手の内を明かして話し合うことなんてできないわけで、そうでない相手、つまり無神論者とは、ビジネスライクに取引することができるだけだ。そしてその場合には、相手が裏切る可能性も考えて、その場合の防衛手段も用意しておく必要がある。
宗教を使った支配というのは、これまでもあったけれど、それは、支配者が宗教を国民に押しつけるという形で行われてきた。王政の時代には、王は神から支配権を授かるとされていて、その支配権によって、王は人を裁いたり命令したりといったようなこと、つまり神のように振る舞うことを許されることになる。これは要するに、宗教的な独裁制なのだけれど、王自身が本当に高次の価値に従って生きているのかそうでないかで、まったく違う状況を作り出すことになる。
王政の時代には、善政を行なう徳の高い王の物語だとか、心の歪んだ悪い王の話だとかが、いたるところにたくさんあった。中世の伝説やメルヒェンは、徳の高い王が悪い役人をこらしめたり、悪い王を滅ぼすような話でいっぱいだ。その時代には、民衆には政治に口を出す権利はなかったけれど、王には民衆が幸せになるように統治する責任があった。その責任を担うからこそ、王権を与えられているという考えがあったのだ。だからある意味、近代の民主制よりもずっと「民が主」であることもあった。いや、そういう王こそが、いい王であると考えられていたのだ。そういう王の伝説は、「徳の高い王」の話として世界中あちこちに残っている。
ヨーロッパのメルヒェンには、民衆から出てきた英雄が、悪政を行なう王を倒して、新しい王になるという話がたくさんある。王が王権を利用して、私腹を肥やしていると、民衆は貧しくなる。それで、食べていけなくなって、子供を森に捨てることになったり、奉公先を探す旅に出したりすることになる。そうやって両親の元を離れた子供が、人々を苦しめている悪者と戦う冒険を経験し、最後には王になって、国を建て直すという物語だ。こうしたことが実際にあった時代には、王が王権を乱用して国が乱れた場合でも、免疫システムが働くのと同じように、調和を取り戻す機能が働いていたということになる。
ところで、無神論的な金融資本家たちが、お金で王を操作し始めるようになってから、こういう機能が働かないようにされていったのだ。金融資本家たちは、王から政治権力を奪うために、革命を組織した。それは王が悪政を行なっていたからだという理由でだったのだけれど、その結果、残虐行為は減るどころか、いよいよ国中に広がっていったのだ。悪政を行なっていたとされた王たち、フランス国王ルイ16世やロシア皇帝のニコライ2世は、実のところは信心深い、民のために働く王であったとも言われている。無神論的な金融資本家たちは、策略を使って戦争を起こし、軍資金を王に貸し付けることで、富をなしていったのだのだけれど、その彼らが、良心に従って国を治めようとする王たちから、ついに支配権を奪って、お金で動くような世界にしてしまおうとしたのが、いわゆるブルジョワ革命というものだった。
金融資本家たちは、この200年ほどで、世界中を有神論から無神論へと変えていったのだ。人々も政治家も、高次の価値に従って生きるのではなく、お金の計算で動くようにしていった。イランは、国王が腐敗して、アメリカのお金で動くようになっていた間はよかったけれど、イスラムの教えに従って、腐敗をなくしていく政府になったら、金融資本家たちから独裁国家だと非難されるようになった。こうしたことは、世界中で起こっている。政治が有神論的な価値で動くようになると、無神論的な金融資本家が政府を思うままに腐敗させることができなくなり、巨額の税金を吸い上げるということができなくなってしまうのだ。だから、そういう国は、独裁国家だとか言われることになる。国民が宗教崇拝を強要されているとか、少数民族が弾圧されているとか、いろんなことが言われているけれど、そういう国では、実際には、政府が富を国民に還元しているので、国民の大部分は政府に満足していたりする。
西側の機関が行なった国際世論調査で、中国人の8割が、中国を民主的な国だと思うと回答した結果が出て、世界中の多くの人々を驚かせていた。中国は共産党独裁の政府で、民主的な国ではないと、世界中のほとんどの人が思っていたからだ。当然、中国人は政府に不満を持っているだろうと多くの人は思っていたけれど、そうではなかった。たとえ共産党独裁であっても、政府は人々が幸せになるように政治を行なっているという実感があったのだ。中国はもう共産主義経済を行なっているわけではないし、労働している人々に富を還元することが、共産主義の理想であるのならば、それはある意味、当然の結果だと言えるのかもしれない。
同じ調査で、ロシアはわずか20%の人が、自分の国が民主的だと思う、と答えたのだそうだ。しかしこれは、ロシアがソ連崩壊後の10年間、腐敗でひどい貧困と治安の悪さを経験していたから、多くの人は、民主的な国などというものがいいものだと思っていなかったからだった。腐敗の自由と不正とが許されるのが民主的な国なのだったら、そんなものは要らない。だから、多くの人は「民主的だと思う」とは回答しなかったけれど、だからといって、「民主的ではないと思う」と回答したわけでもなかった。大多数の人は、「その他」に回答していたということだった。ロシアは腐敗が許される「民主的な」国ではないけれど、しかし「民が主」な国ではある。そう考えた人たちが、大半を占めたということらしい。
この200年くらい、有神論的な考え、高次の意識が存在していて、それに私たちが従うべきだという考えは、「民主的ではない」として、排除されていったのだけれど、その結果、この世界はありとある腐敗と不正とを許すことになり、お金によって支配されることになったのだ。まさにそれこそは、金融資本家たちが、有神論的な考えを排除していった目的だった。
政治ばかりではなく、芸術や文化でも、有神論的な高次元の価値は排除されていき、三次元的な人間の世界がテーマにされるようになっていった。そうしたものは、つまるところ、どういう品物を持っているのがかっこいいとか、経済的な成功を目指すのが人生の意味だとか、そういう価値観を宣伝するようなものだったと言える。それが、無神論的な三次元的な価値で動く人間を作り出すことになっていった。
どんな宗教でも、人智を超えた大きな力に私たち人間が支えられおり、それによって導かれているということを教えている。そして、それに従って生きていけば、調和を作り出していくことができるということをだ。その次元で政治家たちが政治を行なうならば、議会で延々と不毛な議論をするために税金を使う必要もなくなるし、国と国とが信頼関係を結ぶことができるから、戦争などしなくても、国の主権と安全とが守られることになる。そして何より、人々にちゃんと富が還元されていくならば、争いを起こすことで私腹を肥やしている無神論者たちが増えていくこともなくなるのだ。
地球は3次元から5次元に移行するというようなことが、前から言われているけれど、それにはただ、無視論者たちを政治から排除すればいいだけのことだったのだ。有神論者たちが作り出す調和のネットワークは、すでに大きく育ってきており、それが今や世界を根底から変えようとしているようだ。
2023年4月14日
【公正な世界が広がっていく】
ロシアを起こしてしまったら、もう止めることができない、ということは、前から言われていたことだった。世界を引っくり返してしまうまで、もう誰にも止めることができなくなるだろうと。それだけ聞いたら、ロシアとはいったいどんな恐ろしい国なのかと思う。しかし、起こったことは、そうした想像とはまったく違うことだった。一年前にウクライナの内戦にロシアが軍事介入し始めてから、それが現実にどういうことなのかを、私たちは徐々に知ることになったわけだった。
ロシアが起きることになったのは、そもそもアメリカ中央情報局が何とかしてロシアを挑発しようと、ありとあることをしていたからだった。アメリカの軍事について絶対的な影響力を持っているシンクタンクのランド研究所は、ロシアはとても平和的な国だという報告を出していた。だから、ロシアを戦争に駆り立てるには、極度の挑発を行なうしかないだろうと。それでアメリカ政府が行なったのが、ウクライナのNATOへの接近とウクライナ国内でのロシア民族の虐殺だったわけだ。
ロシアがウクライナに軍事介入を始めたとき、西側世界は、不正のかぎりを尽くしていた。メディアも政府も、ロシアが一方的にウクライナを占領しようと侵攻してきたかのように言って、かけられるかぎりの経済制裁をかけていた。そればかりか、ロシア人だというだけで、公然と差別したり、ロシアの作曲家や文学者の作品までが排除されるようにさえなっていた。
それに対して、ロシアは完全に公正なやり方で対応していたのだ。ウクライナ軍はドンバスの市街地で市民を無差別攻撃しているのに、ロシアは国際法を守って、敵の軍事拠点だけを攻撃していた。ウクライナ軍はロシア兵の捕虜を虐待していたのに、ロシア軍はウクライナ兵の捕虜を人間的に扱っていた。キエフに侵攻していって、占領してしまえばよさそうなものなのに、ロシア軍はそういうことはしなかった。あくまで国際法を守って、ドンバスの市民を守ることに終始していた。
ロシアのそうした公正なやり方は、バカ正直すぎて不器用なようにも思えた。しかし、時が経つに連れて、その公正さこそが大きな力を持つことを、私たちは見ることになった。
これまでにも、アメリカの一方的で身勝手な外交に辟易している国が、世界にはたくさんあったのだ。米ドルを基盤にした国際取引で、世界中の国々はアメリカの金融資本家に自動的に搾取されているような状況だった。そうしたやり方に抵抗する国は、民族弾圧を行なったとか、大量破壊兵器を開発しているとか、根拠のないことをでっち上げられて、空爆されるようなことにもなっていた。ロシアがウクライナに軍事介入を始めて、西側諸国から経済制裁をかけられたとき、そうした国々がロシアに協力し始めたのだ。
アメリカ政府は、サウジアラビアに圧力をかけて、石油産出量を増やし、石油価格を下げようとしたけれど、サウジアラビアはアメリカの要請を拒否し、そればかりか、中国元で石油を売りまでした。それが始まりだったのだ。西側諸国がアメリカ政府が言うままに、狂ったように経済制裁をかけて自分の首を締めている一方で、アフリカもアジアも中南米も多くの国が経済制裁に協力していなかった。その時点で、ロシア外相ラブロフは、「一極支配は終わった」と宣言していた。今から一年ほど前のことだ。
世界中に不正がまかり通っている状況で、他の国を公正に扱う国が現れ、世界の不正に対抗し始めたら、これまで不正に苦しめられてきた国は、少しずつ味方についてくる。最初は恐る恐るだけれど、大したことが起こらないことがわかると、この動きは加速していく。次々と味方についてくる国々と、ロシアはフェアな経済協力のネットワークを作っていった。経済制裁によって、アメリカとの依存的な関係も切れ、米ドルの搾取的なシステムからも離れられるわけなので、経済制裁は必ずしも悪いことではなかった。米ドルを中心とした経済ネットワークが、不正と腐敗にまみれたものになっていく一方で、経済制裁をかけられた国々は、たがいにフェアな関係を作っていくことで、逆に豊かになっていったのだ。
アメリカ政府に分断させられていた中近東の国々は、中国の仲介で次々と国交回復していき、アメリカ政府はもはや石油で世界経済を動かすことはできなくなっていった。米ドル取引から離脱して、BRICSに加盟しようとする国は爆発的に増えていった。それはまさに、ロシアのバカ正直なほどの公正さゆえなのだ。アメリカ政府は、ロシアの軍事介入を理由に、アメリカの中央銀行のロシアの資産を凍結してしまった。米ドルに投資しても、アメリカ政府が気に入らないからといっていつ凍結されてしまうかわからないのだったら、米ドルを国際通貨として信用することなどできない。これまでは、それでもしかたがないから従っていたのだろうけれど、他に可能性ができたなら、離れていこうとするのは当然だ。中近東の石油産出国がBRICS側についたことで、世界中で米ドルから離れようとする動きが雪崩のように起きている。
今、ロシア外相ラブロフは、南米の国を次々と訪問しているけれど、最初に訪問したブラジルの大統領は、ラブロフとの会談のあとで、アメリカ政府がウクライナの戦争を奨励している、と公然と非難していた。ラブロフはその後、ヴェネズエラやキューバを訪問しており、南米でも経済協力のネットワークができていっている。多くの国は、アメリカから経済制裁かけられて苦しんでいたのだから、ロシアと繋がることでフェアな取引ができるようになれば、経済的に豊かになっていく。このネットワークは必然的に拡大していく方向だ。ブラジルでもキューバでもヴェネズエラでも、ラブロフ外相は熱い歓迎を受けたようだ。それは、政治家同士が握手している画像を見ただけでも、感じられる。これは単なる外交的な握手ではなく、本当に国と国とが「手を結んだ」のだということがだ。
ところで、4月19日はクリミア半島併合240周年だったのだそうだ。2014年のウクライナからの併合ではなくて、1783年のオスマントルコからの併合だ。そのときはタタール人に支配されていたクリミア半島で、住民の希望でロシアのエカテリーナ二世がクリミアを併合することになったということだった。タタール人よりもロシア帝国の方がフェアに扱ってくれるからということだったらしい。2014年にも、ウクライナ政権がアメリカの工作員に乗っ取られてナチ化している状態で、迫害に遭ったクリミア半島が真っ先にロシア併合を住民投票で決めて、併合された。このことは、歴史的にもロシアは公正な扱いをすることで力を増していったということを示している。
ロシアや中国が公正な取引で国際関係のネットワークを広げていっている一方で、アメリカ政府は、ますますあからさまに不正を行なっている。ウクライナへの軍事介入が始まってから、西側諸国の銀行は、ロシアの資産を経済制裁として凍結していたのだけれど、アメリカ政府は、その凍結したロシアの資産を、ウクライナの復興のために使うことを決めたのだそうだ。ロシアの企業だからといって勝手に凍結するのもあり得ない不正だけれど、それを凍結したばかりではなく、勝手に使ってしまうなど、略奪以外の何物でもない。これと同じことを、ナチスドイツはユダヤ人に対してやっていた。まさにそうしたことを、アメリカ政府は今ロシアに対して、公然とやろうとしているのだ。
ヨーロッパでは、凍結した資産をウクライナのために流用できるかどうか検討した結果、法的にそれを正当化する可能性はない、という結論が出た。この資金は、ウクライナでの紛争が終わったあとで、ロシアに返却するしかないと。だから、アメリカが国内でどう法律を変えたからといって、凍結した資産を勝手に流用することなど、国際的な不法行為でしかないのだ。しかしアメリカは、国際的な違法行為など、これまでにいくらでも行なってきた。この凍結資産の流用の決定は、こうしたアメリカ政府のあり方を、はっきりと示してしまったようなところがある。
そればかりか、この頃、国連の人権理事会で、ロシアに対する一方的な経済制裁は国際法上違法なので、即刻やめるべきだという決議が出されたそうだ。何と、経済制裁も違法行為だったのだ。ほとんど誰もそんなことを知らないくらいに、経済制裁は当たり前のように行われているけれど、考えてみれば、経済制裁によって犠牲になるのは、ごく普通の庶民だ。物価が跳ね上がったり、物資が不足したり、必要な医薬品が急に入手できなくなったりすることで、死ぬ人だっている。軍事攻撃だって、市民を巻き添えにすることは、国際法で禁じられている。アメリカ政府とNATOは、そういったことをこれまでに一体どれだけ破ってきたのかわからない。それで、その責任を問われることもなく、これまで来ていたわけなのだ。
人権理事会の決議でも、西側諸国はもちろん反対に投票したし、決議も無視して、経済制裁をやめようとはしていない。これまでは、それが当たり前に通ってきたわけなのだけれど、今や西側はそれで世界の他の国々からますます孤立していっている。アメリカもフランスもドイツも、ロシアや中国に対抗して、何とかアフリカやアジアの国々を繋ぎ止めようとしているけれど、どこでも冷ややかな対応しか得られていない。アメリカ政府の言うなりに物を言うマリオネットにすぎないので、まるきり状況に外れた発言をしては、反発を食らっている。
その一方では、中国を訪問して習近平と会談してきたフランス大統領マクロンは、その後、台湾問題については、ヨーロッパはアメリカに従って関わるべきではないと言い始めたりしている。西側の中でも、もうアメリカに従ってばかりいるのをやめようという動きが出てきているのだ。実際、アメリカ政府の言うなりになっているのは、選挙資金を援助してもらっている一部の政治家だけのことで、国民の意志などではない。西側諸国は、そのマリオネットたちから国を取り返すしか、もはや道はないというところに来ている。
アメリカでも、起訴やら何やらで不正な目に遭うごとに、トランプの人気はますます高まっているし、民主党でもロバート・ケネディ・ジュニアが立候補していて、さかんにバイデン政権を批判している。ウクライナへの軍事援助についても、ロシアのレジームチェンジを目的にするのはおかしいと言っていた。これまでは、石油利権と米ドル優位の金融システムから入ってくる豊富な資金で選挙操作して、金融エリートの言うなりになるマリオネットが政権につくように仕向けられてきたのだけれど、もはや石油産出国も言うなりにならず、米ドルの信用も地に堕ちている状態では、それもできなくなってきている。そうなると、アメリカの政治が一気に変わってしまう可能性もある。
一度ロシアを起こしたら、もう世界が引っくり返るまで止めることができないとは、まさにこうしたことだったのだ。公正さこそが力を持っているということを、ロシアは大国として長い歴史の中で知っていたのだろうか? とにかく今、世界で起こっていることは、まさにそうしたことだ。世界中の多くの国は、ロシアが他の国を公正に扱う国だからこそ、次々と協力関係を結んでいる。そうやって、公正さが通る世界が、確実に広がっていっている。
2023年4月21日
【嘘と真実の攻防戦】
アメリカのニュースキャスターのタッカー・カールソンがフォックスニュースを解雇されたというので、昨日からいろんな人たちが、これはどういう意味なのかといろんなことを言っていた。2020年の大統領選のときに、開票機ドミニオンが外から操作されて、選挙結果が変えられていたという話があり、CNNなどの他のアメリカのニュース番組では、そんな話はトランプ支持者が作り出した嘘だと言っていたけれど、タッカー・カールソンはそれについて報道していた。そのことで、ドミニオン社がフォックス社を名誉毀損で訴えていたというのだ。結局それについては、フォックス社が賠償金を支払うということで和解したのだけれど、その矢先に、フォックス社がタッカー・カールソンを解雇することになったということだった。
ドミニオンが選挙不正に関わっていたことは、開票終了間際になって、一気にバイデン票が増えていたことだけでも、誰でもそれとわかるくらいに有名な話だ。得票数のグラフはなだらかな曲線を描いていくものなのに、最後の30分前くらいのところで、急にまっすぐ上に向かって伸びていき、トランプ票を追い越しているのだ。こういうカーブのことを、SNSでは「バイデン・ジャンプ」と言っていた。あまり人気のなさそうな候補者が、選挙になったら、圧倒的に人気がありそうだった候補者を追い越して当選するということは、ここ20年くらい世界中で起こっていて、そういうときには、こういうカーブを描いていることが多い。フランス大統領選でマクロンが二期目に選ばれたときも、やっぱり開票終了寸前で急カーブを描いて勝っていて、それを「マクロン・ジャンプ」と言っていた。
あのときの選挙では、反グローバリズムを掲げていたル・ペンが勝ちそうになっていた。ル・ペンは、NATOは必要ないと言っていて、ル・ペンがフランス大統領になったら、NATOもEUも離脱する方向になっていたところだった。フランスは、グローバル化のせいで大量の移民を抱えることになり、伝統文化も崩壊寸前の状況だったから、多くのフランス国民は、経済保護主義を望んでいたのだと思う。グローバリストたちは、何とかそれを阻止しようとして、あらゆる操作を行なっていたはずだ。そして、いざ選挙開票になったら、アメリカ大統領選でも見た奇妙なカーブでマクロンが当選したのだ。それを見て多くの人は、「ああ、やっぱり」と思ったはずだ。
ドミニオンが選挙不正に関わっていることは、それくらい明らかなことなのに、ドミニオン社はそれについて報道したフォックス社を、「故意に虚偽を報道した」として訴えているのだ。故意の捏造ではない証拠くらい、いくらでも示すことができるだろうに、フォックス社もグローバリストたちを怒らせてはまずい事情があったのか、あるいはそもそも裁判所が腐敗していて勝ち目がなかったのか、ドミニオン社の賠償請求を受け入れたのだ。そのあとで、タッカー・カールソンが解雇されることになった。
ロバート・ケネディ・ジュニアは、解雇の5日前に、タッカー・カールソンが、メディアが製薬会社の言うなりに、安全性の定かでない薬を安全だと言って推奨したことを批判していたことを挙げて、それが原因ではないのかとツイートしていた。そのツイートは、世界中で拡散されていた。西側の主流メディアのほとんどが、グローバリストの言うなりにどんな嘘でも報道している中で、フォックス・ニュースのタッカー・カールソンだけは、ひょうひょうとして真実を報道し続けていたのだ。3年前に奇妙なパンデミックが始まってからは、CNNなどの主流メディアが感染者数や死者数を過剰に報道して、感染の恐怖を煽っていたけれど、それで多くの視聴者はCNNから離れていった。同様なことは、西側の多くの主流メディアでも起こっていた。ドイツのシュピーゲル紙も、オーストリアのスタンダード紙も、パンデミックが始まってから、購読者数がガタ落ちになっていた。アメリカでは、CNNからフォックスへと多くの人が乗り換えていたのだ。フォックスはタッカー・カールソンの番組のおかげで、CNNを遥かにしのぐ視聴率を得ていたそうだ。
CNNのパンデミック報道については、プロジェクト・ヴェリタスがニュース担当者を隠し撮りした動画が拡散されていたけれど、死者数を増せば視聴率が上がるからと指示を受けて、死者数を水増ししていたと告白していた。多くの人は、過剰な煽り報道を見て、CNNから離れていったのだから、本当にそれで視聴率が上がっていたのかどうかはわからない。だけどとにかく、ニュース担当者は、それで視聴率が爆発的に上がると信じていたようだった。コヴィッドほど視聴率を稼いでくれるものはない、死者が多いほど視聴率が上がるんだ、と得意そうに言っていた。メディアの関係者にとっては「視聴率が上がる」は殺し文句なのだろうから、視聴率が上がるからとそそのかして、報道の内容を操作していたのかもしれない。
結局のところ、メディアは広告主の意向で動くわけだけれど、グローバル化が進んだ結果、ゲイツ財団のような国際的なNGOが世界中の政府を買収して、あるグローバル企業の製品を税金で買わせるというような事態になっている。そうしたNGOが、政府にもメディアにも資金を提供していて、主流メディアのほとんどは、その資金なしには運営できない状態だったのだ。それで、多くのメディアは、視聴率を犠牲にしても、あることないことでっち上げた煽り報道を続けていた。その中で、タッカー・カールソンはグローバリストを批判するような内容の報道を続けていて、まさにそのためにCNNをしのぐ視聴率を得ていたのだ。
3月に入ってから、インドで行われたG20で、もはや西側グローバリストが世界的な影響力を持っていないことが表に出てしまったからか、その頃から、タッカー・カールソンの報道もグローバリストへの批判が鋭くなっていったような気がする。2021年1月6日の議事堂乱入事件で、暴行を働いたとされていたトランプ派の人たちが、まったく平和的に議事堂内を警備員に案内されて歩いていた動画を公開したりしていた。ウクライナにアメリカの生物兵器研究所があるということについて、ファクトチェッカーが根拠もなく、それはロシアのプロパガンダだと言い続けていたのはおかしい、と批判したりもしていた。それによって彼は、グローバリストを批判するだけでなく、メディアが腐敗して、虚偽を報道していることを表に出していたのだ。
タッカー・カールソンの解雇が報道された同じ日、ニューヨークでは国連安全保障理事会が開かれていた。ロシア外相ラブロフは、南米を訪問していて、そこから飛行機でニューヨークに向かったのだけれど、そのフライトを世界中の人々が航空レーダーで追跡していた。ちょうど三週間ほど前に、トランプがマンハッタンの法廷に起訴されて、トランプ・フォース・ワンでニューヨークへ向かったときのように、世界中の人々がラブロフのニューヨーク入りに注目していたのだ。マンハッタンはアメリカのグローバリストの砦のようなものだから、トランプにしてもラブロフにしても、まるで敵の陣地に乗り込んでいくようなものだった。
ラブロフは、ロシアのジャーナリストたちとともにニューヨークに来るはずだったのに、ジャーナリストたちのヴィザが出発直前になっても出なかった。それで、ジャーナリストたちはニューヨークに飛べなかったのだけれど、飛行機が離陸したあとになって、ようやくアメリカ大使館がヴィザを発行したそうだ。
今や米ドル支配から離れて、BRICS側につく国が爆発的に増えている中で、ウクライナのことにしても、もはやロシアが一方的に悪いという西側の論理は通じなくなってきている。ブラジルもヴェネズエラも、ロシアが一方的に悪いというアメリカ政府を公然と批判していた。そうした状況の中で、ロシア外相が安全保障理事会の議長を務めるために、ニューヨークにやってきたわけなので、世界中がラブロフに注目していた。ロシアのジャーナリストたちに間に合うようにヴィザを出さないというような嫌がらせをしたのは、ラブロフが表に出るのを何とか牽制しようというグローバリスト側の抵抗なのだろう。
タッカー・カールソンの解雇にしても、ロシアのジャーナリストをニューヨーク入りさせない工作にしても、人々に嘘を信じさせることで支配してきたグローバリストたちが、何とか真実が表に出るのを押し留めようとしてあがいているように思える。タッカー・カールソンにしても、ラブロフの人気にしても、すでに十分に多くの人々が、巧妙に作られた虚偽よりも、真実を求めていることを示しているようだ。真実が表に出てくる圧力がもう十分に大きくなっていて、それを押し留めようとする試みは、もう逆効果に終わるようなことになっているんじゃないかと思う。トランプの起訴が、逆にトランプの人気を高めてしまったようにだ。
ラブロフは、安全保障理事会の席で、堂々と西側のダブルスタンダードを批判していた。国連憲章に則って、アメリカは他の国々の主権を阻害する軍事介入をやめるべきだと言っていた。その後の記者会見でも、ラブロフは最も注目されていて、世界中がラブロフが何を言うかと聞き耳を立てていたのだ。これまで西側のグローバリストにいいように操られてきた国々としては、ラブロフはついに西側諸国の欺瞞を暴いてくれる存在なのだと思う。ラブロフが出てきたことで、国連はついに本来あるべき公正さを取り戻そうとしているように思えた。
ロシアのジャーナリストにヴィザをわざと遅らせて出すみたいな姑息な手を使って妨害しているのも、もはやグローバリストの側には大した力はないことを示しているように思える。そして、アメリカ政府がそのような手を使ったことを、世界中が見てしまったのだ。そんなことがあったおかげで、ラブロフへの注目はますます高まったようだ。タッカー・カールソンにしても、フォックスを離れたら、もっと自由に報道できるメディアがあるのかもしれない。真実の力の大きさがすでに示されている今、どのみちもう真実を押しつぶすことはできなくなっているような気がする。妨害しようとすればするほど、雪崩に飲み込まれるように、つぶされていくだけなのかもしれない。
2023年4月25日
【光と闇の戦いは本当にあった】
ニューヨークで行われた国連安全保障理事会に、ロシアのラブロフ外相が議長として参加して、ウクライナの戦争にしても、これまで世界中で行われてきた戦争にしても、西側諸国が国連憲章を無視して一方的に行なってきた戦争犯罪だということを明言していたのは、これまでアメリカ政府の身勝手なやり方に辟易していた世界中の多くの国々にとっては、よくぞ言ってくれたというようなものだったと思う。その一方で、西側の主流メディアは、それまで報道してきた嘘にこの事実を合わせるために、四苦八苦していたのかもしれない。イギリスのスカイニュースは、ラブロフ外相が嘘八百を述べ立てて世界中をペテンにかけようとしたのだという印象を作り出そうとして、ラブロフが「ジェダイマスターの暗黒の外交術を使って」いたと書き、ロシア外務省報道官のマリア・ザハロワに、「フロイトがいう心理的な言い間違いが起きたようですね」と突っ込まれていた。
スカイニュースは、ウクライナ政府と西側諸国がミンスク合意を無視したことや、2021年12月にプーチンが相互安全保障条約を提案したのを西側諸国に無視されたことなどを、ラブロフ外相が語ったことについては何も書かなかった。そして、ただラブロフ外相がG20で「ウクライナの戦争は、ウクライナが攻撃をしかけて始まった」と言って失笑を買ったとか、ロシアが国連安保理の議長を務めるなど、まるでエイプリルフールだとゼレンスキーが言ったとか、そんなことだけ書いて、「ジェダイマスターの暗黒の外交術」と大きく見出しに出したのだ。
ジェダイマスターといったら、スターウォーズに出てくる正義の側の戦士のことだ。スカイニュースのジャーナリストは、暗黒の側の戦士のことを言うつもりだったのに、間違えて光側の戦士の名前を書いてしまったものらしい。国連安保理の議長を務めるために、ニューヨークに飛んだラブロフ外相は、まさしく敵の陣地に乗り込むジェダイマスターそのものだった。アメリカ大使館がロシアのジャーナリストのヴィザを発行しないという姑息な妨害を加えてきたのをものともせず、ウクライナのことばかりでなく、アメリカとNATO諸国が行なってきたこれまでの国連憲章違反を堂々と明かしてみせたのだ。
フロイトは、人がうっかり言い間違いをするときに、本当は言いたいのに言えないでいる本心がポロリと出ることがある、ということを言っている。たとえば、フロイトが務めていた大学で、新しく大学教授になった同僚を祝うために乾杯しようというときに、本当は自分が教授になりたかった助手が、乾杯しよう(アンシュトーセン anstoßen)と言うべきところを、反吐を吐こう(アウフシュトーセンaufstoßen)と言ってしまった、という話をフロイトは書いている。この助手は、自分じゃなくて同僚が教授になったのが忌々しかったので、お祝いするような気分じゃなく、反吐を吐いてやりたいというのが本心だったというのだ。
スカイニュースのジャーナリストが、「ジェダイマスターの暗黒の外交術」と間違えて書いてしまったのは、それと同じようなことらしいというのだ。そのジャーナリストは、本心ではラブロフ外相が正義の戦士のようだと感じていて、だけど表向きロシアを悪く書かなければならないので、本心の方がうっかり出てしまったのだろうと。
暗黒の帝国が一方にあって、正義の戦士たちが他方にあって、光と闇との戦いが繰り広げられるなんていうことは、子供向けの作り話の中だけにあるようなことで、どちらがいいも悪いもないのだと、これまでは思ってきた。しかし、それが実はそうと思い込まされてきたのだということを、この3年で私たちは知ることになったのだ。悪と正義の戦いは、作り話の世界ではなく、私たちが生きている現実そのものだったということをだ。私たちはまさに「暗黒の帝国」に生きていて、利益のためには嘘をついたり、人を害したりすることを厭わない人たちが取り立てられてきた。そして、まさに人々を搾取し苦しめようという悪意によって支配されていたのだ。その現実を人々の目から隠すために、そんな悪意で支配するなどは子供っぽい妄想にすぎないとか、世界にはどちらがいいも悪いもなく、考え方が違うだけなのだとか、そういうことが言われてきたわけだった。
3年前に始まった奇妙なパンデミックにしても、ウクライナの戦争にしても、考え方の違いとか何とかいうような問題ではなく、単純に嘘だった。ウィルスが脅威だというのも作られた嘘だったし、ロシアが一方的にウクライナを占領しようとしているというのも、故意に作られた虚構だった。そして、その嘘の目的は、人々を犠牲にして利益を独り占めしようという、純然たる悪意以外のものではなかったのだ。
ところで、この暗黒の力に従ってしまう人々が少なくないこともまた、私たちはこの3年間でまざまざと見ることになった。ジャーナリストも医学者たちも、嘘と知りつつ、大金が得られるからと協力している人たちがたくさんいた。従わないと解雇されるからとか、迫害されるのを恐れて従っていた人もいた。騙されて、いいことだと思い込んで一緒にやっていた人たちもたくさんいた。こういう人たちは、自身の悪意でやっているわけではないけれど、悪意に支配されてしまう人たちなのだ。そして、それこそは私たち人間の中にある心の闇というものなのだろう。私たちが心の闇を持っていればいるほど、暗黒の支配の力は強くなってしまう。この3年ほどは、まるで光と闇の戦いを目の当たりにしているようだったけれど、その中で私たちは、私たち自身の中の心の闇を光に変えていくプロセスを生きていたのだとも言える。
ラブロフ外相がニューヨークの安全保障理事会で戦争についての真実を暴露して、スカイニュースが「ジェダイマスターの暗黒の外交術」とフロイトの言い間違えをした同じ日に、ニュース番組で真実を伝えていたタッカー・カールソンが、フォックスニュースを解雇されたことが報道された。その後にツイッターに出した動画メッセージで、タッカー・カールソンは、「真実を語る人は強くなっていき、嘘をついて真実を弾圧している人は弱くなっていくのが宇宙の真理だ」と語っていた。闇の支配は、真実が表に出るのを何とか止めようとして、ありとある手を使ってくるのだから、それに抵抗していくためには、つまるところ正義は勝つ、という宇宙の法則を信じて進んでいくしかないというのが現実だ。
真実に従っている人は、自分の魂と繋がっているから、その点では嘘をついている人よりも強い。そして、闇の抵抗に遭いながら、真実に従っていこうとする人は、自分の魂との繋がりを強めていくことになるので、ますます強くなっていく。闇側からのものすごい攻撃を受けながら、闇の牙城とも言えるニューヨークに乗り込んでいったラブロフ外相は、光の戦士さながらの印象を与えたし、タッカー・カールソンのこの動画メッセージは、フォックスのニュース番組の視聴率の何倍もの人が見て、世界中で翻訳がシェアされていた。闇の支配は、利益と引き換えでなければ人を動かせないけれど、光に従う人は、それが真実だということだけで動く。だからこそ、しまいには正義が勝つことになるし、真実が嘘に勝つことになる。
3月23日に冥王星が水瓶座に入ってから、この動きはますます加速したようだ。闇側の妨害は、もはや光の戦士たちの光をますます強めてしまうことにしかなっていない。そして、その光のありようを世界中の人々が見てしまうことで、この光の力は否応もなく広がっていってしまうのだ。
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ラブロフが「ジェダイマスターの暗黒の外交術」を使ったと書いたスカイニュースの記事
タッカー・カールソンの動画メッセージ
2023年4月28日
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