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深夜のうちわ捜索大事件

先日、京都旅行に行ってきた。3泊4日の一人旅だ。その2日目の深夜、大事件が起こった。

京都に行ったら必ずご飯を食べに行くおばんざいお店がある。初めて行ったのはおそらく7、8年前。ご飯も美味しいし、とにかくおかみさんの人柄が素敵なのだ。予約の電話口の「おおきにー!!!」に毎回心を奪われる。

カウンター席とテーブルが1つだけのこじんまりとしたお店なのだが、それがまた良い。毎回、名前も知らない隣の人と話をする。私と同じように旅行にきている方や、お医者さんや、長野の山小屋で働いている方や、1年に数ヶ月だけリゾート地で働いているという方もいた。

普段、関東に住んでいる私がふらっと通うことはできないのだが、私にとって大事な思い入れのある場所なのだ。

今回も楽しく飲んで食べた帰り。周年記念で作った「うちわ」をおかみさんにもらった。おかみさんの似顔絵と店名が入った可愛いうちわだ。京都の老舗のお店で作ったらしい。

とても嬉しくて、家まで絶対に持って帰って飾ろう、気をつけないとどこかに忘れそうだ、と思いながらホテルに帰った。

ホテル到着後、お風呂に入ろうとしたときに事件が起きた。ないのだ。うちわが。ない!どこにもない!部屋のどこを探してもない。

ホテル最寄駅までは手に持っていた記憶がある。チャージしようとしたときにいろいろ手に持っていてわたわたしたのだ。そこからどこまで手に持っていたのかがわからない。

ホテルについて部屋に戻る直前、ホテルのロビーでちょっと椅子に座った瞬間があった。エレベーターが混んでいたのだ。そのときに置いてしまったのでは、と祈る気持ちでロビーの椅子を見に行ったが、ない。

フロントの方に確認するものの、ない。重い足取りで部屋まで戻った。

さっきまであんなに楽しかったのに、と泣きたくなった。すでに時刻は深夜23時直前。駅のトイレやドラックストアに寄ったことを思い出すもののもう閉まっているだろう。明日にしようと思うものの、諦めきれず部屋の中をうろうろ。

そのとき、ホテルに着く直前にコンビニにも寄ったことを思い出した。コンビニはホテルの隣。コンビニだけ、コンビニだけ行ってみて、なかったら諦めて明日朝一で駅に行こうと決意し、コンビニに向かった。

コンビニに入るとお客さんはほぼいない。レジの店員さんにうちわの忘れ物がないか尋ねた。ここでもハプニング、店員さんが海外出身の方のようでどうやら「うちわ」が通じていない。他の店員さんが集まってくるが、みなさん海外出身の方、身振り手振りでなんとか伝えていると、お一人がぱっと後ろを向いて棚をゴソゴソ。振り返った彼の手には、なんと、うちわが!!!

私は大感激。とにかく安心して泣きたくなった。感謝の気持ちでいっぱいでとにかくお礼を伝えたが、店員さんはそのままスッとレジに戻ってしまった。ちょっとだけ食い下がって感謝の言葉を伝えて何回か頭を下げてセブンを出た。

深夜の大捜索、無事解決。ホテルのフロントの方にも見つかったこととお礼を伝えて部屋にもどり、穏やかな気持ちでお風呂に向かった。

うちわは無事家まで持って帰ってきた。私の部屋の一等地に飾っている。

なぜコンビニにおき忘れてしまったのか。実は一つ思い当たることがある。それは次回また。

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