つばめ
春と夏の間、
視界にスイースイーと軽快に横切る黒いもの
地面スレッスレに低空飛行を繰り広げる小さきもの
つばめ
ああ今年もこの時期がやってきたか
あの者たちはいつだって2羽で飛ぶ
1羽がいるのなら絶対にもう1羽いる
2羽で揃って巣を築き、
2羽で揃ってまた舞い戻ってくる
この地に
野生動物に固有の感情を抱き見守ることは難しい
頭にピンクのリボンなんか付けておいてくれたらわかりやすいがそんなお洒落を自然は好まない
だが、つばめは必ずこの地へ帰ってくる
一年ごとに羽根を並べて
なんて美しいのだろうと思う
あ、いや、もしかしたら
また別の2羽が訪れている可能性も否定はできない
あの2羽が他の2羽へ、「わたしたちは訳あって別の地へ移るけれど、あなたたち、あそこおすすめよ」と伝えてくれたのかもしれない
浮ついてしまった1羽が別の1羽に替わっているかもしれない
でも私はあの2羽が帰ってきていると信じて今日も見上げる
おかえり
ゆっくりしていってね
もう行ってしまったのね
また来年