サルトルの笛〜第二章〜ダイアログ横丁
「えーっと、こっち。」
春也はドギマギしていた。見るもの全てが新しく新鮮な物に見えていたのだ。
「の、憲福お兄ちゃん!」
「んっ?」
「こ、ここ、まっ魔法界??」
「いやいや、違う、違う。イギリスのロンドン。初めて見るから、恐い?」
「う、うん。ちょっと、怖い。」
「うんうん。little my sister.happune.little happune.」
憲福お兄ちゃんの言葉は魔法の言葉だ。と想った時が0歳半の時だった。あの時。私はずっと想ってきた、家の前にある、いちじくの木に頭をぶつけてしまった時だった。何故か、その時、頭の痛さよりも、木の、気持ちが解らなくなってしまったのだ。その時、大きな声で泣くしかなく、全て、私のせいで、世界が壊れてしまったかのようだった。でも、その時、それをお兄ちゃんに伝えるとこう言った。
「大丈夫。世界が崩れたってどっちでもええやろ?それは、お前のせいでもないかも知らん。何が恐かったんや?」
私はその時、言葉が達者では無かったから、図鑑を前にして、大きなひまわりの巨象を半画用紙でそれを描いてみせた。
その時、言った。
『magical,magckus's,』
お兄ちゃんは少し頭を捻ってこう言った。
「ひまわりはお前にとって、何やった?」
その時、私が言った言葉がある。
「おおきな、おおきな、せかいなんだよ」と、。
その時の事を今でも想っている。憲福お兄ちゃんにおデコにキスをされたり、抱き締められたりすると、アールグレイの紅茶の香りがする。アールグレイ、嫌いだ、って言っても、私は、そんな匂いが、する。
「大丈夫、か?」
私は大きく頷き、また、憲福お兄ちゃんが手を引いてくれて歩き出した。ー 一緒に横に立つには様々な試練があります。けれど、それをした時に、相手がどう想うか、どんな事を想っているのかは、考えなくていいです。横に立って、手を繋いだとき、初めて、貴方はその人の、愛しい人になれるのだからー、
私は、薄く小さく笑って、愛しい人の横で立って、歩き出した。ー······。