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本当の「好き」は、自分のなかにかくれてる

整理収納アドバイザーの本田さおりさん。さっぱりとした言葉遣いと、取り入れやすい収納アイディアが好きで、著作や記事をたびたびチェックしています。

とくに、本田さん自身のことや暮らしの工夫について書かれたエッセイ「暮しをそのままの自分に寄せて」はお気に入りで、なんだかモヤモヤするなぁなんてときにそっと開いては、改善のヒントをもらっています。

とくによく見ているのが、これまでの仕事の試行錯誤をまとめた部分。

大学を卒業し、企業に入って働く。それ以外の選択肢はないと思っていた本田さんが、社会人1年目で身体を壊し、先の見えない日々を経て整理収納を仕事にするまでの道のりは、何度読んでも励まされます。

会社員にこだわることなく好きなことを仕事にできたなら、自分の個性を生かせたなら、どんなにいいだろう。

ただ問題は、自分にはとくに好きなことも個性も見当たらないということでした。美容に関心があるわけでもない、絵が描けるわけでもない。カフェめぐりが好きだったので、カフェを本業にするべきなのだろうかと、修行気分で働いたこともありました。ところがそこは相当ブラックで、朝から晩まで休憩なしで10時間働きづめ。都心のおしゃれなカフェで、芸能人のご来店なんていうこともよくありましたが、つくっているのはおなかペコペコのスタッフでした。

これはいかん。もう、どうしたものやら。そんなとき、知人から言われたのです。
「好きなことなんて探さなくていいだよ。もうやってるんだから」
ハッとしました。私は、会社にいたとき効率よく働けるデスク周りのシステムをつくってほめられていた。カフェのバックヤードで、コックコートを選びやすい仕組みをつくって喜ばれた。子どもの頃から、自室の収納見直しが遊びのようなものだった。友人から、「あなたの収納術ってすごいよ」と言ってもらっていた。

(中略)

「好き=情熱的に好き」とは限らないことに、ようやく気づきました。いつの間にか自然とやっているような、「平熱の好き」だってあるのです。

本田さおり「暮らしをそのままの自分に寄せて」主婦の友社

「好き」って人より熱意を抱けるような、「あ〜、それは確かに好きだね」と言われるような、そんなレベルじゃないといけないと、思い込んでいました。

でも、気づかないうちについやってしまうことこそ、本当の「好き」なのではないか…。この文章を読んで、そのことに気づかされました。

じゃあ、私にとって「平熱の好き」ってなんだろう…?

色々と考えてみましたが、さっぱり思いつきません。

どうすれば自分の「好き」を見つけられるんだろう。そう考えて、まずは過去を振り返ってみることにしました。

これまで周りから褒められたこと、喜ばれたこと。そういう成功体験を思い出してみることにしたのです。

まず思いついたのは、文章を書くこと。作文や小論文、レポートなど文章を書くことはいつもいい結果をもらっていた。

それならば、書くことを磨いていけばいいのかも。

そう思ってSNSで文章を書いてみたり、ライターとして記事を寄稿したりしてみましたが、なんとなくしっくりきません。

そうしてある日、気がつきました。「書く」というのは、あくまで誰かに伝えるための手段。いくら書く技術を磨いても、伝えたいことがなければいい文章にはならないのです。

じゃあ、私はなにを伝えたいんだろう?

また、さっぱり思いつきません。さて、困った。

そうしてしばらく「好き」が分からないままでいたんですが、今朝ふと「あ、そっか。私の好きなことはこれか」と腑に落ちた瞬間がありました。

私にとっての「平熱の好き」、それは「よりよくなる工夫」を考えることだ。

家のなかを見渡せば、子どもがおもちゃを出し入れしやすいような仕組みが散りばめられている。家事がスムーズにできるように、動線に合わせて収納を工夫している。毎朝書いている思考整理ノートでは、常にどうすればよりよくなるのかのアイディアが書き連ねられている。

よくよく思い出してみれば、会社にいたときもいつも成績をあげるための工夫を考えていたし、大学のときもトレーナーとして楽しくトレーニングする方法を考えていた。中学生のときなんて、頼まれてもいないのにクラスルールをつくって模造紙に書いて貼り出していたっけ。

成果が出た!と胸を張って誇れるわけでもないけれど、それでもその時々で喜んでくれる人はいた。

頼まれてもいないのに、ついやってしまうこと。私にとって「平熱の好き」はよりよくなるアイディアや工夫を考えることだと、ようやく気づいたのです。

と、いうことは、私は「よりよくする工夫」を追求して、それを「書く」ことで伝えればいいのかも。

方向性が見えてくると、なんだかそれだけで目の前が明るくなったような、前向きな気持ちになってきました。

これまでもライターとして暮らしの工夫を記事にしていたんですが、これもさらに捗りそう!

自分の新たな一面に気づくと、なんだか生まれ変わったようなワクワク感を得られるから不思議です。

新しい自分とまた一歩、楽しい未来へ向けて進んでいきたいと思います。


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