月曜日は最高だとわたしは言うけれど【2024.01.13~2024.01.19の日記】

2024年1月13日(土)

 朝は確かにいい天気だった土曜日。大量の洗濯物を干した後で、午後から雨予報になっていることに気づいた。こんなに晴れているのに雨が?と半信半疑だったけれど、いちおうすべての洗濯物を室内に入れておく。ワークショップの開始とともになんと雪が降ってきて、あとからこのときの自分の判断に大いに満足することになる。

  午後、下北沢に向かう。ワークショップメンバーQさんが下見しておいてくれたビアパブでみなさんに合流。やりたいことリストを作る会だったけれど、わたしは特にこれといってやりたいことが思いつかなかった。ここ数年、人生を前向きに進める意欲みたいなものが失われがちなせいだと思う。とりあえず、「やりたいことリストを作る」というのをやりたいことリストのいちばん上に書いた。

 ワークショップでは、みんなが今、日記について思っていることをひとりずつ話した。散歩に行くたびに犬の数を数えるという記述について、わたしがずっと感じていた「日記らしさ」の訳を、phaさんが完璧に言語化してくださって感動した。なんというか長年日記と向き合っている人の凄みを感じてしまった。やっぱりphaさんにはぜひとも『日記をつける』令和版を書いていただきたい。

 その後はTさんが音頭を取ってくれた食事会へ。参加人数が多すぎて、結局は魚民で飲むことになったけれど、いかにもサークルの飲み会という感じで、結果的にとても我々に似つかわしい店選びになった気がする。世代も見た目もまとまりのない集団による、謎の日記サークル11名でのご来店だった。

2024年1月14日(日)

 日記ワークショップ翌日の日曜日。朝、起きてみると思ったより疲れている。よく考えたら知り合ったばかりの人たちとお酒を飲むのは久しぶりだ、しかも魚民のような賑やかな店で飲むこと自体が久しぶりだ。すごく楽しかったけどそりゃ疲れますよね、というわけで無理せず一日のんびり過ごすことにする。昼間からお風呂を沸かして、夫と一緒に入る。

 のんびり過ごすついでに、前日の日記ワークショップを反芻する。それぞれ自分がいちばん好きな日記を選んで、それを合わせて一冊のコピー本を作ろうという話になった。卒業文集みたいですごく楽しそう!とテンションが上がると同時に、どうしよう、自分はどれを選んでいいかわからないぞ……と思った。選び方がわからん。締め切りまでに決められるかしら。

 自分の日記でいちばん好きな回は、特にない。でも、みなさんの日記でいちばん好きな回はすぐ言えそうだな、と気づく。なにしろわたしは皆さんの日記を毎日欠かさず読み込んでいますので、思い入れもひとしおです。あえてここには書かないけれど、たぶんみなさん全員の日記に、わたしにとっての「マイ・フェイバリット回」がある。

 おそらくわたしの好きな回と、ご本人にとって好きな回は違うだろうと思う。いちばんよく書けている、というのともちょっと違う。とにかくわたしが偏愛している回だ。

 そういうわたしの偏愛に満ちた「マイ・フェイバリット回」だけを集めて、「コンピレーション日記アルバム selected by ちはる」みたいな本を作れたら、個人的には楽しいかもしれない。というか本の形にしなくても、心のなかで考えてみるだけでも楽しそう。ちょっと考えてみよう。

 ここまで考えてひらめいた。残りのワークショップ期間中、皆さんの日記を全部、おひとりずつ再読していこうと思う。1日ひとりずつ再読していけば、2週間でちょうど14人だしね。

 大変そうだったら途中でやめます。でもいまは暇だし、2月から微妙に仕事に復帰し始めるかもしれないので、ずっと熱心に読んできたみなさんの日記を改めて読み直すなら、わたしとしてはいまのタイミングがベストかもしれない。書くこと以上に読むことに熱中していた感のある、わたしのワークショップの総仕上げとしてもふさわしい気がする。

 というわけでこの日は一日、日記を読んだり書いたり読んだりしていた。明日も誰かの日記を読むぞ、たぶん読むぞ。

2024年1月15日(月)

 すっきりと晴れた月曜日の朝。月曜日は嫌いだと言う人が多いけれど、わたしは月曜が大好きだ。1週間でいちばん好き。いま、仕事をしていないからそう思うだけだろ!というわけではなく、中学生でいっちょまえに反抗期を迎え学校に行くのがダルかった時期も、大学時代に当時の恋人と関係がこじれて最悪な気分だった時期も、社会人時代にメンタルをやられて倒れる寸前だった時期も、月曜だけは気分がよかった。

 月曜の朝になると、新しい週の開始とともに、すべてのものがまっさらになって新しく始まる予感がして、そこが好きだ。別に先週までの問題は何も解決していないし、自分から動かないと何も新しく始まったりはしないってわかってるんだけど、でもやっぱり月曜日が好き。月曜日はみんなから不条理に嫌われているようだから、わたしが死んで、審判の門(?)みたいなところで「あなたは生前に何か善きことをしましたか」と問われたら、きっと月曜日の神(??)が現れて、「この人は生涯に渡りわたしを愛してくれました」と証言してわたしを救ってくれるに違いない(???)。

 寒いけれど朝の公園散歩に行く。梅園の梅は少しずつ花をつけ始めている。この日に咲き始めていたのは、水心鏡(すいしんきょう)、八重野梅(やえやばい)、田子の浦(たごのうら)といった木で、いずれも白梅。梅が咲き始めるとともに、梅園を散歩する人がちらほらと増え始める。もちろんわたしもその中のひとりで、最近は普段の散歩コースを微妙に変更して、梅園の中を通るコースにしている。途中で見かけた犬の数、18。

2024年1月16日(火)

 よく晴れて北風の強い火曜日。朝、起きた瞬間にメンタルの調子の悪さを確信。朝食を食べながらXを無の表情で眺めていたら、いきなり最高のポストがタイムラインに流れてきた。「苔のむすまでチャレンジ(@ishikokemusu1)」というアカウントで、大きな石に水をかけ続け、苔が生えるまでの様子を毎日たんたんと投稿する、というもの。この数日、一部でバズっていたらしい。

 わたしが見たポストには、ビミョ〜〜に緑がかったでかい石の写真と、その石にじょうろ?で水をかける動画がついていた。「苔のむすまで204日目」と書いてある。あまりの良さに興奮して、「苔のむすまでチャレンジ」さんの投稿を全部さかのぼって見てみた。だいたい50日目で石の上部分がうっすら緑色になり、60日目でうっすらした緑色が石全体に広がり、123日目で、目視できるレベルで苔が芽吹き始める。しかし基本的に大きな変化はなく、毎日変わらず石は石である。

 渋い、あまりにも渋すぎる。というかわたしが日記でやりたかったことって、要するにこういうことだ、とはたと気づく。これぞ日記というものだ。ワークショップも最終盤になって、いきなり理想の日記に出会ってしまった。マライアキャリーチャレンジも面白かったけどさあ、あれはどうしたって季節モノだからね。苔のむすまでチャレンジ、いいなあ。めっちゃ真似したい。このワークショップが終わってから、突如としてわたしの日記にでかい石の写真が連続投稿され始めても、みなさんどうか驚かないでほしい。

 元気がないけれどボルダリングジムに向かう。ボルダリングは精神にいいから、元気がないときこそ行ったほうがいい。ジムに向かうバスの中でみなさんの日記を再読していたら、降りるバス停を通過してしまった。仕方ないから寒空の下、遠回りしてジムに向かう。

 その途中で、ミッキーマウスの耳のついた帽子をかぶり、ミッキーマウスみたいな服を着て、ミッキーマウスみたいな歩き方をしている人とすれ違う。ミッキーマウスの耳のついた帽子をかぶり、ミッキーマウスみたいな服を着て、ミッキーマウスみたいな歩き方をしているということは、それはつまりミッキーマウスその人なのでは?と一瞬思ったけれど、よく考えたら本物のミッキーマウスは、ミッキーマウスの耳のついた帽子をかぶったりはしないはず。だってもともと耳がついているんだからね。

 ジムはこの日も空いていた。手首に紙のバンド(利用可能時間がマジックで書いてある)を巻いてもらうとき、スタッフさんが私のネイルのラメを褒めてくれた。

2024年1月17日(水)

 引き続きよく晴れて寒い水曜日。この日は夕方から3回目の心理カウンセリングの日。年末年始をはさんだので、約1ヶ月ぶりだ。何を話したらいいのかな、日記ワークショップのことはもう前回話したし……と悩む。相変わらずメンタルの調子はイマイチだけど、この日は夫が在宅勤務で家にいるので気持ちがラク。夫の存在で生かされているわたくし。

 結局、仕事の愚痴みたいなことをダラダラと45分間も話してしまった。これが何かわたしに良い効果をもたらしたりするのだろうか? まだいまいち、カウンセリングという技法を信用できていない。とりあえずまた2週間後に予約を入れる。その頃には、この日記ワークショップは一応終わっているんだよなあ。なんかちょっと、想像がつかないな。そのくらい、いまとなってはこのワークショップが、わたしの生活の中心を占めている。

2024年1月18日(木)

 火曜のボルダリングによる腕の筋肉痛が、木曜になってもまだ続いている。箸を持つのもちょっとつらい。ボルダリングで筋肉を鍛えているはずなのに、箸より重いものが持てない……どころか箸を持つのすらおぼつかなくなっているのは本末転倒な気がする。

 この日の主な予定は、日記ワークショップのために自分のいちばん好きな回を選ぶこと、以上。「自分が好きな一日」「自分らしさがいちばん出ていると思う一日」とのことだけど、これが本当に決められない。自分の日記に対して、好きとか自分らしいとかいった感情がない。

 自分の日記から逃避するために、ワークショップのみなさんの日記を読ませてもらうことにする。それからもう一度自分の日記を再読してみる。やっぱり決められない。他の人の好きな日記はいくらでも挙げられるのに、自分の日記の好きな回は全然わからない。煮詰まってきたので、買い出しを兼ねて公園へ散歩に行くことにする。曇り空の下、小学生15人くらいの集団が、だるまさんがころんだをやっていて大いに盛り上がっていた。途中で見かけた犬の数、13。サギの数、1。凧揚げをしている人の数、2。

 この日の夜は、夫が飲み会で不在だった。夫もわたしも酒飲みなので、一緒に夕食を食べているとどうしてもお酒を飲んでしまう。今日はいい機会だしお酒をやめてみようかな、とふと思う。

 わたしはお酒がやめられない。やめたほうがいいんだろうと思ってはいるけれど、やめるつもりはない。お酒をやめると、たぶん別の依存対象にはまるか、自傷行為のようなものをし始めるか、その両方になるかするだろうという予感があるからだ。例えば過食嘔吐からの拒食症とか。過食傾向はわたしの中に確実にあるので、これはとても怖い。お酒は一応、今のところ理性で飲みすぎない程度に抑えられるので、過食よりは飲酒のほうがわたしにとっては安全な依存先という気がする。

 なのになんでこの日は、お酒やめようかな〜なんてガラにもないことを考えたのかというと、あれです、ちいかわの栗まんじゅう先輩の影響です。数日前のちいかわで、栗まんじゅう先輩が飲酒中、たまたま飲酒免許が手元になかったために違反ハンコを押されてしまったんですよ。ちいかわ界では、飲酒は免許制なんです。栗まんじゅう先輩は完全に私と同じタイプの人間(365日酒がやめられない&飲まないと1日を終えられない)だと思っていて、でもおでこに押された違反ハンコが消えるまでの数日間は酒を飲めなくなってしまったんです。禁断症状に苦しむ栗まんじゅう先輩。とってもかわいそう。心から同情してしまう。でも、数日経っていざハンコの跡が消えたら、栗まんじゅう先輩はすっかり憑き物のとれたような穏やかな表情で、だし汁や白湯やほうじ茶(緑茶と違ってカフェインが入っていない茶なのがポイント、カフェインも依存性あるからね)などの飲み物を味わう人になっていたんです。

 えっ、栗まんじゅう先輩、お酒は卒業しちゃったの?絶対に嘘だ、すぐにまた酒を飲み始めるよ。そういうヤツだよ栗まんじゅう先輩は。絶対そうだ、そうだよね?そうであってくれ、お願いどうかまたお酒を飲んでください、栗まんじゅう先輩、わたしを置いていかないでくれー!

 ということで、栗まんじゅう先輩が禁酒に(今のところ)成功したのがショックで、勝手に置いてきぼりにされた気分になったため、わたしにだっでできるもん、今日はお酒を抜いてやる……という気になった、というわけです。

 今、金曜のお昼にこの日記を書いておりますが、結局、お酒は飲みませんでした。えら〜い!ほらやっぱりやればできるんだよわたしは、普段はやらないだけで。なんて偉いんでしょう。わたしも禁酒できたよ栗まんじゅう先輩! たった1日だけどね!

 でもやっぱり、栗まんじゅう先輩にはお酒を飲んでいてほしい。毎日、二日酔いのため顔色が土気色になっていて、眉間に深いシワが寄っている栗まんじゅう先輩には戻らなくてもいいけれど、お酒を適切に楽しむ栗まんじゅう先輩の姿が見たい。せっかく飲酒免許も持っているのだしね。

2024年1月19日(金)

 朝から立ちくらみが止まらない。私は昔から貧血気味なので、めまいや立ちくらみはよくあることだけど、この日の朝はちょっとひどかった。鉄分が足りていないのかもしれないし、自律神経がイカれているのかもしれない。どちらにも心当たりがありすぎる。とりあえず鉄剤を飲んで様子を見ることにする。

 立ちくらみは止まらないけれど、ゴミを出すついでに日課の公園散歩に行く。池の近くの木にリスがいるのを見つける。枝を駆け登っていくのを見上げたら、立ちくらみがひどくて倒れそうになった。危ない危ない、気軽にリスも見られない。梅園の梅はどんどん咲き始めている。この日に咲き始めていたのは、白鷹(はくたか)という白梅、紅冬至(こうとうじ)というピンクの梅、一重寒紅(ひとえかんこう)という紅梅など。途中で見かけた犬の数、20。リスの数、1。

 公園の入り口で、近所のパン屋さんが本日11時半から出張販売に来るとのお知らせが掲示されていた。12時過ぎ、在宅勤務中の夫とパンを買いに再び公園へ行く。パンはあらかた売り切れていた。チーズパンとハッシュドポテトとパンダパン(クリーム味)を買って、梅園のベンチで夫と食べる。わたしにとってはこの日二度目の梅園である。パンを食べながら夫に、立ちくらみがひどくて体調が悪いのは、絶対に昨日の夜にお酒を飲まなかったせいだ、お酒は健康にいい飲み物だということがこれで証明された、と力説する。夫は、そうだね、酒飲みらしく自分に都合の良い解釈だね、と言いながらパンダパンを食べていた。

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