サーカス注射
注射の痛みで、子どもたちが泣き叫ぶ。
親や医師たちの頭を悩ませる、病院ではおなじみの光景だ。
彼らがこれ以上痛い思いをしないため、「サーカス注射」が開発された。
「サーカス注射」は、注射中に子どもたちの脳内でサーカスを上映する。
サーカスに夢中になっている間に注射を済ませられるので、子どもたちは泣き叫ぶこともなくなった。
親や医師たちの評判も上々だった。
だが、彼らは程なくして新たな問題に直面することになる。
子どもたちは、「ずっとサーカスを観ていたい。そのために注射を打って」と親たちに懇願するようになった。
「サーカス注射」を受けたくてたまらなくなる依存症に陥る子どもが続発し、親や医師たちの悩みの種が消えることはなかた。。