神様小学校

 教員会議は紛糾していた。
「ならぬ。断じて其のような見解は認めぬ」
 筋骨隆々の武神が首を振る。
「妾の退屈が些かでも紛れるなら其れで宜し」
 豊穣神が端正な両足を組み替える。

「彼のような徳目、非力な存在が愛でるもの。我らが要する事態など、ゆめゆめあるまいて」
「其の方は相も変わらず退屈じゃの。時には、妾の予想から外れてほしいもの」
「何を! 我を愚弄するおつもりか。積年の因縁に蹴りをつけても構わぬぞ」
「妾は一向に構わぬ」
 椅子を蹴立て、豊穣神の眼前に剣を突きつける武神。
 感情の乗らない豊穣神と逆上する武神の視線が、剣上で交錯していた。

「待ちたまえ。賢明な貴公らなら理解できよう」
 割って入る声。長老然とした創造神が重々しく口を開いた。
「我らは幾年も無益な議論を繰り返してきた。我らの愛し子たちが同様の過ちを継承せぬよう、こうして来年度より生徒諸君の協調性を鍛える課程の導入を提案しているのだ」

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