不自由な通信:0083
仕事に行くのが億劫になってしまったので、スマホをスピーカーに繋いで友達としゃべりながら走っている。
最初は気になってるニュースやら聞いている音楽の話くらいだったのが、
あれは確か大型バイクのツーリングが通り過ぎた時だったかな。
「…なに今の音?」
「バイクが5、6台くらい反対側から走ってきてた」
「マジでか?!恐竜でも襲ってきたのかと思った!」
友達のあんまりびっくりした声やら、恐竜なんてワードに二人でけらけら笑った。
それから、通り過ぎていく風景を友達に伝えるようになった。
スマホで外の景色を共有したっていいはずだけど、
「バチバチにデコったトラックが前方を走ってる。風神雷神図屏風みたいな」
「おお、ド派手じゃん。時々ゴォってなるのは?」
「…うーん、車体の左側が風を受けてる。その音かなぁ?」
「あぁ、田んぼ道だっけ。飛ばされないようにな。ハリケーンとかいる?」
「そんなんいたらもっとあわてて逃げてるよ!」
ふわっとした会話を生み出す不自由な通信が、すっかり楽しみになってしまった。
5日目 #200字日記
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