【掌編】女の子の右腕にできたポツポツ
女の子と男の子が歩いていました。中学校の帰り道でした。暑い盛りでしたから、二人とも身体中に汗を掻いています。
そのうち、半袖から伸びた女の子の白く細い腕に、ポツポツと湿疹のようなものがうっすら出てきました。それが出てきたのは、隣を歩く男の子がいる側の右腕だけでした。
女の子は汗で汚れた身体で男の子と歩いていることをたいへん恥じ入り、自分の身体が男の子に触れないようにと気を遣いながら歩いていました。
歩いていると、向かい側から自転車がやってきました。自転車を避けようとした男の子の腕が、ちょっとだけ女の子の腕に触れてしまいました。
「ごめん」と男の子は言いましたが、気恥ずかしくなって、その後はお互い無言で歩いていきました。
しばらくして、女の子の右腕にポツポツと湿疹のようなものが出ていることに男の子が気づきました。さっきまでそんなものは無かったはずだと思いました。
男の子は、女の子の腕にポツポツが出来たのは、自分の汚れた身体が触れたせいだと思い、申し訳ない気持ちになりました。
女の子は、自分の汚れた身体が男の子に触れてしまったことで、いたたまれない気持ちになっていました。
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