私の体の可能性

トモさんがよく言うこと
「快感はね、その人の中にちゃんとあるんだ。ただ、誰一人として同じ人がいないからマニュアル通りにしたってうまく引き出せないのと、その人自身がどこまでそれ(快感)を求めているのか、快感のスイッチに気づけているかとか、そんないろんな要素が絡み合うから難しいよね…。特に女性は…」

「リラックスすればするほど深く快感を味わいやすいよね。
オイルマッサージとか普通のマッサージとかも体をリラックスさせるためのもので、アロマキャンドルとかでリラックスさせてもいいし、ただハグするだけでもいい。その人がその日、どんな気分で俺に会っていて、何でリラックスするのか。ちほちゃんだって今日はハードめに、とか甘めに、ってあるでしょ?
そこの出し入れというか、読み取ってどう組み立てていくか…そこが肝なんだと思う」

一度に言われたわけじゃないけど、おおむねこんな感じのことを話してくれた。

さて、私は?
2年弱彼に触れられた私の体は、まだ知らない快楽のスイッチがあるのだろうか?

「初めてのこと、はもうないかな…あとはそれを深めていくだけ…」
前にそう言われたような気もしているのだが、その後もトモさん自身の研鑽で様々に新しいアプローチがある。
本当に、終わりがないのだ。
自分一人でできることは限られているからして。

あと2ヶ月ちょっとでどれだけ彼は私の体の可能性を引き出してくれるんだろう。
おそらく残り3回。
でも振り返ると今のお店になってからフリーハンドになったからなのか終わりを見据えていたのかわからないけれど、引き出しの強度が上がってきている。

あとは受ける私の覚悟。

たかが性感かもしれない。
けれど私にとっては眼前に引き出された上での、ケダモノの飼い馴らし方をレクチャーされている感じなのだ。

トモさんがいなくなっても大丈夫なように。

今回のオーダーは割とシンプル。
後ろの開発をメインにしてほしいこと。
私の体の可能性を残り時間で引き出してくれると信じていること。
前者はともかく後者はわかってもらえてるだろうか。
きっと伝わっているはずだ。
「難しいなぁ…」と呟きながらもうっすらと微笑むトモさんが見える。

できればこうしたい、という最後の日の形も見えてきた。
彼のキャストとしての最終日にはこだわらない。
できれば私は自分の決めた日で、彼とお別れしたいと思っている。

女風ユーザーとして、その猶予を与えられる贅沢。
本当にトモさんは…誠実で、愛情深くて、素敵だな、と。
初めて出会った女風のキャストが、トモさんで良かった…

そんな幸運をかみしめながら…私は今、涙をこぼしている。















離れたくはないよ、と。


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